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東梅 しあ さんの投稿された作品が22件見つかりました。
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スノーグッバイ 〜届く前に、溶けていく。〜4
名雪と私の出会いは小学校3年の時だった。顔立ちは当時から名雪は可愛かった。名雪は小3の新学期と同時に関東から転校してきたので、田舎にはいないタイプに思えた。「浅倉さん?浅倉さんって何か習い事してる?」「あ…。うん。ピアノ習ってるよ、去年からだけど。」「本当?結宇もねピアノ習ってるの。幼稚園の頃から。どこの教室?」と、些細な会話がきっかけでその日から一緒に帰るようになった。「アキ、今日の放課後、名
東梅 しあ さん作 [219] -
スノーグッバイ 〜届く前に溶けていく。〜3
その日のバイト終わり、私はヤングスパークを1冊購入した。出来ればこの街のヤングスパークを全て買い、全て燃やしたかった。私の家は田村書店から自転車で10分くらいの所にある。20時を過ぎれば商店街は完全に沈黙するくらい田舎だから22時過ぎの街は、ただの闇に近い。 家に帰ると父は既に寝ているようでリビングには母と妹が一緒にドラマを見ている。「ただいま。」「あ、結宇お帰りなさい。」「お帰
東梅 しあ さん作 [213] -
スノーグッバイ 〜届く前に溶けていく。〜2
段ボールを開けると中身は青年漫画雑誌の『週間ヤングスパーク』中高生の男の子が買っていく人気の雑誌だ。(ああ、これね…)と心の中で呟き、雑誌を5冊、手に取り漫画雑誌コーナーに慣れた手つきで並べた。そしてまた奥へ引っ込み再び5冊抱えようとした時、いつもならあまり気に止めない表紙のグラビアにくぎづけになった。そのまま1冊を握りしめたから、4冊はバサバサと小気味よい音で床に落ちていく。「うそでしょ?嘘、
東梅 しあ さん作 [211] -
スノーグッパイ 〜届く前に溶けていく。〜 1
本屋の店番って、暇。新宿の南口だか東口だか忘れたけどそこにある5階くらいあるでっかい本屋とか、そういう所に比べて、どうだろう?この店。 ここは高齢者が10人中4人とかいう、とんでもない過疎地方都市。本屋はうちと、自転車で40分くらいの所にある大型ショッピングセンターの2つしかない。しかも、うちにいたっては単行本にビニールカバーをかける財政はない。だからこの夕方の時間帯は、必然的に買う小遣いが少な
東梅 しあ さん作 [224] -
その恋ちょっと、待った!!!・11
「ぢゃ、アタシ秋月くん選んじゃお♪」「ひよさんは?」「えーっと、えーっと…。」「早くしてよ。」「いいや。実里待ってるよ。」「んだよ〜。折角そんな格好してるのにもったいないよ〜?」「アタシ行くよ?行くからね〜!!」テンション高く実里はカーテンで仕切られた「3」と書かれた部屋へ消えた。「姉貴な…。下手しなくてもウザい保護者にしか見えねーわ。」「まぁいいんでない?それより、ここの高校、美術部あるよね?
東梅 しあ さん作 [233] -
その恋ちょっと、待った!!!・10
私たちは実里の弟くんのクラスを探した。と言っても学校の造りは複雑じゃないし、陸くんにもらった地図を見ればすぐ辿り着いた。「あった♪よーし入るぞ!!」「実里、なんだか楽しそうね…。」「アタシ実はスキなのよ、ああゆう和風てか日本美男子系。」「だから実里の部屋に流し目王子の写真集があったのね…。」実里と私は教室の扉を開けた。室内を被う暗幕とスプレーで描いたストリート系の落書きはいかにも調子に乗った男の
東梅 しあ さん作 [221] -
その恋ちょっと、待った!!!・9
「ひよこ、見て見てこの子超綺麗!!」実里が叫んだ。りんごあめに夢中になっていた私はてっきりアイドルみたいに可愛い女子高生かと思い、特に期待せず実里の声の先を見た。そこには『JS高等学校☆今年のMr.JS』というタイトルの貼紙があった。「っ…ほんとだ、綺麗な子。」その貼紙の写真、つまり今年のMr.JSの写真の男の子。「こんな子が共学にいたら王子様決定だよね。」「確かに…。」いわゆるストリート雑誌
東梅 しあ さん作 [284] -
その恋ちょっと、待った!!!・8
まさか、本当にナンパされるとは思わなかった。ナンパっていわゆるチャラチャラしたギャル男系の人がするもんだと思ってたけど、こうゆう普通の男の子もナンパするなんて…。そうこうしているうちに実里が戻って来た。「ひよ〜こ…。あらお邪魔かな?」「あ、あ、何だか、俺、失礼します!」男の子は急に態度を変えて逃げる様に走って行った。「何よ、あの子失礼ね〜。」「実里の事母親だとでも思ったのかな?」「嘘でしょ?これ
東梅 しあ さん作 [322] -
その恋ちょっと、待った!!!・7
「実里ぃ〜!見て!りんごあめ!!小学生ぶりに買っちゃった♪」「ひよこぉ…あんたねぇはしゃぎすぎ。」「いやいや、制服効果もあってかテンション上がっちゃって!…あれ?陸くんは?」「あぁ、クラスの店に戻ったよ。」「へぇ〜。陸くん所も出店系?」「いや『出会い系カフェ』だって。」「出会い系カフェ〜?なんそれ?」「ま、簡単なホストクラブみたいなもんじゃない?バカな男子高生が、女狙いも見え見えだね。」「でもそ
東梅 しあ さん作 [286] -
その恋ちょっと、待った!!!・6
実里の弟の陸は、短髪の黒髪を寝癖風に整えて、紺のカーディガンに学生服のズボンを少しだるそうに着こなす今時の男子高生だ。「去年は来られなかったけど、結構盛り上がってるのね、男子高の文化祭。」笑い続ける陸と、怒って刃向かう私を置いて実里は言った。「まぁ普段は勉強ばっかの進学校だからな。体育祭と文化祭しか羽目はずせない訳。てか、ひよさんマジ女子高生〜。ウケるわ〜。男子高は女に飢えてるから文化祭はナンパ
東梅 しあ さん作 [271]