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やいち さんの投稿された作品が89件見つかりました。

 
  • スラム part79

    「修二!!残り30秒ちょっとだ!!攻めろぉ!!」本山メンバーの声が重なる。有効一個差で負けてる。30秒しかないなら、市瀬は守りに入ってくるはずだ。でも、もう攻めるしかない。再び組み合った。瞬間、市瀬が背負い投げに入ろうとした。ヤバい!!ギリギリで踏ん張りさえぎる。「真也ぁ!!無理に攻めるな!!守りを固めろぉ!!」市瀬の高校、翔星高校の監督の声が響いた。しかし、市瀬は止まらない。攻めの姿勢を変えな
    やいち さん作 [463]
  • スラム part78

    「すごい。」椿にはその言葉しか出てこなかった。柔道のことをよく知らない椿でもいまさっきの修二の状況がまずかったのはわかった。まわりの人の声がさっきからよく耳に入る。「おいおい、翔星の市瀬相手にあの選手くらいついてんぞ。」その市瀬という選手が椿にはすぐに修二の相手だとわかった。にぎわう場内に響いた関西弁。それからすぐに修二が技を外した。きっと修二の知り合いなんだろう。再び定位置に戻った修二の目は集
    やいち さん作 [464]
  • スラム part77

    何が起こった?俺がポイントをとった。でも俺は倒れてる。「抑え込みー!!」審判の声で目が覚めた。寝技で返されたのか!!修二はようやく気付いた。だがすでに完全に抑え込まれている。30秒抑え込まれたら、敗けだ。クソッ!!外れろ!!こんなんで敗けられるかよ。ポイント勝ち越したのに。こんなあっけなく終われねえんだ!!修二は全力で抵抗する。しかし、相手は市瀬だ。名門のエースからは隙がうかがえない。22秒。も
    やいち さん作 [483]
  • スラム part76

    組手争い。市瀬の組手はすごい。簡単に払い落とされる。左手でフェイントを入れタイミングをずらす。それでもきれいに弾かれる。ガッ!!スキを突かれて襟を取られた。ヤバイ!!新藤の背負い投げの時と同じ感覚が流れる。来る!!ヒュッ!!体が浮いた。早い!!修二はギリギリでそれを感じ取れ体をずらしていた。バァン!!「有効!!」審判の声。すかさず市瀬が寝技に来る。修二はすぐに姿勢を立て直し、それを阻んだ。審判か
    やいち さん作 [455]
  • スラム part75

    不思議だ。中学からずっと柔道を続けてきた。試合も何度も経験してきた。でも今も試合となると緊張する。不思議だ。今は、この試合にはそこまで緊張してない。俺の人生でも、これから始まる試合は1、2を争う大切なものになるはずなのに。試合畳の上を歩いて行く。普通の畳と違う、柔らかい柔道場の畳の感触がしっかり感じ取れる。市瀬の正面にたつ。市瀬の頭の向こう側にギャラリー席が見えた。あっ。ギャラリー席によく知った
    やいち さん作 [435]
  • スラム part74

    「賢ちゃーん!!急げ。あと30秒!!」賢之助の動きが早くなる。今の両者のポイントは有効1つずつ。時間はもう、残っていない。賢之助の動きが一瞬止まった。すかさず相手が技をかけにくる。さすがに相手の井口は強い。市瀬と同じ二年生だが、有名な選手で、副将をまかされている。賢之助が技にかかりかける。内股だ!! 相手が振り上げた足が賢之助の内腿を狙ってくる。ヒュッ!!井口の内股が空を切った。井口が一瞬、驚き
    やいち さん作 [479]
  • スラム part73

    あまりに突然の決着に、ほとんどの人が驚きを隠せていない。「おい、今のって…。」慶吾が顔をこわばらせたまま言った。「小内、巻き込みですよね。」河野がつまりながら言った。「あぁ、たぶんな。」修二が答えるように言った。たぶん。柔道をやったことのある人がいるなら思うかもしれない。たぶんってどういうことだ?と。小内巻き込みは小内刈りをかける際に、全身で巻き込んでかける一種の捨て身技だ。きれいに決まれば相手
    やいち さん作 [492]
  • スラム part72

    悠の試合はすごかった。いつもの動きじゃない。修二には、そのようにしか悠の柔道を表すことができなかった。右、左、そしてまた右。100キロを超す翔星の選手を崩している。「嘉谷さん。悠さん、すごいですよ。普通、まともに100キロ超す選手を崩すなんて無理ですよ。」新藤が驚いた顔で言った。たしかに、普通じゃない。あの体格の選手を崩すのは俺でも厳しい。まして、相手は名門、翔星の選手だ。「あの小さい選手すごく
    やいち さん作 [517]
  • スラム part71

    バァン!! 河野が畳に叩き付けられた。「一本!!それまで」整列し翔星の選手に手が上がった。河野が戻ってきた。「すいません。」「気にすんな。まだ終わってねぇよ。」修二は河野を励ますように言った。現在、0-2で翔星学院に負けている。先鋒の新藤は頑張ったが、有効一つを取り戻すことができなかった。次鋒の河野は開始1分ほどで一本負け。それでも河野は頑張っていた。実際、数年ぶりに柔道を始めて県トップ高相手に
    やいち さん作 [519]
  • スラム part70

    「どんなに強い人でも必ず隙があるんだ。それを見逃さずにいこう。絶対に勝ちにいこう!!」試合前の相葉先生の言葉。たぶん全員が理解できていると思う。言葉の意味じゃなくて、相葉先生は今、俺たちと一緒に戦ってるってことを。去年、俺たちの部は廃部の危機に立たされていた。残っていた顧問が定年退職することと部員不足のせいだ。誰かが代わりになればいいのだが、顧問をやってくれる先生はいなかった。だというのに、去年
    やいち さん作 [511]
 
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