トップページ >> あや さんの一覧
あや さんの投稿された作品が82件見つかりました。
-
宝物は、虹の彼方に
3日続いた鬱陶しい雨が上がり、快晴の空が広がる。病室の窓から、大きな虹が見えた。「虹の向こう側には宝物がある」子供の頃に聞いたことがある。私は別に信じていたわけではないけど、何だかワクワクとこみ上げてくる好奇心に心臓が躍る。虹の彼方を見つけたら、何だか願いが叶うような気がした。私は腕の点滴を引き抜き、パジャマを着替えた。面会謝絶の病室から顔を出し、辺りを確認して早足で歩き出す。廊下を行き交う病人
あや さん作 [309] -
平成化かし合戦 国会の陣
タヌキとキツネの化かし合い。タヌキが腹鼓を叩けばキツネがコンと鳴く…国会で毎日繰り広げられるのは、平成化かし合戦みたいだ。私利私欲ばかり考えるデブタヌキに口だけ達者なヤセキツネ。いつまでたっても罵りあいばかり。口をついて出る皮肉はいつしか聞いて呆れるほどに。情けないほど浮き彫りになる貧富の差。所詮官僚の方々には解りません。貧しい国民の苦悩は、頭でっかちな頭で考えていても絶対に解らない。体験してみ
あや さん作 [325] -
私
私はあなたが思う以上に醜い。優しい人なんて呼ばないで、私はただの偽善者だから。私はあなたが思う以上に汚い。外見なんて関係ないなんて、嘘ばかりついてる八方美人だから。情けないけれど、これが私。笑いたければ笑うがいいわ。思う存分私を蔑めばいい。私は私を受け止めて生きていく。私の本当の理解者は私だから。それが、私だから
あや さん作 [317] -
嫌いが好きに変わる時
私はあなたが嫌いだった。無口で笑わないし、不愛想だし。出席番号が同じで隣の席に座ってたけど、何だかすごく苦手だった。でも、晴れた五月のある日。授業中に窓の外を眺めながら、左手でペンを回すあなた。何でだろう?私、嫌いなのに見とれてしまう。回るペンが私に魔法をかけた瞬間。それから少しして男子と掃除中にじゃれあって笑ってるあなたを見かけた。テストが解らなくて頭を抱えてるあなたも、落ちたペンを拾ってくれ
あや さん作 [346] -
恋に墜ちる時
今日学校で習った―LOVEat first sight―一目惚れなんて私にはないと思っていた。今日は気分を変えていつもの通学路と違う道を帰ることにした。初めて歩く道。遠回りだけど、川沿いの桜が気持ちいい。青い空を見上げて歩いていたら、一筋の放物線を描いて白い紙飛行機が私の方へ降りてくる。私は思わず手でキャッチした。ごめん。ありがと。少年は、慌てて走ってくる。私は渡そうと紙飛行機を見たら、テストの
あや さん作 [400] -
不振の時
私は信じていた彼に裏切られていた。彼には私以外にも愛する人がいたなんてシャレにならないよ。今日は朝からついてなかった。ガムを踏んじゃううし、電車には乗り遅れるし。帰り道に私は街角で彼を見かけた。嬉しくなって声をかけようとしたが、笑顔の彼の隣には見知らぬ女性の姿。その瞬間、私の顔から笑顔が消えていくのが分かった。情けないかも知れないけど、私は彼を信じたい。アレハタダノトモダチ私は、くるりと踵を返し
あや さん作 [344] -
結婚の時
教会のドアが開く―祝福のオルガンが鳴り響いて私たちの門出を祝う。見て。みんなが私たちに拍手をくれてる。こんなに嬉しい日はないわ。純白のウエディングドレスをきて、今まで育ててくれた親の元を離れて、バージンロードの先で待つあなたの元に嫁いでいくんだね。ずっと夢に見てたの。いつかこんな日が来るって信じてた。嬉しくて思わず笑顔が零れる。今まで沢山の事があったね。喧嘩して泣いたこともある。でもあなたといる
あや さん作 [346] -
キスの時
付き合って何度目のデートかなぁ。分からないほど毎日のように逢ってる私たち。あなたは恥ずかしそうに私の手を握った。私はあなたが初彼で、実は男の人と手を繋ぐのも初めてで心臓のドキドキは最高潮。でも、それくらいなれたふりしなきゃ恥ずかしいし。ファーストキス…あなたにあげたいなぁ。なんて思う今日この頃。夕暮れ時の帰り道、あなたと二人で公園を歩く。帰りたくないなぁって思わず溜め息が出ちゃう。突然、あなたが
あや さん作 [662] -
決断の時
私は前から薄々気がついていたんだから。あなたが浮気をしていることを。気づいてないと思ってたでしょ…ずっと騙されたふりをしてたけど、それも今日で終わり。あなたの家の電気が点いてる…彼女がご飯を作って待ってるのね。電話をしても留守電なのはあの子と会ってるから。私は合い鍵でドアを開ける。そこには想像してた事実があった。私は、思わず笑った。慌てて言い訳をするあなた。情けない。あなたの前まで歩く私は土足の
あや さん作 [501] -
償い
菜種梅雨で散る桜 まるで私の心模様 川に浮かぶ花筏津はどこに流れ着くのかしらあなたは傘を差して桜の木の下を行く 僕をスルリとすり抜けて行かないで…呼び止める声は喉の奥に詰まって言葉にならない前だけを見て歩くあなたはとても大人に見えた春が立ちすくむ僕の前を何度過ぎても 僕は変わらずここにいて、ただ眺めているだけ 私にはもうそれしかできません命が戻るなら、僕はもう一度あなたに語りかけるでしょう そし
あや さん作 [392]