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?さんの投稿された作品が16件見つかりました。
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【桜花〜Act.3 ウサ】
庄司とは新大阪の駅で出会った。昨晩は羽島の積雪の影響で新幹線は全線遅延していた。「あいつの店,間に合うかなー。毎年の事ながら早く閉めてそうだな。」私たちは同じホームの同じ乗降口で待っていた。あのホームには私たち以外誰も待っていなかった。「すごい雪ですね」つい話し掛けてしまったのは私の方だった。「僕ね,今日ハワイから帰国したの。今年は暖冬じゃないのかなー。寒いの苦手でねー」庄司はひたすら自分の話ばか
?さん作 [188] -
【桜花〜Act.2 桐谷先生】
「アリちゃん」「…何」ハァと桐谷先生が溜め息を吐く。「ファミマで拾って家に着いてから何も喋らないじゃない。」「…。」「今日は珍しく"次代"も静かだったから,もうお店閉めちゃったの。年末前ってのに,ねぇー…」桐谷先生−本名桐谷佑司は元医者だ。私が結婚前に勤めていたレディースクリニックの院長の"元"息子。今は源氏名「桐谷依子」としてスナック「次代」を経営している。ここに来る客は皆「依子」「ヨリちゃん」
?さん作 [216] -
桜花
出会って4時間53分26秒で庄司は私の"正しい名前"も連絡先も知らないまま,勝手に再会の約束をした。私の"正しい名前"は小栗有佐(アリサ)。和人と別れて旧姓の外木に戻った。庄司の読み間違いだったが,敢えて訂正しなかった。「ウサ」だって寂しいと死んじゃいそうなのは変わらないから。庄司の乗ったタクシーが左折するのを見届けて,左手に持っていた鞄から携帯電話を探した。「"キリちゃん"なら起きてるかな。」着
?さん作 [238] -
桜花
「うし,そろそろ帰るか?幸太,お愛想で。」「うん,はいよっ。」恐る恐る大将の方を見た。自分でも認めたことのない核心を突かれたような気がして,何となく居たたまれなかった。「…またゆっくりおいで」大将は全てを見透かしたように,静かな罵声とトーンの変わらない口調だった。「…うん,はい。」「悪かったなー,急に来て。年末も忙しいだろ。」「ああ,気にすんな。"なんくるないさ〜"。」ハハっと男達は顔を見合わせて
?さん作 [234] -
桜花
「ウサ,眠い?」「え?」思い掛けない庄司の的を得た切り返しには驚いてしまったが,「うん…」とここまで来て初めて眠そうに言葉を濁して,庄司を帰るように促した。庄司は疑いもしなかった。ついさっきまで「タクちゃん楽しみー」とはしゃいでいたのに,大将の店に入るなり押し黙ったまま変貌振りに「眠かった」は当然の言い訳になる。
?さん作 [215] -
桜花
「お客さん,帰んな?作り笑いに付き合ってもらったって,楽しかねぇんだよ,なぁ?」大将はこちらに目もくれぬままそう言う。ついさっき切ったという親指の痛みもあってか,声色は険しい。カラカラカラと氷を踊らせながら,私の肘先の隣で焼酎が注がれる。「お前,いくつだっけ?」私が質問に答える前に,大将の静かな「はい」の声と紫蘇巻きが差し出される。「これが上手いんだよなー,ほれお前も食え。」皿を受け取った右手で箸
?さん作 [212]
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