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花神ミライ さんの投稿された作品が152件見つかりました。
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もしも明日が3-6
「…おい、なんで俺はお前と二人きりでこんなことをしているんだ?」隣で低く唸るように言ったのは楓だ。「なんで…って、そりゃこっちの台詞だ。てっきり紗綾が来るかと思ってたのに。」心底呆れた、という風に火葉も返す。なぜ彼ら二人が組むことになったのか。それは若菜と紗綾による陰謀であった。「若ちゃーん。楓くんと火葉くん、ちゃんとやってるかなぁ?」「さあ?今頃けんかしてるんじゃない?」二人を組ませた張本人た
花神ミライ さん作 [324] -
もしも明日が3-5
手渡された資料を紗綾はただじっと見ていた。「さゃ…」「黙って火葉くん。」紗綾に声をかけようとしたがそれを見越していたかのように若菜が制した。どれくらいの間、そうしていただろう。決して長い時間ではないだろうが火葉が感じるこの静寂は、彼にとって恐ろしく長いもののように感じられた。「…思い出した。」紗綾が呟く。「それで?」「この写真は有隣町で撮られたもの。こっちは吾妻。行動範囲は広そうだね。それと、こ
花神ミライ さん作 [332] -
もしも明日が3-4
放課後、指令が入ったことを若菜たちに知らせるために火葉は資料室に向かっていた。「前回も前々回も、俺は若菜を巻き込んでる…のか?」呟いてみて思う。佐倉からのメールには追伸があった。『異能力者の協力者がいるようだが用心しろ。使えるようなら上が勧誘する動きを見せている。』「もしそうなら…」「火葉くーん。鍵は空いてるわよー。」若菜の声で現実に戻された火葉は躊躇いがちにドアを開いた。「『仕事』かしら?」に
花神ミライ さん作 [322] -
もしも明日が3-3
風の強い屋上のドアを開く。案の定、楓はそこにいた。「かーえでくんっ」紗綾が呼ぶが応答がない。「楓くん?」寝転がった楓の顔を覗き込む紗綾。「寝ちゃってる…」火葉が同じように覗き込むと確かに楓は眠っていた。「どうする?」「叩き起こす!…って言いたいけど楓くん最近あんまり寝てなかったみたいだしねぇ。今日ぐらいは勘弁してあげよっかな。」「それがいいよ。」「じゃあ火葉くん、あたし先に若ちゃんの所戻るね。」
花神ミライ さん作 [355] -
もしも明日が3-2
「若ちゃーん、楓くんはぁ?」紗綾が口を尖らせてぶぅたれる。「さあね、屋上にでもいるんじゃないかしら。」若菜は膝に乗せた分厚いハードカバーのページを捲りながら紗綾には目もくれずに答えた。「屋上?あー屋上か。」屋上の辺りに目をやり納得するように頷く紗綾。「じゃ、行こっか、火葉くん♪」紗綾は満面の笑みだった。火葉は呆れたような顔で目の前の少女を見た。ふんわりと優しい色をした短い栗毛を揺らしながら上機嫌
花神ミライ さん作 [335] -
ココロのオト
イタイ、イタイ心が酷く痛む夜一日の出来事が走馬灯のように駆け抜けて硝子の破片のように心に散らばる。キタナイコトバワライゴエヤマナイカイワ全部全部ココロに突き刺さっていくココロからまたクロイものもキタナイものも溢れ出て、ほらイタイ、イタイ部屋の隅で膝を抱く小さなその背をそっと抱いて大丈夫だよ泣いてもいいんだと言ってくれる手が欲しいそれだけできっと、今は乗り越えられるから例え今は甘えてると言われても
花神 さん作 [358] -
もしも明日が3-1
【不知火】こと早稲田が仲間になって一週間。資料室には新たな仲間が加わっていた。「ねぇーつまんないですぅ」そう言って机に座り足をバタつかせる彼女、氷室紗綾が現れたのは一週間前――竹藪事件の翌日だった。資料室で昼食を摂っていた火葉たち。不機嫌そうではあるが早稲田も一緒だった。そんな時、爆弾が投下されたのだ。「若ちゃーんっ、かーえでくーん!たっだいまぁ〜!!」シィン…「おかえりなさい、紗綾。」最初に沈
花神ミライ さん作 [345] -
もしも明日が2-12
「…よくあんな嘘、堂々とつけるよな。」呆れた声で早稲田が言った。「そうね、でも緋狩ならそう言うかなって思ってたら勝手に口がね。」「それにしても、今回何で俺を引っ張り出した?こんなことなら俺は必要ないだろ?」「ええ、そうね。」若菜の口角が僅かに上がっているのを見逃す早稲田ではない。「…若菜、お前ワザと俺を引っ張り出したな。ホントは知ってただろ。」「さぁ?どうかしら。」若菜は笑顔ではぐらかす。どうや
花神ミライ さん作 [235] -
もしも明日が2-11
しばらく無言が続いた後、怯えたような弱々しい声が届いた。「た、助けて…僕、あれは、事故だったんだ。別に、笹木を攻撃しようとか、怪我させたかったんじゃなくて…只、驚かせてやろうって…でも、驚いた笹木はひっくり返って…」吐き出すように語った野田の声はそこで途切れた。そこから先は容易に想像出来る。『IC』から警告状が届き、怖くなりこの竹藪に身を潜めていたのだろう。「助けて…頼む…」「わかった。俺は、『
花神ミライ さん作 [256] -
もしも明日が2-10
「この中か?」風にざわめく竹藪を前に早稲田が言った。「ああ。ターゲットの特徴は…」「いい。全部頭に入ってる。」早稲田はぶっきらぼうに言うと一人竹藪に入って行った。溜め息をつく若菜と共に火葉も竹藪に入って行った。当然、竹藪の中に街灯はない。思った通り月明かりは薄く周りは完全な闇と、笹の葉が風にさざめく音に支配されていた。「…ここに誰かいるんでしょう?」凛とした声。若菜だ。しかし応答はない。「私、知
花神ミライ さん作 [245]