トップページ >> 花神ミライ さんの一覧
花神ミライ さんの投稿された作品が152件見つかりました。
-
時と空の唄9-6
「…どちら様?」その人はそう言った。「あの、私たち、旅の者なんですけど…」「…どうぞ。」まだ言い終わらぬうちに女性は扉を開け中へと入ってしまった。「なんか、調子狂うな…」取り敢えず中に入るとそこには壁一面の本棚、天井には美しい夜空が描かれ、清らかな水と緑の観葉植物が流れる神秘的な世界が広がっていた。「わぁ……。綺麗……」シーラがうっとりと言う。「どうぞ。」白いテーブルに置かれた5つのティーカップ
花神 ミライ さん作 [443] -
時と空の唄9-5
「お?なんか扉があるぞ。」長い螺旋階段を登りある程度時間が経った頃、目の前に現れた両開きの扉を前に四人は立ち止まった。「…開きませんね。」取手に手をかけたが鍵が掛かっているらしく扉はビクともしない。「蹴破るか?」「爆破させてみる?」ランスォールとラウフは口々に物騒なことを言う。「ちょっと二人とも!仮にもここには人が住んでるのよ!」「冗談だよ、シーラ。……にしても、どうすっかなー。この扉。」螺旋階
花神 ミライ さん作 [301] -
時と空の唄9-4
「たっかー!!」見上げるほど高い時計塔。思っていたよりずっと高い時計塔は長く見上げていると首が痛くなりそうだ。「で?どーやって入るんだ?このバカでかい塔に。」辺りを回ってみたが入り口らしきものは見当たらない。「石造りですね。」雪はそっと石の壁を押してみた。すると、ガコンという音がして石が奥に落ちた。「……あ。」一つ落ちるとたちまち他の石も落ちドアサイズの穴が空いた。「ほぉ…。たかが時計塔に随分な
花神 ミライ さん作 [338] -
時と空の唄9-3
「はぁ〜。それでわざわざこんな島まできたのかね。」ズズ…とお茶を啜る音がした。「ええ…まぁ。」この日、四人はリリーラに案内されてクラスの町長に会いに来ていた。町長の家の前まで来るとリリーラは『私、レンデルと約束があるから』といってそそくさ帰ってしまった。「……それで?」「いや、だから、三種の神器について知ってることがあれば教えてくれないかなーと。」「うむ。」町長は頷いた。「わしもよう知らん。」…
花神 ミライ さん作 [297] -
時と空の唄9-2
「町長に事情を話して協力を仰いだらどう?」リリーラが言った。「事情…ねぇ」話せば長いし、何より大事になってしまう。「深い事情なのか?」「うむ。深いといえば海より深い。」「ラウフ、ふざけるな」とは言っても事実、深い事情なのだ。「明日、会いにいってみる?今日はまだ話が纏まらないでしょう?」リリーラの配慮で四人は翌日、町長の所に行くことにした。「正直に全部話すことはないよな…」「そうね。適当な嘘が通じ
花神 ミライ さん作 [307] -
時と空の唄9-1
伝説を紡ぐ島 クラーン中心には大きな時計塔があり、その時計塔を囲むように3つの町が存在する。北にある町 クラス東にある町 ラーナ西にある町 イーンどの町もクラーンから二文字を取って名を付けられた町だ。この3つの町のうち、リリーラとレンデルが住んでいるのは北に位置するクラスだと言う。仕方ないので一度クラスを訪れ、三種の神器の伝説を調べることにした。「雪、船酔い大丈夫なのか?」ランスォールが雪に声を
花神 ミライ さん作 [319] -
時と空の唄8-7
碧い空。白い雲。蒼い海。白い波。淡い風。そして…「ぎも゛ぢわ゛る゛い゛〜」「大丈夫?」シーラに優しく声をかけられた雪は瞳に涙を溜めながらゆっくりと振り向いた。「ダイジョブじゃないですぅ〜」それだけ言うとまた海に向き直り気分が悪そうにした。「まさか雪が船酔いするとはなぁ…」哀れとも言える雪を遠くで見ながらラウフが言う。「ああ。オレも驚きだよ。で、あっちもあっちで忙しそうだし。」ランスォールが目を向
花神 ミライ さん作 [309] -
時と空の唄8-6
「なるほどねぇ〜。でもね、それ、嘘よ。」「…………は?」「だから、嘘。彼女が町に来たのは、お嫁入りとかじゃなくてただの買い出し。あなたの早とちりよ?」「で、でも確かにそんな話を聞いたんだ!」「んじゃあ、デマだな、それ。」レンデルの口から魂が抜けていく。しかも口をパクパクさせて。「デ、デマ…」このあとしばらく、彼は放心状態が続いた、というのは余談だ。「さて?誤解が解けたようならさっさと仲直りしてく
花神 ミライ さん作 [318] -
時と空の唄8-5
「リリーラがクラーン島の出身てのは知ってるだろ?」レンデルはランスォールを背にいきなりそんなことを聞いてきた。「え?あぁそうだな。」だからこそリリーラにクラーン島へのお供を頼んだのだ。「まぁ、その…なんだ。オレもそこから来てるんだが…。」だんだんとレンデルの顔が赤くなっていく。「幼馴染みなのね。彼女。」「あー。好きなんですね。」シーラと雪のダブルアターック。今度はレンデルの顔も完全に真っ赤になっ
花神 ミライ さん作 [338] -
時と空の唄8-4
「な、なるほどって何が?」目を白黒させながらランスォールがシーラに訊いた。「青春ね。彼の。」リリーラの側から離れたレンデルがこちらへやって来る。角を曲がるとき、隠れていた四人と出くわす。「あ…。…………。」一瞬何か言いかけて、また避けるようにすれ違って行った。「…なんなんだ?アイツ。」去っていく彼の背から今度は取り残されたリリーラの方に目を向ける。あれから微塵も動いていないリリーラの背は泣いてい
花神 ミライ さん作 [312]