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花神ミライ さんの投稿された作品が152件見つかりました。
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時と空の唄6-8
「や、やめろ!」…何か見られて恥ずかしいものでもあるのだろうか。カロウドは必死の形相で哀願してくる。「じゃあどこにあるんだ?素直に言えば許してやろうじゃないか。」シーラはこの数時間でランスォールの性格が相当歪んだ気がした。「いいか、よく聞け小僧。確かに盾はある。しかし既に別の場所に移動させたわ!!」ポチッカロウドが謎のスイッチを押した。するとセットしてあった魔法が発動し無数の炎が四人を襲う。「う
花神 ミライ さん作 [321] -
時と空の唄6-7
大きく開かれた扉の先に現れた少年の姿に驚くシーラの声は震えている。シンとした部屋に少女の声は流れるように響いた。「ランス…」ランスォールはつかつかとシーラとカロウドの間に入りシーラに背を向けて言った。「お前がカロウドか?」「だ、だったら何だと言うのだ。お前こそ何者だ!そ、それにここまでどうやって来た!警備の者はどうなっている!?」「わりぃな。全員のしちまったわ。」飄々とした様子でそう言ったのはラ
花神 ミライ さん作 [334] -
時と空の唄6-6
シーラは俯いていた顔を上げた。「シーラ、もう一度世界の為に研究をしよう。」一瞬、ぐらりと世界が歪んだかと思った。「セカイの…ため?」そんな呟きが口から漏れる。だんだん目の辺りが熱くなってきた。「そうだ。もう一度あの頃のような研究を。」ウソツキ。「何が…世界よ………」「シーラ?」あの頃のような研究。それは、沢山の命を削る果てのない、哀しみを生む。親のない子を、子を奪われた親を、愛する者を奪われた恋
花神 ミライ さん作 [310] -
時と空の唄6-5
「おい、ランス!!」ぼーっとしているランスォールにラウフが大声を出した。「うぁ、あ、何?」「何?じゃねぇよバカ。シーラ助けに行くんだろ。」シーラ。彼女の涙が頭から離れない。ただ一人で行ってしまった彼女の手を取り引き留める事が出来なかった己の弱さを責めた。「あ、ああ…。」「何だその気の抜けた返事は。まさか行かないなんて言うなよ。」そんなことは、言えない。「あいつ、ヘタしたら心中とかしかねないからな
花神 ミライ さん作 [300] -
時と空の唄6-4
出来るだけ平静を装って言った。「あなたには…父さんには、こんなになって欲しくなかったのに…」憐れむようにカロウドを見た。しかしカロウドは満足気に言う。「お前ほど不死には近づけなかったがな。なかなか便利なものだ。」便利な事があるものか。20年前、シーラが体内の魔力を取りだし、機械に入れるなどという実験に荷担したのは何も兵器として使う為ではなかった。『人の役に立とう。』そう言われ、参加してしまった。
花神 ミライ さん作 [465] -
時と空の唄6-3
「………。」シーラはテーブルに置かれたティーカップをとると一口飲んでまたテーブルに置いた。今シーラがいるのは『アレフォールの館』と呼ばれるサントラーセットで一番大きな屋敷だ。つまり、シーラの実家。コンコン、とノックの音がしてまだシーラが何も言わぬうちに静かに扉が開かれた。「カロウド様がいらっしゃいました」「待たせたな。シーラ。」メイドが遠慮がちに言ったがその後から少し小太りな男がシーラの方へと近
花神 ミライ さん作 [362] -
時と空の唄6-2
「抵抗しなければ攻撃はしない。カロウド様がお前を探している。」「……。」名指しされたシーラは黙って男を睨み付けたまま動かない。「シーラ、行くことない。」ランスォールの言葉にシーラはそっと目を閉じた。やがて目を開けるとこう言った。「彼らには、手を出さないのよね?」「もちろんだ。ま、彼らが我々に襲いかかって来なければ、だが。」安心したように一息つくとシーラの足は一歩踏み出した。「シーラ…?」ラウフが
花神 ミライ さん作 [323] -
時と空の唄6-1
「一体イツキは何故サントラーセットに来たんでしょうか。」サントラーセットを囲む高い黄土色の壁が見えてきた時だった。「なんだよ、突然。」「いえ…ただ、カロウドと言う名前が気になって。」カロウドとはマーガックで雪の叔父がイツキを使って雪を裏切った時に出た名だった。「三種の神器である盾を欲しがるカロウドという謎の男…か。」「まぁ、何にしたって今はまだ何にも分かんないんだし、そんなに深刻な話でもないだろ
花神 ミライ さん作 [329] -
時と空の唄5-6
「突然だが、次の行き先が決まった。」起き抜けの三人に向かってラウフはそんなことを言った。「ホントに突然だな。一体どこなんだ?」まだ眠そうに大あくびをしながらランスォールが聞いた。ラウフの瞳が一瞬シーラを捉えたが彼は胸を張って言う。「機械都市サントラーセットだ。」「!」やはりシーラは驚きを隠せなかったようだ。「イツキはサントラーセットに…?」今度は雪が聞いた。「ああ。…シーラ、大丈夫か?」「ええ。
花神 ミライ さん作 [306] -
時と空の唄5-5
目の前には夢の中ではお決まりとなっているこの小屋の風景がある。シーラと出会った日同様、今まで見ていた夢とは少し違う。同じ風景の中で違うことが起こっているのだ。この日は母さんの遺体がある訳でも誰かが傍にいて会話をしているのでもない。ただ、幼い自分が誰もいない小屋にいるだけだ。そしてどこからかシーラの歌うあのリネア・トリスタが聞こえてくる。どこから聞こえてくるのかと外に出てみた。真っ赤な夕焼けに染ま
花神 ミライ さん作 [331]