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花神ミライ さんの投稿された作品が152件見つかりました。
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時と空の唄5-4
小屋に戻るとそこにはいまだに講義するラウフと若干飽きつつそれでも興味があるといったようにそれを聞く雪がいた。「う〜ん…何だこの異様な空気は?」「あら、ずっとこんなだったでしょ?」シーラは楽しそうに笑う。「そう…だったか?」「そうよ。」後になって分かったのだがこの時のラウフは酒を飲みながら話していたらしく、熱心に語るラウフを放って三人が寝た後も彼は一人話す相手がいないまましばらく語っていたらしい。
花神 ミライ さん作 [343] -
時と空の唄5-3
「ソレリア・ユード。母さんの名前だよ。」ゆっくりとシーラが振り向く。「今の唄、前にオーウェンでも歌ってたろ。…なんて唄なんだ?」ランスォールが聞くとシーラはまた墓の方を向いて言った。「リネア・トリスタ。古い言葉で空に捧ぐ、って意味。昔母に教えてもらったわ。歌詞は覚えてないけどよく子守唄として、ね。」リネア・トリスタ。その言葉に込められたもう一つの意味は『時を刻みし者』。「リネア・トリスタ…か。」
花神 ミライ さん作 [339] -
時と空の唄5-2
ギイギイと風車が動く音がしてしばらく無言の時間が過ぎた。「ここ、俺が十三年前まで住んでた家なんだ。」「でも前に場所はわからないって…」「ああ。俺も今の今まで知らなかったよ。けど村に入ってから予感がしてたんだ。なんとなく、雰囲気で気が付いてた。そんでこの家を見て確信した。ここは俺の家だ。」「ねぇ」シーラが言った。「今晩はここに泊まらない?」「シーラ…」「いいんじゃないか?それに、その方が宿代が浮く
花神 ミライ さん作 [378] -
時と空の唄5-1
「こんなところにイツキは来ているのでしょうか…?」豊かな農村にあるのは青々とした森、さらさらとせせらぐ小川、そして畑。「う〜ん…確かにこうやってみるといない気もするよなァランス?」ラウフがランスォールに無茶振りしたがランスォールは上の空といった感じでラウフの言葉は届いていないようだ。「…ランス?どこか具合でも悪いの?」「え?あぁ、いや、なんでもないよ。」ようやく我に返ったらしいランスォールは気の
花神 ミライ さん作 [363] -
時と空の唄4-7
「お前があんなことするなんて俺は思ってなかったぞランスォールよ。」ラウフがランスォールの肩を叩きながら茶化す。「うるせぇ。」ランスォール自身、今まで真っ正直から戦う経験がほとんどなかった分あんな行動をとったことに対して驚いている。「…イツキって子を追うんでしょう?」「当たり前だ。」そう言ってランスォールは大きく地図を広げた。雪にも話に参加してもらおうと思い辺りを見ると三人から少し離れた所でうずく
花神 ミライ さん作 [350] -
時と空の唄4-6
逃走したイツキを追って洞窟を出たがそこで待っていたのは分家の頭、雪の叔父を始めとしたこの町にいる御神の者たちが手に武器を持ちこちらに刃を向ける姿だった。「叔父様!これは一体…」雪が叫んだがすぐにその横からシーラが落ち着いた様子で言った。「盾を奪い、彼はどこに行ったのですか?彼では盾を使うことは出来ません。もっと言えば特別な人以外、何人たりともあの盾を装備することは出来ないのに。」くつくつと笑いだ
花神 ミライ さん作 [430] -
時と空の唄4-5
「シーラ。前に浄化能力のこと言ってたけどあれって具体的にはどうやって使うんだ?」『聖域』の中に手を伸ばしていたランスォールが聞いた。「別に使い方なんてないよ。手を伸ばせば勝手に発動するもの。」なんといい加減な。「あっそう…」呆れた様子のランスォールは光の中に手を伸ばした。何も感じない。盾に触れてみた。何も変わらない。「なんだ。何も起こんないか。」つまらなそうに言って『聖域』から盾を引っ張り出した
花神 ミライ さん作 [344] -
時と空の唄4-4
「ちっ。流石に数が多い」ぶんぶんと槍を振り回しながらランスォールはぼやいた。横目でみんなを見るとシーラは先端に刃のついた扇で舞うように戦い、ラウフは双剣を巧みに使いこなしている。雪とイツキはといえばイツキがすばやい動きで片っ端から攻撃を繰り返し雪は初級魔法で一匹ずつ確実に狙い撃っている。二人とも幼いながらに巧く戦っていた。「キリがないな。」小さく舌打ちをしまだ戦っている仲間たちに大声で言った。「
花神 ミライ さん作 [337] -
時と空の唄4-3
「盾は…洞窟の奥、聖域の中で守られてる。俺たちも近づけない。」突然、イツキが呟くように説明した。そういう時の為にも、ランスォールがいるのだ。聖域に入ることを許される力を持つ者が。「かわいくねぇガキ。」ランスォールがイツキや雪に聞こえないよう小声で呟いた。「お前もあれ位の年ん時はあんなんだったぞ。」ラウフが小声で返す。先頭を歩くイツキという少年は今年14になる。だが14とは思えない大人びた雰囲気は
花神 ミライ さん作 [335] -
時と空の唄4-2
マーガックに着くと四人を待っていたのは活気に溢れる市場や露店だった。ここで御神家の分家を訪ねる前に食料やら装備やらを揃えた。いくら分家でもいきなりやって来た本家と名乗る少女に家宝を渡してはくれないだろうと思ったのだ。勿論、万が一のときに備えて。「さて、と。そろそろ参りましょうか。」広い町を奥へ奥へ行くと町の雰囲気とは違う日本家屋の屋敷が広々と建っていた。「なんか緊張する〜」雪がどんどん中へ入って
花神 ミライ さん作 [353]