トップページ >> 花神ミライ さんの一覧
花神ミライ さんの投稿された作品が152件見つかりました。
-
時と空の唄14-10
「…何も、起こらないのか…?」蛍がシーラの中に消えた時ほんの一瞬だけランスォールの脳裡を掠めた小さな希望。そんな筈はないと思いながらランスォールは震える手でシーラの手に触れた。彼女の手は依然白いままで氷のように冷たい。「そう…だよな……そんなこと、あり得ない…」「ランス?」「一瞬、期待してたんだ。あの蛍が命のカタチそのものだとしたら、もしかしたら…ってさ。」「…いこう、ランス。【三種の神器】を封
花神ミライ さん作 [233] -
時と空の唄14-9
うんうんと考えを巡らせること数分。結局良い案は浮かばないままだ。そんな時、雪が思い出したように声をあげた。「神器!神器ですよ!」興奮して神器神器と繰り返す雪にランスォールとラウフは顔を見合わせた。「雪、神器がどうしたんだ?」「だから、神器を配置してあげればいいんですよ!」なるほど。確かにそうすればこの状況は打開出来るかもしれない。ランスォールはカロウドとシーラの血が残る剣をとった。血が付いていな
花神ミライ さん作 [272] -
時と空の唄14-8
「くぅ…ッ何なんだこの唄はッ!」カロウドはフラフラしながら苦々しげに顔を歪めた。「―――わかったよ、シーラ。」ランスォールは呟き、目の前の剣をとった。ごめん。俺、何にも守れなかった。命も、願いも、何もかもだ…目を閉じ、心の中でもう一度ごめん、と呟いた。未だ頭を抱えて苦しむカロウドをしっかりと見据えて剣の切っ先を彼に向ける。そしてぶれることなくまっすぐカロウドの心臓を突き刺した。その瞬間、何かが弾
花神ミライ さん作 [265] -
時と空の唄14-7
――――カァン刃と刃のぶつかり合う鋭い音。――――キィン相変わらずカロウドの斬撃は凄まじい。しかし攻撃に先程までのような重さはなかった。刃がぶつかり合う度に赤い花が点々と床に咲く。それは、剣の拒絶反応によって傷ついたカロウドの血だった。血を流し過ぎたのかカロウドが剣を握る力は甘く、その為に一太刀の重さは次第に軽くなっていくのだ。カァン、という音と共に剣が宙高く舞う。剣は何度も回転しながらやがて赤
花神ミライ さん作 [329] -
時と空の唄14-6
「カロウド…あんた、自分が何をしたかわかってんのか?」ランスォールは静かな声で言った。「……。」「どうしてシーラが死ななきゃならなかったのかわかってんのかって聞いてんだよッ!!」「哀れな…娘だ。」ようやく口を開いたカロウド。「手出しをしなければこうはならなかった。こんな小僧を庇ったりしなければこの刃はお前を貫くハズだった。」「けど、その刃はシーラを貫き、彼女の命を奪った。」「ああそうだ。だからわ
花神ミライ さん作 [266] -
時と空の唄14-5
心臓が一度ドクンと脈打つ。そのうちに目の前は真っ白になり、それと同時に今起こっていることを遂に頭が理解した。再会した日と同じに。目の前の銀がグラリと揺らいだ。けれど、今彼女を死から守る呪いはない。「シーラ!!!!」彼女を貫いた剣は既に彼女の体から抜かれ、その反動で彼女の体は勢いよく床に倒れた。流れ出る血が床を朱く、紅く染めていく。それはまるで、あの夕日の差し込む小さな小屋の中の再現だった。彼女の
花神ミライ さん作 [307] -
時と空の唄14-4
「あと、ヒトリ。」口元を歪め、カロウドはランスォールにも剣を降り下ろした。「ランス!」「く…っそ、なんて強さだ」連続して繰り出されるカロウドの攻撃をランスォールは受け流すだけで精一杯だ。いつの間にか、祭壇まで追い詰められていた。「くっそぉ…」「『風よ 我に従え嵐よ 吹き荒れろ』!!」壁に追い詰められたランスォールを助けようとシーラの風の刃がカロウドに突き刺さる。しかしカロウドはそれを気にする様子
花神ミライ さん作 [295] -
時と空の唄14-3
薄暗い祭壇の間に金属のぶつかり合う鋭い音が響く。「…くそっこいつ、なんかこないだより強くなってるぞっ」ランスォールとラウフを相手に全く引けをとらないカロウド。そんな彼を前にランスォールがぼやいた。因みにランスォールの言うこないだとは機械都市サントラーセットでの事だ。あの時はランスォールにコテンパンにされたのだが今はその気配すら見せない。「行きます。二人とも離れて下さいっ!『聖なる水よ 彼の者を喰
花神ミライ さん作 [300] -
時と空の唄14-3
薄暗い祭壇の間に金属のぶつかり合う鋭い音が響く。「…くそっこいつ、なんかこないだより強くなってるぞっ」ランスォールとラウフを相手に全く引けをとらないカロウド。そんな彼を前にランスォールがぼやいた。因みにランスォールの言うこないだとは機械都市サントラーセットでの事だ。あの時はランスォールにコテンパンにされたのだが今はその気配すら見せない。「行きます。二人とも離れて下さいっ!『聖なる水よ 彼の者を喰
花神 ミライ さん作 [320] -
時と空の唄14-2
「さて、次に俺たちがやることは?」「【三種の神器】を封印…」「待って。」ランスォールの言葉を遮りシーラが言った。「どうしたんですか?」「こんな事…みんなに頼むのはおかしいってわかってる。でも、でもね。」そこまで言ってシーラは俯いてしまった。彼女の言いたいことは大体見当がついている。「それでもやっぱり…あの人は私の、たった一人の家族だからっ!出来るなら、救ってあげたい。もう一度チャンスをあげたいの
花神ミライ さん作 [305]