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花神ミライ さんの投稿された作品が152件見つかりました。

 
  • 時と空の唄14-1

    無事合流した四人はカロウドの邪魔が入らない内にと祭壇の水溜まりに剣と宝玉を浸した。――おかしい。明らかに、何かがおかしい。ランスォールたちの様子を見ながらシーラは得体の知れない奇妙な気配を感じていた。盾は本物。この場にカロウドはいない。なのに何故、この嫌な予感は何処から来るのだろうか。「シーラ!」儀式の準備を終えたランスォールが祭壇からシーラを呼んだ。「ええ、今行くわ…」一度だけ入り口を振り返り
    花神ミライ さん作 [338]
  • 時と空の唄13-9

    三人はただひたすらに走った。唄に誘われるように、導かれるように。この唄の先にシーラがいる。ただそれだけの為に、三人は薄暗い洞窟を駆けた。流れる唄が全ての罠を無効化していく。やがて三人は、本や懐中時計の中と同じ光景に辿り着いた。「シーラ!!」今まで流れていた唄が止んだ。「ランス…みんな…」「シーラ、無事だなっ!?」そう言ってランスォールは力一杯シーラを抱き締めた。「ちょ…ランス?」「勘弁してやれよ
    花神ミライ さん作 [334]
  • 時と空の唄13-8

    彼女以外の人の気配が消えた祭壇の間。天井から洩れ出る僅かな水滴だけが一定のリズムを刻み続けている。シーラはその中で静かに目を閉じ、そして大きく息を吸った。《青い風が通りすぎる 蒼い海がざわめく 碧い木々は芽吹き 空は春の訪れに輝く 雲は流れ時の流れに 消えてゆく》「―――…唄…?」ランスォールはハッとして顔を上げた。知らない唄だが、この歌声は何度も聞いた。初めて聞いたのはまだ幼い頃。この旅を経て
    花神ミライ さん作 [276]
  • 時と空の唄13-7

    「……くそっ!」力一杯に洞窟の壁を殴った。あの時伸ばした手はシーラの手を取ることなく空気を掴んだ。今はその手には無力感と後悔が残っている。そして今、シーラの消えた扉は堅く閉じられ、開く気配すら見られない。押しても引いても結果は同じ。少々手荒な手段も用いたが鉄の扉はびくともしない。彼らの行く手は今、たった一枚の、けれど酷く分厚い鉄の扉に阻まれているのだ。その頃、黒い光に包まれ気を失っていたシーラは
    花神ミライ さん作 [281]
  • 時と空の唄13-6

    「…行きましょう。」俯いたまま雪が言った。「…いいのか?イツキをこのままにしても」ランスォールが問うと雪は僅かに沈黙した後答えた。「……はい。」「わかった。行こう。」血と水の中にイツキを残し四人は神殿の奥に進んだ。神殿の最深部に到達するとそこには用意されたように地下へと続く階段があった。「…行くか。」隣でランスォールが息を飲んだのをシーラは僅かに感じた。「ええ。」松明を片手に暗い地下を照らしなが
    花神ミライ さん作 [311]
  • 時と空の唄13-5

    「…仕方ないね、雪。君とは戦いたくなかったよ…」イツキは至極残念そうに言うがそれが本心かどうかは定かではない。「私もです…イツキ」その瞬間からまだ幼さの残る少年と少女の一騎討ちが始まった。「『打てば響く氷霊の館 来たれ氷の鏡』!」雪が叫ぶように唱えると厚い氷の壁がイツキを囲んだ。「何のつもりだ、雪?」「……。」雪は氷の壁を張っただけでまるで攻撃を仕掛けてこない。それを不審に思ったイツキが雪に問う
    花神ミライ さん作 [264]
  • 時と空の唄13-4

    扉は大きさの割りに軽く、しかしいかにも重そうな音をたてゆっくりと開いた。中は外ほど寒くない。コートをその場に脱ぎ捨て、四人は神殿の奥へ進んだ。シンとした神殿内に四人分の足音が響く。「…にしても静かだな。」「ここまで静かだと逆に不気味ですよね。」ラウフの言葉に雪が相槌を打つ。「イツキの事もあるしなぁ…あいつも来てるだろう」「…はい。そう、ですね」雪が僅かに瞳を伏せたのをラウフは知らない。「よく来た
    花神ミライ さん作 [305]
  • 時と空の唄13-3

    「帰りはどうするんだ?」メイルがラウフに訊ねる。「どうする、ランス?」今度はラウフがランスォールに訊いた。「うーん…。どれくらいかかるか分からないからなあ…」「待っててもらう訳にはいかないものね。」シーラも言った。「そうだな…じゃあ3日後もう一度来るよ。3日分の食糧はあるんだろ?」メイルの出した提案に四人は頷いた。メイルの船が右へ左へと蛇行しながら遠ざかっていくのを見守り、雪の降る神聖なルメール
    花神ミライ さん作 [307]
  • 時と空の唄13-2

    「どうして地下なんですか?」雪が首を傾げて訊ねる。「トゥール港から北への船は出ていない。あんたらには『俺の』船に乗ってもらう。」メイルは微塵も雪を見ずに淡々と答えた。「『俺の』…?」要するに彼のMy船に乗せてくれると言う意味なのだろうがその言い回しにランスォールは僅かな恐怖と違和感を覚えた。やがて薄暗い地下を抜け、一行は外に出た。「ここは?」シーラが聞くとメイルはなんだか得意気な顔で告げる。「『
    花神ミライ さん作 [288]
  • 時と空の唄13-1

    トゥール港に着き、四人は馬を売り飛ばすとメイルと言う男を探して聞き込みを始めた。そしてその男が酒場にいるという情報を得た。酒場に行ってみるとバーボンを片手に飲んだくれる男の姿を見つけた。「あんたがメイル…かい?」ラウフが問いかけると男が振り向いた。顎に髭をたくわえた30代後半らしきオッドアイの男。「そうだが…何の用だ?」「フォーという男を知っているか?」その瞬間、メイルは怪訝な表情を浮かべた。「
    花神ミライ さん作 [301]
 
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