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花神ミライ さんの投稿された作品が152件見つかりました。

 
  • 時と空の唄11-5

    「あの、谷というのはひょっとしてヘトラレスタの谷ではありませんか?」そう訊いたのは雪だった。その男は少し驚いたがそうだ、と頷いた。三人はお互いの顔を見合わせ、何だか希望が湧いてきた気がした。「ヘトラレスタの谷…か。」フォーは小さくため息をついて俯いた。「何かご存知なんですか?」「知ってるも何も、あそこは俺の家だ。親父の名はレミス。」「え……!?」驚いた。と、同時に違和感を感じた。『人ならざる者』
    花神ミライ さん作 [306]
  • 時と空の唄11-4

    相変わらず騒がしい小屋の戸がゆっくりと開かれ、中から丸い顔の大男が顔を出した。「なんだい?」「あ、ああいや、雨宿りをさせてもらいたいんだが」ラウフが言うと大男はニッと笑い三人を招き入れた。「悪いな。」「いやぁいいのよ。酒は大勢で騒ぎながら飲むのが旨い。何しろこの雨だ。あんたたちも大変だろ。」ガハハと怪獣のように笑う大男。「俺たちゃ狩人でな。この嵐じゃ動物たちも出てこないし崖崩れもあって危ない。だ
    花神 ミライ さん作 [354]
  • 時と空の唄11-3

    シーラは自分の写った写真をフォーに返した。「不思議なもんだな。あの時も彼女はあんたと同じようにあそこで雨に濡れてたんだ。こんな所で何してるんだ、って聞いたら、何も、ただ行く宛がなくて座ってただけ、なんて答えてな。…あんたもそうなのか?」フォーにそう聞かれシーラは首を横に振った。「いいえ。旅の途中でした。」「へぇ…旅…。どこに行くつもりなんだい?あんたみたいな娘一人で。」一瞬、本当のことを言うか迷
    花神 ミライ さん作 [286]
  • 時と空の唄11-2

    フォーと名乗る彼が聞きたいことなど大体の予想は出来る。「……なんでしょう。」しかし、彼が最初に聞いてきたのはシーラの予想を遥かに越えたものだった。「あんた、年の離れた姉さんはいるかい?」当然、シーラには姉どころか兄弟はいない。「いません…けど…?」困惑した表情で答えるとフォーは肩を落とし頷いた。「そうか…そうだよな。」「あの…?」「あぁ、悪いな。人探ししてるんだ。名前は憶えていないんだがあんたに
    花神 ミライ さん作 [287]
  • 時と空の唄11-1

    茂みから姿を現したその人影はライフルを片手にしていた。「あんた…」ライフルを片手にしたそいつは狩人らしき男だ。「こんな雨の中何してるんだい?」「え……。あの…」「まぁいいや。おいで。直に嵐が来る。」訳もわからないままシーラは突然現れたこの男に手を引かれ山の中を進む。暫く歩くと山小屋を見つけた。薄暗い山小屋の炉に明かりが灯された。「ほら、風邪をひく。」そう言って男は白いタオルを投げて寄越してきた。
    花神 ミライ さん作 [288]
  • 時と空の唄10-10

    「おい、このバカ。さっさと行くぞ。」「だけど…」「だけどじゃねぇよ。シーラはきっとヘトラレスタの谷に向かってるはずだ。」小降りになった雨の中三人はラウフの自宅を出た。「でも、どうするんですか?今から言っても追い付けませんよね?」「それは、こいつに頼むんだよ。」ラウフが連れてきたのは二頭の馬。「雪はランスと乗ってくれるか。このままだとこいつ途中で引き返しかねないからその見張りだ。」「はい。」真剣な
    花神 ミライ さん作 [316]
  • 時と空の唄10-9

    翌日は、ラウフに叩き起こされた。雪も酷く慌てているようで落ち着かない。「おいランス!!昨日、シーラと何があった!?」ラウフはランスォールの肩を掴み揺らした。「シーラ、いないんだよ!しかも、こんな書き置き残して!!」胸に押し付けられた羊皮紙にはきれいな字でただ二言。ごめんなさい。さようなら。昨日の、ごめんなさい。と言ったシーラの声が蘇る。雨の向こうに消えた彼女の姿が目に焼き付いている。「シーラ…」
    花神 ミライ さん作 [301]
  • 時と空の唄10-8

    「シーラが母さんを殺した、そうなんだろ?」違うと、言って欲しい。これが勘違いだったと言うならどんなに心救われるだろう。「……。」シーラは、何も言わない。ただ唇を固く結び泣き出しそうな顔をしている。「…否定、しないのか?」勝手に声が震えてしまう。「私が彼女を死に至らせてしまった。私が彼女を殺してしまったのと同じよ。」違うと、言ってくれ。誰か、シーラじゃないと、言ってくれ。しかしシーラは、自ら罪を告
    花神 ミライ さん作 [313]
  • 時と空の唄10-7

    話したい事……そう、確かにある。「俺の母さんは、殺されたんだ。十三年前、俺の目の前で。」「……。」分かってた。いつか、こんな日が来ることを。分かってる。自分から話を振るなんて、どんなに愚かな事か。それでも、やはり私は知ってるから。何もかも、話す時が来たことを。だから、シーラは語り始めた。十三年前の、『あの日』を。「不老不死の体になって7年目の夏。そこで、ある親子に出会ったわ。母親とその息子が、小
    花神 ミライ さん作 [310]
  • 時と空の唄10-6

    「ヘトラレスタの谷の細かい場所が分かったぜ。」早くも3つ目の林檎を頬張りながらラウフが言う。「これがまた、随分辺鄙な場所にあってな。行くまでに10日はかかる。」「10日!?」「直線距離なら半日だ。ただ山んなかで、4つくらい越えなきゃならん。」驚いた。どうやらレミスという男は随分変わった人物らしい。「10日…山4つ…」魂の抜けたようなランスォールの目が右へ左へと泳ぐ。「準備は万端にしなきゃならない
    花神 ミライ さん作 [323]
 
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