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花神ミライ さんの投稿された作品が152件見つかりました。

 
  • 時と空の唄10-5

    「あなたの第六感を育てたのはやはりあの娘かしら?」冷酷なまでの笑みを顔に貼りつけたマザーリラ。その表情には畏怖の念すら沸いてくる。「シーラのことですか?」「そう、シーラ・アレフォール…。あの不吉なまでに澄んだ唄を唄う娘…。」マザーに言われ、不意にランスォールは13年前のあの日を思い出した。鮮血に染まる母、美しくも哀しい色をした夕日、揺れる銀髪、そしてあの唄。「ランスォール、一つ教えておきましょう
    花神 ミライ さん作 [302]
  • 時と空の唄10-4

    町外れに佇む教会からは定刻を知らせる鐘が鳴り響きそれは港にも聞こえる。「ランス兄ちゃん!」「ランス遊ぼう!」血の繋がらない弟妹たちは口々にランスォールの帰郷を喜んだがランスォールの表情はどこか堅い。「マザーに話があるから終わったらな。」と頭を撫でてやり、彼は教会の中へと入って行った。コンコン、「どうぞ。」扉が開き、緊張気味にランスォールは部屋に入り、暫くは沈黙と文字を書くカリカリという音だけが部
    花神 ミライ さん作 [317]
  • 時と空の唄10-3

    「…な、なんだよ。」あまりにもラウフがじっと見つめてくるのでランスォールは照れたようにそう言った。「いや、お前さ、早く教会行きたくて仕方ないんだろ?」「な……っ」「やっぱ図星か。」ランスォールは黙ってしまった。「行けよ。なに、丁度情報収集がこれからなんだ。それまでブラついてきな。」ランスォールは教会に行くというのでシーラと雪はキジルの街を堪能することにした。「うわぁ…。すごいです!」「うん。私も
    花神 ミライ さん作 [307]
  • 時と空の唄10-2

    がやがやと騒がしいほど活気ある港町キジル。あちこちで元気な店の主人たちの声が響いていた。「すごい…。本当に活気ある街です…」あちこち見ながら雪は驚いたように言う。「だろ?ここは世界一の港町たよ。」ラウフは誇らしげに言った。世界一に相応しい港町は今日も多くの人で賑わっている。ガチャリ。「ま、てきとーにくつろいでくれ。」ここはキジルのラウフ宅兼情報屋。「ガランとしたお宅ですこと。」「若い男の部屋だか
    花神 ミライ さん作 [321]
  • 時と空の唄10-1

    リリーラやレンデル、町長に見送られ、昼過ぎにはクラスを出た。クラーンの港に向かいながらヘトラレスタの谷について話す。「ヘトラレスタの谷って言えばこの辺…ですね。」雪が指した町は懐かしい、そしてランスォールとシーラの出会ったキジルだった。「キジル…か。」「まさか戻ることになるとはな…」「あいつら、元気かな。」教会に残してきたまだ幼い血の繋がりすらない弟妹を想い、ランスォールは空を仰いだ。「大丈夫よ
    花神 ミライ さん作 [273]
  • 時と空の唄9-11

    クラスに戻るとそこには温かいベッドと食事が待っていた。「うまぁ〜っ。あー、こういう瞬間って生きてて良かったって思うよな〜」「大袈裟すぎ。」リリーラは困ったように笑った。「それで、ミシャルさんに何て言われた?」「ヘトラレスタの谷のレミスを訪ねるといいと言われました。」一瞬、リリーラが目を見開くのをランスォールは見逃さなかった。「へ、へぇ。ヘトラレスタの谷…」リリーラの笑顔がひきつっている。「…なん
    花神 ミライ さん作 [354]
  • 時と空の唄9-10

    「作られた目的…ね。」ミシャルの表情にわずかに影がおちる。「それを語るのに、私は相応しくないわ。」「他に相応しい人間がいる、と?」ええ、と頷いた。「本当にそれを知りたいのなら【三種の神器】を作った者を訪ねるといいわ。」羽ペンをとりだしさらさらと羊皮紙に何かを書くミシャル。そして書いたソレをこちらに渡してきた。「彼を訪ねなさい。」羊皮紙に書かれたある男の名前。「レミス…?」「ヘトラレスタの谷に住む
    花神 ミライ さん作 [330]
  • 時と空の唄9-9

    「儀式の場?」「【三種の神器】を使う為の祠よ。」そう言ってミシャルは、今度は中身のある本を見せた。「この祠がどこにあるかは知らないわ。でも、ここは未知の力で満たされた未知の空間。」開かれた本には懐中時計で見たのと同じ洞窟の絵が描かれている。「この洞窟…!」「ええ。そうよ。」「そう言えば、奥の水溜まりに神器があったんだ。しかも剣だったかと思えば盾になった。…あれはなんだ?」「あなたたちの予想どおり
    花神 ミライ さん作 [347]
  • 時と空の唄9-8

    ぐるぐると回るような感覚の後ようやく周りの世界が見えてきた。どうやらどこかの洞窟のようだ。薄暗く、じめじめとした圧迫された空間。「なんだ…?この洞窟は」「進んでみれば分かるだろ」点々とした松明を辿って着いたのは、水溜まりサイズの池が三つ三角形にある少し開けた空間だった。「なんだ?この水溜まり」ランスォールが覗いて見ると水溜まりに剣が浮かんでいた。「剣…?」「見て下さい!こっちには盾が!」雪の指差
    花神 ミライ さん作 [332]
  • 時と空の唄9-7

    シーラの時間が20年前から動いていないことがわかるのなら無駄な小細工はせず今までの経緯を素直に話すことにした。「……それで?」ミシャルは続きを話すよう促した。「私たちは、【三種の神器】には呪いの解除以外に、別の能力があると考えています。」「そこで、伝説に詳しい私を利用する、と?」「まぁ、要約するとそんな感じだな。」カチャ、とティーカップを置いた。「ついてらっしゃい。協力してあげるわ。」ミシャルは
    花神 ミライ さん作 [317]
 
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