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みるく さんの投稿された作品が96件見つかりました。
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ナイト・オン・ドラグーン【93】話『闇の騎士』
−とこしえの闇は常に自分の傍にあった。それは何か特別に語り掛けてくる訳でもなく、害を及ぼすものでもなかった。時が経つにつれその闇に愛着を覚えるようになった。深い虚に光を一切赦さない黒き影は自分と似た所がある。求めた力は既に手に入っていた。己が目指す覇者への道は絶対なるこの力さえあればいいのだ。強者のみが生き延びる世界、力なき者は滅びるのみ。あと一歩。世界の全てを握る覇者になるのだ。だが…ある愚か
みるく さん作 [212] -
ナイト・オン・ドラグーン【91】話「神風吹き荒れる荒野で」
神風の守護者を打ち倒した。しかしその者は自分の友人だったのだ。神風の闘技場の外は、何ひとつ変わらない光景が広がっていた。神水の搭のように川に水が戻るでなく、大地の城塞のように闇が消えるでなく。荒れ果てた荒野と切り立った崖、そして青い空。だが、確かに神風の鍵は壊れた。ひとつの命が失われたのだ。人の命を奪うって…こういうことだったんだ…「俺は…結局、強者にはなれなかったのだな…」神水の守護者ギース
みるく さん作 [219] -
ナイト・オン・ドラグーン【91】話 『獅子の命ここに絶つ』
『ま、まだだ!まだ終わっちゃいねぇ…』吐血しながらジャックは立ち上がる。すでにその足元には鮮血が散っていた。『もうよせ、お前に剣を握れる力はない』『黙れ……終わっちゃ……いね…』力なくジャックは再び倒れた。『小僧の勝利…だな。』翼を畳みレグナが言う。『アイン。傷を見せて』駆け寄っていたマナが治癒の魔法を唱え始める。『本当に…これでよかったのかな』アインは倒れているジャックに目を向ける。『
みるく さん作 [170] -
ナイト・オン・ドラグーン【90】話『決着』
ジャックは歓喜に打ち震えた。アインという目障りな存在を消したことで。『アーッッハハハ…死んだ。ついに殺してやったぞ』『そんな…嘘でしょ?アイン』マナはペタリと座り込み、目を見開く。アインを包んでいる巨大な黒い塊がマナの瞳に写っている。『次は…あんたが死ぬ番だ。』いつの間にかジャックが目の前に立っていた。両手に持っている鋭利な短剣が鋭く光る。『あ…いや…』『死ねっ』ジャックが殺意を振り下ろす
みるく さん作 [212] -
ナイト・オン・ドラグーン【89】話『暗闇の果て』
『クソ…!』漆黒を帯びた塊が音もなくアインを包んだ。そして視界の全てが闇へと埋まっていく…時が止まる。全ての感覚が失われたように思えた。(そうか…俺はジャックの魔法を喰らって…)アインは目を開いてみるが、その瞳には光すら写せない。ただ無限に広がる闇ばかりだった。(手も…足も…感覚が…ねぇ俺は死んだのか…)意識で思考しているアインにとってどの状況なのか、闇の中で立っているのか横たわっているのかす
みるく さん作 [193] -
ナイト・オン・ドラグーン【88】話『憎しみ』
『オラオラオラオラァーーッッ!!!』ジャックは両手の剣を振る。一撃目は受け止められるものの二撃目で必ず弾かれてしまう。『くっ…』受け止め続ける度、肩の傷に激痛が走る。それでもアインはひたすらジャックの剣を受け止め続けた。不意にジャックの蹴りがアインの腹をえぐった。『がっはぁ…』アインは腹を抑え、粗く肩で呼吸した。『クカカカカ…”竜の子”とちやほやされてたお前がこんなにも弱かったなんてなぁ!
ミルク さん作 [215] -
ナイト・オン・ドラグーン【87】話『意地』
互いの剣が衝突する度、火花が散り、甲高い音が闘技場に響いた。ジャックの剣速を読み、自分への攻撃をアインは剣で弾いて防ぐ。至近距離内での殺陣を二人は繰り広げていた。『オラァ!!』ジャックの両手が唸り、その手に持っている双剣が防御せんと転ずるアインを弾き飛ばした。『…なっ!?』圧倒的な力に吹き飛ばされ、アインは床を転がった。すぐさま起き上がり、後ろへ一本引く。『ククク…そんなものか?』愉快そうに
ミルク さん作 [218] -
ナイト・オン・ドラグーン【86】話『旋回』
『ジャック…お前が守護者の一人だったなんて。』どこか薄笑いを浮かべる親友をアインは見据える。既にジャックの両手には剣。自分と戦う気は万全なのだろう。『そんなことはどうでもいいだろ?アイン、お前は守護者を討ちに来た。そうだろ?』ケタケタと笑いながら、ジャックは肩を竦める。アインは剣を抜いた。対峙して初めてわかるこの威圧感。長年、剣の稽古を共にしてきたはずなのだが、今までに感じたことのない緊張
ミルク さん作 [203] -
ナイト・オン・ドラグーン【85】話『親友』
”神風の搭”。四つ目の封印を解放すべく、アインとマナはレグナの背に乗り空を翔けた。『ん…?あれか』呟くとレグナは飛行速度を上げた。前方に見える大陸は、荒れ果てた荒野で広がっており、見渡す限りの荒野の中心に”神風の搭”がそびえ立っていた。『封印の搭だと言うのに…人の気がないのは気のせいか?』アイン上空から見下ろす。その建物は酷く朽ちているように見え、”搭”という建造物には程遠い”円”の形をして
ミルク さん作 [195] -
ナイト・オン・ドラグーン【84】話『褶曲』
大地の搭から出たときには、すでに闇は消えていた。青い空が頭上に広がり、明るい陽射しが降り注ぐ。人々が歓声を上げていた。誰もが空を見上げ、少しでも光を感じようと両腕をいっぱいに広げている。『ん…あれは…』その人々の中に、アインは求め続けていた人の姿を見た。全力で駆けた。『マナ…!』やはりマナはここへ来ていたのだ。捕われたのだとばかり思っていたが…大地の鍵を壊すために。人々に自由と笑顔が戻ればという
milk さん作 [214]