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みるく さんの投稿された作品が96件見つかりました。
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ナイト・オン・ドラグーン【63】話『竜眼の戦士』
駆け込んできたその兵士はすでに手傷を負い、瀕死に近いように見えた。ジャックは駆け付ける。『おい!どうした!?』『竜…眼の男が…ぐふ』それだけ言うと兵士は途絶えた。『竜眼の!?くそっもうきやがったか!!』ジャックの黒い光が更に拡大していく。部下を殺された怒り、だとアインは思った。『…ジャック!』駆け出そうとしていたジャックを呼び止める。『お前との戦いはまた後だ!』言い残し、アインの視界から
milk さん作 [288] -
ナイト・オン・ドラグーン【61】話『金髪の竜と青髪の獅子』
錆の街。暗闇の広場にはアインとマナ、そしてジャック。月明かりに照らされたその姿は金髪の少年と青髪の少年が互いの武器を重ねていた。『…どうしたよ、本気でこねぇと死ぬぜ?』『やめろっ!ジャック!』刃と刃の押し合いで剣が小刻みに揺れた。(この感じ…ジャックお前は一体…!?)薄々感じていたものがやがて確信へと変わった。ジャックの体には何か黒い光が発っせられている。それはまさしく『魔』との契約の証
milk さん作 [317] -
ナイト・オン・ドラグーン【60】話『志願兵』
『いえ…この子供が侵入しようとしていたので…』兵士はそう言うと、ジャックを下ろし敬礼する。『ほう…そこの少年が?』ジャックはただならぬ気配を悟ったのか、少し後ずさる。『ん?アインとエリスもどうした』アインは日頃忙しい父親の登場に嬉しくてしょうがないのか、オローの足元を走り回っていた。『はっ!お勤めご苦労様です』エリスは踵を返したようにオローに敬礼する。八歳とは思えない礼儀作法と騎士としての義
milk さん作 [302] -
ナイト・オン・ドラグーン【59】話『出会い』
”友達”という心地よい言葉をいつから知ったのだろう。アインが父オローに連れられ、封印騎士団の中で過ごしていたある日のことだった。当時のアインはまだ人の言葉がわからず、ただ、オローやエリスにくっついてばかりいた。その頃は冷たい態度を示す他の騎士団員には近寄り難かった為か、アインは同い年のエリスばかりに付きまとっていた。『んもう!アインはわたくしの後ばかり着いてきて』まだ八歳のエリスにはアインは疎ま
milk さん作 [388] -
ナイト・オン・ドラグーン【58】話『青き獅子』
アインは信じ難かった。永年連れ添ってきた親友がこんな形で自分を欺くことが。そしてさっきの剣撃。いつジャックが剣を抜き、いつ踏み込んだのか、アインの知らない力がジャックに宿っていることは確かだった。『ジャック…!お前!?』親友だと思っていたのに、裏切られた気分に浸る。『そこをどけ!俺はその女を斬る』ジャックの眼光が鋭くなる。『やめろ!俺はマナに惑わされているわけじゃない。』『アイン…』背で
milk さん作 [280] -
ナイト・オン・ドラグーン【57】話『友の裏切り』
からかい口調でいいながら、歩み寄ってくるその姿。暗くてよく見えないが、やがて月明かりに照らされた。青髪に二刀の剣。それはまさしく親友のジャックだった。『俺達の邪魔をしようってか?』低い声ですごまれても、ジャックは全く動じた様子はなく、ただ肩を竦めた。『てめぇらを叩きのめしたりしたら、邪魔したってことだよなあ』『お、お前は…例の[青髪の獅子]!』一人の男が悲鳴混じりに叫んだ。『んなもんっ関係あ
milk さん作 [289] -
ナイト・オン・ドラグーン【56】話
裏通りに入ると、マナは一直線に酒場の店に入った。情報を得るのなら人が集まる場所が効率がいいと踏んだのだろうとアインは思った。店の中に入ったと同時に酒の匂いがした。客が大勢いて、その真ん中を突っ切って歩く。当然ながらも、周囲の視線を感じる。野次も飛んできた。『青髪の男を探しています』マナは店主らしき男にそう言うとその手に金貨を握らせた。店主は静かに受け取るとズボンにしまい込んだ。『青髪の男?あぁ〜
milk さん作 [302] -
ナイト・オン・ドラグーン【55】話『荒くれ者の町』
[錆の町]は[水の村][焔の町]とはおよそ共通点のない場所だった。町の周囲には高い防壁が築かれ、人の出入りは正門と北門の二カ所からに限られていた。この防壁のおかげで、この町は帝国軍による侵略、破壊大戦を免れたのだと聞いた。しかし、住む者、訪れる者には不便この上ない。正門も北門も夜には閉鎖され、一切の出入りが禁じられてしまう。幸いアインたちが町に着いたのは夕刻で、閉門の直前だった。『門を閉鎖するの
MilkTea さん作 [280] -
ナイト・オン・ドラグーン【54】話『幼き日の誓い。後』
『だって、エリスは女の子だもんなっ。だからエリスは俺が守るよ』そう言うとアインは笑って見せた。『ありがとう、アイン。約束よ?』小指をアインに差し出す。『約束だ。』そう言うと小指を絡ませた。エリスはその日の約束を胸の中に刻み込んだ。そして数年が経った。エリスは着実と仕事をこなし、その努力と天武の才を認められ、騎士団の階位を確実に登り詰めていった。今や、最年少で一個小隊を連ねる者にまでなった。(アイ
MilkTea さん作 [238] -
ナイト・オン・ドラグーン【53】話『幼き日の誓い。前』
−…約束よ、アイン。−−うん、約束しよう−いつだったか、エリスはアインと大切な約束を交わしたのを覚えている。まだ二人とも正式な封印騎士団ではない、訓練生だった頃だ。その日、エリスはアインをアンクレット城の中庭に呼び出した。『どうしたんだ?こんなとこに呼び出して。』『こっち来てくれるかしら?』渋々ながらもアインは言われた通りに歩み寄ってきた。『用事ならべつに他の場所でも…』アインの言葉を遮るように
MilkTea さん作 [268]