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じゅりあ さんの投稿された作品が208件見つかりました。
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Person of THE fate〜運命の人〜33(SAORI)
「さおりん…?」目の前の彼が、確かめるように問い掛けて来た。私は小さく頷く。初めて聞くこうちゃんの声。高くも低くもなく、胸が鳴る。まさか、こんな形で会う事になるとは…。向こうもそう思ってると思う。私は緊張や罪悪感やらで、上手く喋る事が出来なくて黙ってた。こうちゃんも、何か考えてるんだろうか?何も言わない。あのまま待ってたら来てくれると思ってた。なのに、さっきはこうちゃんから逃げるように電車に乗っ
じゅりあ さん作 [255] -
Person of THE fate〜運命の人〜32(KO-TARO-)
―そこには彼女の姿はなかった。(間に合わなかった…)息を切らした俺は、近くのベンチに腰を下ろした。脱力…。「はは…」何か可笑しくなって、口から乾いた笑いが零れた。そうだよ、今のクリスマスシーズンに、彼氏のいるさおりんが一人な訳ないし。あれだ、そう…幻ってヤツ。一人で淋しい俺の未練が見せた幻だ。電車が来て、俺はトボトボと乗り込む。入り口に立って、ぼんやりとドアの外を眺めていた。(何をやってんだろう
じゅりあ さん作 [238] -
Person of THE fate〜運命の人〜31
電車に乗り込んだ光太郎は、ホームに立つ女学生と目が合った。星窪女学園の制服だ。ちえみが着てるのを何度も見て覚えている。『ドアが閉まります』アナウンスが聞こえた。(え…泣いてる…?)目を逸らした彼女を見て、まさかと思った。黒いミディアムの髪に、奥二重気味の目…。少し距離はあっても、視力の良い光太郎にはわかった。(…さおりん!!)そう思った時には、もうドアは閉まっていた。握り拳をドアに押しつける。光
じゅりあ さん作 [253] -
Person of THE fate〜運命の人〜30
『まもなく電車が到着します』アナウンスが流れ、さおりは席を立つ。電車のやって来る方向に目をやると、階段を上がって来る人影が見えた。白宮工業の制服を来た学生だ。(こうちゃん…)光太郎が白宮工業だと知って、白宮の制服を見るといつも思い出していた。自然とその学生を目で追う。電車が到着し、ドアが開くと彼は乗り込んだ。「!?」さおりは驚きでその場から動けずにいた。目で追っていた彼が、いつかの写真の“彼”と
じゅりあ さん作 [332] -
Person of THE fate〜運命の人〜29
光太郎の爆発により、一瞬にして店内が静まり返った。仁ですら瞬きを忘れ、光太郎を見ている。 「ゴメン…帰るわ」ぼそりと呟くと店を出る光太郎。背にしたドアの隙間から「冗談が通じない男はやだね〜」とか、「ささ、アイツの事は忘れて楽しみましょう!」などと声が漏れている。(仁、ひびってたな…)自分でも信じられないくらいだ。普段が比較的、温厚なだけに…。頭を冷やしつつ駅に向かう光太郎。(どうかしてる…)周り
じゅりあ さん作 [273] -
Person of THE fate〜運命の人〜28
「初めまして〜☆私達、聖林女子の二年で〜す」目の前の女の子達が、入って来た仁と光太郎を招き入れる。「初めまして〜♪俺ら、白宮工業。ヨロシクね〜☆」仁が愛想を振りまく。光太郎はやっぱり乗る気ではない感じだ。光太郎が連れて来られた所は小さな喫茶店で、どうやら貸し切りのようである。クリスマスらしくキレイに飾り付けされている。「仁〜、遅かったじゃん」友達らしい松下高校の制服を来た一人が仁の肩に拳をあてる
じゅりあ さん作 [278] -
Person of THE fate〜運命の人〜27
「こ〜うちゃん♪」授業が終わると、すぐに仁が光太郎に絡み付いた。「何だよ…」「今日は、こうちゃんにとっておき情報です☆」どうせロクでもない事だろうと、光太郎は帰る準備をしていた。ちなみに今日は野球部も休みだ。「実は、聖林女子と合コンなのよ♪それを光太郎クンにも是非だね…」「行かない」仁をほっといて席を離れようとする光太郎。ところが仁は追い掛け回り込む。「バッカ、お前!聖林っつったら巨乳だらけだぞ
じゅりあ さん作 [293] -
Person of THE fate〜運命の人〜26
瞳と言う女のメールを見て、ショックだった。だけど、さおりには一樹を責める事は出来なかった。それを理由に別れを切り出したからだ―。十二月、何度もあった一樹からの電話も、もうかかって来る事はなくなった。もうじきクリスマス。さおりは一年の中でクリスマスが一番好きだった。『いつか、クリスマスは運命の人と過ごすんだ♪それが夢なの』いつかのメールで光太郎に言った事がある。彼氏がいなくなった今ではもう、叶いそ
じゅりあ さん作 [269] -
Person of THE fate〜運命の人〜25
「昨日は、連れと飲みに行ってくるって行ってたよね、電話で」「うん…」「連れの彼女が、彼氏の連れに、わざわざハート付きのメール…送るかなぁ?」ここまで来て、一樹は黙り込んだ。さおりもそれ以上、何も言わない。「さおり…こっち来て」先に口を開いたのは一樹の方だった。さおりは言われる通り一樹のいる、ベットへ向かう。一樹は、はぁ…と息を漏らすと「ゴメン!!」と頭を下げた。さおりは冷ややか目で、その姿を見て
じゅりあ さん作 [217] -
Person of THE fate〜運命の人〜24
さおりは、リダイヤルと着信履歴を覗いた。最近の一樹の行動に、引っ掛かるものがあったからだ。特に気になるような番号はない。さおりはホッと胸を撫で下ろし、今度は受信メールを開いた。さおりも知っている一樹の友達からのメールが数件。その下に、“瞳”と、さおりの知らない女の名前が表示されていた。日付は昨日になっている。(友達…?まさか…)半信半疑で、内容を確認する。『かず君、今日は楽しかった♪ありがとう(
じゅりあ さん作 [157]