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アイさんの投稿された作品が109件見つかりました。

 
  • 子供のセカイ。252

    対話で時を延ばし、さらに挑発で怒らせることでじわじわとなぶり殺されることが狙いだったのに、覇王はそれさえ許してはくれないらしい。「この時が来るのを、一体どれだけ待ちわびたことか」覇王は噛み締めるように呟くと、恍惚とした顔でミルバを凝視した。ミルバでさえ恐怖を感じるような、狂人の笑みだった。「ようやく計画が達成する。そうなれば生かしておいたお前の分身にも用はない。城へ帰ったら即座に始末することにしよ
    アンヌさん作 [290]
  • 子供のセカイ。251

    「貴様らはさっさと城へ戻れ。私がいない間の穴を埋めぬつもりか?」ハ!と元気よく返事をして、兵達は素早く退却した。ガチャガチャと鎧の鳴る音があっという間に遠退き、そこには覇王とミルバのみが残される。二人は廃墟の中、少し距離を置いたまま、互いを牽制するように睨み合った。ミルバは最初から、ここを決戦の場と決めていた。最初に両者が出会い、その後の運命を決した場所。例えただの足止めだとしても、覇王と対峙する
    アンヌさん作 [299]
  • 子供のセカイ。250

    その計画で、ラドラスは前線にはいなかった。今、彼が走り出した治安部隊を追えば、確実に彼らを仕留めることができるだろう。人数が多いせいで何人かは取り逃がすかもしれないが、司令塔であるハントや、ハントと交渉したであろうジーナを潰せば、頭を失った連中は烏合の衆に過ぎなくなる。(だが、まだ終わらせるには惜しいからな)ラドラスはどんどん楽しくなってくる気分を抑えられず、ついに鼻唄まで歌い出した。腰に差した剣
    アンヌさん作 [285]
  • この眼差しが溶けるまで

    遠く置き忘れた光は世界を汚して消えましたまるで最初から何もなかったかのように変わり果てた夢は心を砕くものでしかなくカタコトトタンと普通を生きる私の中、乾いた音を立てて転がるのです曇った現実は私のせいこの目が欠陥品だから何も映してはくれないからでもそれなら、この耳も飾りだというの?以前はよく聞いていた歌さえ最早私の心を揺さぶることはないのですただ知っているのはそれでもこの世界は、何を失っても輝き続け
    アイさん作 [313]
  • 子供のセカイ。249

    黒髪に白い腰布、日に焼けた肌を惜しげもなく晒したその姿から、すぐにそれとわかる。さらに端の方には、似たような黒髪の長髪にカーキ色のマントをまとい、大きな麻袋を背中に担いだ女。金髪が輝き、青を基調とした立派な衣を纏った少年が、一行に混ざっていた。「お、ジーナじゃん。それに王子も。あいつらも一緒に行くのか」同様に横の窓から首を出したラドラスは、目をすがめて、魚の群れのように一直線に外を目指して走る一行
    アンヌさん作 [311]
  • 子供のセカイ。248

    「これを大至急ハントに届けろ。そして指示通りに動け!あと、保管庫のボールをできる限り運び出すから、何人かすぐ下りてくるよう伝えてくれ!」「あ、ああ!わかった」青年は混乱した様子だったが、副リーダーの気迫に、せり上がる問いをすべて飲み込んだようだった。鋭い戦士の顔つきになって頷くと、王子よりもさらに早く、弾丸の勢いで部屋を飛び出していく。ルキは拳を心臓の上に当てると、深呼吸を繰り返した。言いようもな
    アンヌさん作 [296]
  • 蝉の夏

    終わってしまう夏だからこそ僕は君に恋をした儚い蝉の命のように七日と保たぬものかもしれないけど風と踊る緑の煌めきがそうさせるのか光となって飛び散る水飛沫がためなのか熱い暑い、焦げ付くような太陽のせいなのか身体中で「生きてる」感じがするこんな季節は子犬のように誰かとはしゃぎ合っていつまでもいつまでも無邪気に笑って夏と遊んでいたいと思ってしまういつか消える夏その楔にさえならないほんの一時だけど今感じてい
    アイさん作 [330]
  • 子供のセカイ。247

    揺るがない光の灯ったルキの黒い瞳を見て、王子は胸に希望が膨らむのを感じた。ばれないよう、背中に回した腕で強くガッツポーズを決める。そうなるだろうと予期していたこととはいえ、やはりどうなるか、不安ではあったのだ。(よかった……本当によかった……!)これで、圧倒的不利な状況からは、何とか脱却することができた。少なくとも、強制労働施設から脱出し、城へ到達することくらいはできるに違いない。「それで、お前ら
    アンヌさん作 [288]
  • 子供のセカイ。246

    「王子がこそ泥の真似とは、堕ちたもんだな」なじるような声に、王子はぎくりと背筋を伸ばした。慌てて振り返ると、そこには腕組みをして、ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべるルキの姿があった。王子は思わず、ホッと肩の力を抜いた。監査員の子供であったら、どうしようかと思ったのだ。しかし完全には警戒心を解かず、胡散臭いものを見る目で、じいっとルキを睥睨する。「何だ、君か……」「失礼な言い草だな。それよりお前、うま
    アンヌさん作 [290]
  • 子供のセカイ。245

    (こいつは……、やっぱり許せないんだろうな、舞子のことが)美香自身はきっとそれほどには思っていない。舞子を説得し、救い出すことのみを念頭に起き、あとの感情はいつものように胸の奥底で噛み殺しているに違いない。それでもそこには、冷たい怒りが漏れだし、滲んでいた。“真セカイ”を脅かされ、自分の周りの人間が危険にさらされているというのに、何も感じないような人間がどこにいるだろうか。しかも、それをやろうとし
    アンヌさん作 [309]
 
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