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アイさんの投稿された作品が109件見つかりました。

 
  • 子供のセカイ。244

    (今ここにいる少年が捕獲対象であるとは限らない……こいつを耕太の姿に仕立て上げることで、仕掛けた罠の可能性が大きいからだ)そう冷静に分析すると、ソラは苛立ちを隠しもせず、叩きつけるように耕太の腕を突き放した。石畳に少年が身を横たえるのを見もせず、城の方角へ向かって全速力で走り出す。(私達を撹乱し、その間に城へ侵入するつもりね)舞子様の身が危ない……。それだけを心の柱として打ち立て、ソラは白の乙女達
    アンヌさん作 [347]
  • 子供のセカイ。243

    チッと舌打ちをしかけたその時、脇道から踊り出た白の乙女が、美香の上に飛び掛かると同時に催眠粉を振り掛けた。「!」まともにそれを喰らった美香は、よろり、と足首が折れ、地面に崩れ落ちる。レミはほっと息を吐くと共に、少しだけ相手の乙女を妬ましく思った。それほど名誉欲があるわけではないが、手柄を横取りされた気がしたのだ。「シド、到着早かったわね」「ああ、近くの通りにいたものでな。捕獲できてよかった」短い髪
    アンヌさん作 [340]
  • 子供のセカイ。242

    白の乙女と光の子供は、時間が静止したかのように、騒音の中で互いにじっと見つめ合った。猫のような乙女が、うるさく鳴り続けるメロディーを、指揮者のように片手を握ることによって止める。そしてなぜか、肩透かしを喰らったように残念そうな顔をした。「意外ー。まっさかあたしたちが見つけちゃうとはね。面倒くさいし、無視しちゃおっか」「冗談。あたしらが何のために舞子様によって想像されたか、忘れちゃいないわよね。……
    アンヌさん作 [344]
  • 望みのない望み

    明日を語るその口からこぽこぽ、こぽこぽと淋しい気泡がこぼれ落ちてでもその人は気づかなくて窒息死寸前で歌うことを糧に、ようやく呼吸の仕方を思い出した誰もが不透明な現実に浸りながら生きてて気づかれないように悟られないように子供専用に売られたらくがき帳に、さりげない絶望を刻むんだ望むものは皆同じ水っぽい絵の具のように無力な僕らは鮮烈な色を持つ誰かにできれば綺麗な色に染めてもらいたいと、埒の明かないことを
    アイさん作 [335]
  • 子供のセカイ。241

    美香は手の中の紙を握り潰すと、身を翻して耕太の元へと走っていった。白の乙女たちは、その日も通常通りに捜索任務を遂行していた。「……いないわね」「ソラ、あたしもう疲れちゃった。休んでもいい?」「見つかったら覇王様に殺されるわよ」そんな会話を交わすのは、ある二人の乙女たちである。彼女たちはラディスパークの中心から、八本の通りが伸びる地点に差し掛かり、隊を崩して、二人ずつに分かれたところだった。そこは以
    アンヌさん作 [343]
  • 子供のセカイ。240

    覚悟ならすでに固めた。姉と幼なじみの耕太を捕まえ、舞子は覇王やラドラス以下囚人たちを従え、“真セカイ”に入る。そして悲願の達成を――。「……」舞子は、ふと考えた。――お母さんは、こんなことをして本当に喜んでくれるのだろうか?その問い掛けの持つ恐ろしい破壊力が、舞子の胸を容赦なくえぐった。「――違う!」舞子は声を張り上げた。ぎゅうっと絨毯に両の指を食い込ませた時、バタン、とドアが開く音と共に、夜羽部
    アンヌさん作 [337]
  • 子供のセカイ。239

    (追い掛けてこいよ、ジーナ!)ラドラスは高鳴る気持ちを堪え切れず、心の中で叫んだ。彼女はきっと自分を止めようとするだろう。だが自分は、それを全力で拒否してやるのだ。己の背中を追う、食い入るような黒い一対の瞳を思うだけで、ラドラスは走り続けることができた。舞子は自室にこもっていた。薄暗い闇の中、床に敷いてある絨毯の上でうずくまり、ソファにもたれ掛かったまま、ぶつぶつと自分にしかわからない呪文を呟いて
    アンヌさん作 [351]
  • 子供のセカイ。238

    ラドラスは真っすぐにトンネルを見つめる。その先にある“真セカイ”まで見通すような眼差しで。しかし彼に見えているものは、まったく別の存在だった。「……俺は、」ラドラスは何気なく呟いてみる。いつもの彼らしくない、荒んだ表情をしているのが、鏡を見なくともわかった。思い出す。こちらを睨みつけ、震える手を剣の柄にかけた、勇ましい女の姿を。「…くっ!」ラドラスは笑いを噛み殺した。あんな迷いを刻んだ目で、彼女は
    アンヌさん作 [366]
  • 子供のセカイ。237

    ハントはぎりぎりと歯を噛み締め、額に手を当てている。眉間に深いしわが寄り、苦悶の表情だ。何がそこまで彼を追い詰めているのだろうか。(……だが、同情している時間はないんだ)ジーナは少しだけハントを憐れに思ったが、そんなことはおくびにも出さずに、きっぱりと言った。「ミルバの生死は、今は置いておけ。それより、トンネル開通の方が遥かに重大な問題だ。お前たち治安部隊の心積もりを知りたい」「……お前らはどうす
    アンヌさん作 [354]
  • 愛とは

    黄昏れた現実に頬杖をついて愛とは何かそこはかとなく考えてみる光やわらぐ野辺にただ一輪咲く可憐な花は愛だろうか星降る夜に苦しげに恋人を抱きしめるその腕は愛だろうか孫が祖母に贈る下手くそな似顔絵を描いた色とりどりのクレヨンは愛だろうかそれは何処に眠るのだろう何処から来たりて何処へ行こうとしているのだろう伴侶の墓に永遠を誓うその小指は違わぬ性にさ迷う心はきりきりと鳴く虫たちの穏やかな演奏は蒼き明け方に孤
    アイさん作 [443]
 
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