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紗弥佳 さんの投稿された作品が53件見つかりました。
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角砂糖が溶けていくように?
あの時も雨が降っていた。今と同じように静かに、細い糸みたいに。真夜中の闇と街灯の白い光の中に溶けていくみたいに。携帯電話が鳴る。それを合図に私は部屋の窓の鍵を開ける。窓の外には自分の彼氏ではない男の子が立っている。私は目で、入ってきていいよ、と合図して窓を開ける。一階の私の部屋の窓は小さいから体を丸めて私の部屋にやってくる。そして、気がつけば彼の腕の中にくるまれている。「傘、差してこなかったんだ
紗弥佳 さん作 [411] -
角砂糖が溶けていくように?
誰か、どうか、私が今、ここに居ても良いという証をちょうだい。そう思っていた頃。扉の外にでられなかったあの頃。誰かと繋がるだけで、自分の存在を確認していた。その場だけでも必要とされていると思い込んで自分に存在価値を与えようとしていた。扉の内側に足を踏み入れる。もう一度、戻ってこられると自分に言い聞かせて。「ごめんなさい、少しだけあなたと居なかった頃の私に会いに行きます。」コーヒーはもう冷めてしまっ
紗弥佳 さん作 [447] -
角砂糖が溶けていくように
コーヒーを淹れた。窓の外の街灯の白い光と夜の部屋の静けさが溶け合っている。今は一人じゃないのに。コーヒーに砂糖を一つ落とす。わざと、とぷんと沈んでいく音がたつように落とす。その音は少しだけ、私を「今」に留めさせてくれる。茶色いコーヒーシュガー。普通の角砂糖より大きくて、砕いた石みたいにごつごつしている。なかなか溶けないから、スプーンを何度も廻す。雨が静かに降り始めた。スプーンを廻す手をとめて、目
紗弥佳 さん作 [600]