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あこん さんの投稿された作品が101件見つかりました。

 
  • らぶふぁんとむ20.3

    「お父さんに今日の晩ご飯は煮物よ、て言ったらすぐ帰ってくるって。」実家の台所で下拵えを始めた恵一に母が言う。「…この家は息子が帰ってくるよりもちゃんとした料理があるほうが嬉しいのか。」げんなりした様子で恵一は呟く。「…醤油もねぇのかこの家は。」「食卓用なら。」母は小さな醤油瓶を持ってくるが、「煮物じゃなくて蒸物になるぞ、そんな量じゃ。」恵一はあちこちの収納を調べる。すると、一本のプラスチック製の
    あこん さん作 [419]
  • らぶふぁんとむ20.2

    なにやら豪勢になった昼食を終えた恵一は、やることもなく窓を見る。彼女が消えていった窓だ。「…。」恵一が感慨に耽っていると、携帯が着信を知らせた。「はい?」相手が誰かも確認せずに、通話のボタンを押す。聞こえてきたのは懐かしい声だった。『恵一?』「これは俺の携帯だ、他に誰が出るんだよ。」相手は実家の母親だった。「なした?」『いやね、お隣りの坂下さん、覚えてる?』「あぁ、覚えてるよ。幾つか年上の姉ちゃ
    あこん さん作 [236]
  • らぶふぁんとむ20.1

    …まだ、まだまだ話足りないのに。伝えたい事が沢山あったはずなのに。声が聞きたい。話がしたい。…会いたい。日村孝太は、一人街中を歩いていた。七月下旬、世間一般に言う夏休みである。中三の孝太もそれは例外ではない。「よう日村。」目的も無く歩く孝太に声が掛けられた。振り返ると、一つ上の先輩であった。「あっ、お久し振りです。」彼が中学時代に、孝太はそれなりに親しかった。街中で会うのは予想外であったようだが
    あこん さん作 [390]
  • らぶふぁんとむ21(完)

    「まさか恵一が十五も年の離れたお嫁さんを貰うとはね。」もう二十年以上の付き合いになる日村孝太が関心したように言う。「…そうね、私がアプローチした時は軽くあしらったくせに。」同じく二十年近く友人を続ける八夜みこが続ける。小野瀬恵一は苦笑して二人の友人に紅茶を出す。「まぁいろいろあってな。式も挙げてないし。」報告が遅れた事を申し訳ないという気持ちで恵一は笑う。指には、安物の指輪がはまっている。「しか
    あこん さん作 [299]
  • らぶふぁんとむ20

    「話、って?」珠希の声に、不穏なものを感じ取って、恵一の声は震える。「…私は、幽霊です。」「知ってるよ。」「一ヶ月前に死にました。」「うん、知ってる。」買ってきた指輪の片割れを握り締める。「…本来なら、私は天国へ送られるはずでした。…天国、のような所へ。」「成仏する、てことか?」「…みたいです。…私を連れに来た死神の人に私は言ったんです。好きな人に、気持ちも伝えてないって。」これは、初日に聞いた
    あこん さん作 [222]
  • らぶふぁんとむ19

    「あれ?恵一くん出かけるんですか?」珠希が散歩から帰ってくると、恵一が靴を履いている所だった。「あ、あぁ。孝太に呼ばれてな。」すぐ帰るから家にいろ、と言い残して恵一は出て行く。「…あれ?日村くんって週末は田舎に行くとか言ってたような?」数日前に恵一と話していた少年の顔を思い出す。「…嘘吐いてまで何するつもりなんですかね?」女の勘で、恵一に女の影があると判断し、家を飛び出そうとする珠希であったが、
    あこん さん作 [194]
  • らぶふぁんとむ18

    料理というものは、生活に密着した趣味である。そんな持論で恵一は台所に立つ。「タマー、手伝ってくれるかー?」居間、というか寝室というかワンルームでくつろぐ珠希に声を掛けた。幽霊がスピリチュアルなテレビ番組を見ているというのもシュールな光景である。「はーい。」テレビに集中していた訳でもなく、珠希はすぐに恵一の元へやってくる。「上に小麦粉が入ってるはずなんだ。」「なんか高い所から物運ぶ仕事ばかりですね
    あこん さん作 [210]
  • らぶふぁんとむ17

    昼休みが明けて午後の授業。珍しく、いや、初めて珠希が恵一の隣にいなかった。(何をやっとるんだあいつは。)恵一の机の上には、ペンが二本置かれたまま。教師が板書を始めたのを見計って視線を巡らせれば、やや離れた位置の八夜みこの真後ろでうっすらと微笑む珠希を見つける事が出来た。(…何するつもりだあいつ?)珠希はと言えば、まず消しゴムを隠した。ノートに写す途中、間違えたらしいみこが消しゴムを探して首をぐる
    あこん さん作 [226]
  • らぶふぁんとむ16

    コンクリートの屋上は、非常に暑い。そんな暑い中、珠希は恵一に文句を言い続ける。幽霊に汗腺など無いだろうが。「恵一くんはなってません。私というものがありながら、他の子に目が行くだなんて。」(うぅーむ、暑いぞ。)「あぁ、もしかしてああいう子が好きなんですか?」恵一は熱に耐えるので精一杯。珠希の言葉を聞く余裕は無かった。そんな中、校舎から間延びしたチャイムが鳴る。昼休みに入ったらしい。「いいですか?私
    あこん さん作 [187]
  • らぶふぁんとむ15

    「…。」珠希はジト目で恵一を見続ける。給食を食べる恵一の正面に浮いて、珠希は恵一を見続ける。「…。」珠希は、ただひたすら不満そうに恵一を見続ける。発端は朝の登校時間。「さぁ恵一くん、急がないと遅刻ですよ。」「原因は、お前が、俺の上に、乗ってた事だがな!」珠希が睡眠中に上に乗ると、どういう訳か金縛りに遭うらしい。ふわふわと浮遊する珠希に対し、恵一は自分の足で走っているために息も絶え絶えだ。恵一が罵
    あこん さん作 [189]
 
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