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あこん さんの投稿された作品が101件見つかりました。
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素敵な恋の見つけ方5
「…俺が主人公なんだよな?」余りの不遇さを嘆いたが、その言葉は溶けたアイスのように流れていく。俺の名は片桐篤。社会勉強の為に大先輩の3メートル後ろを歩いている。「お前があの店を知っていたとはな。」前方を可愛い幼馴染みと歩くのは久保匠。同級生ではあるが人生の大先輩だと今は信じている。その隣りを歩くのは間宮鈴子。久保は否定するが、間違いなく幼馴染みの間柄。「友達に教えてもらったの。匠は?」何故俺が離
あこん さん作 [235] -
素敵な恋の見つけ方4
「つまりはハッピーエンドにならないんだな?」確信を持って出した答えは、リノリウムの床に反響して何処かへ行った。俺の名は片桐篤。白き薄布なんてあだ名が付いたこの学校の有名人。「二つ名のある高校生なんて全国的にも珍しいぞ。やったな。」隣りで薄ら笑いを浮かべる美形オタクは久保匠。俺としてはお前に通り名があるべきだと思う。天下の奇人とか、唯一無二のエロゲーマーとか。廊下で俺が精一杯落ち込んでいると、女子
あこん さん作 [216] -
素敵な恋の見つけ方3
「この作風もここまで行くと病気か?」ふと思い立って口に出した疑問は、初夏の朝の爽やかな風に流されていく。俺の名は片桐篤。パソコンすら持ってないアナログ人間。異性とのお付き合いもない。「さぁ、お前を恋愛体質にする為のプランを練って来たぞ。」この微妙に間違えてるんじゃないか的な日本語を話す美形は久保匠。俺の彼女探しを恩返しと言う形で手伝う自他共に認める世界的オタクである。「いや、俺は体質改善をしたい
あこん さん作 [213] -
素敵な恋の見つけ方2
「あぁ、ボーイミーツガールですらないのか。」不意に口からでた言葉は、アスファルトの地面に染みるように消えた。俺の名は片桐篤。随時恋人募集中だ。ワイシャツピローン事件の後、ちょっと落ち込んだりもしたが、もう復活した。強い印象を彼女達に残したと考えれば何も恥ずかしく感じることはない。なんてポジティブ。「フラグは立った可能性があるな。」俺の隣りを歩きながらオタク用語を織り混ぜて語る色男は久保匠。なんの
あこん さん作 [242] -
素敵な恋の見つけ方
「このタイトルで、なんで恋愛ものじゃないんだろう。」自然と口から漏れた呟きは、初夏の高い空に吸い込まれる。俺の名は片桐篤(かたぎりあつし)。高校一年生だ。今、俺はとにかく彼女が欲しい。いや今だけじゃない。入学当初から、むしろ入学前から欲しかった。中学の時はずっと思っていた。高校生は皆恋人がいるのだろうと。まぁ実際そんなことはなく。俺はこの約三か月、寂しい高校生活を送ったのだった。「モノローグは済
あこん さん作 [314] -
居眠り姫の起こし方16(完)
なんやかやと騒ぎながらも、由良は熱気の中昼寝を始めた。浅く眠る居眠り姫。なんてドラマが生まれ難そうな光景だろうか。和真はぼんやりと由良を見ながら思う。眠る由良を起こしたが為に、今日までこの奇妙な関係は続き、きっとこれからも続いて行く。二人の距離が離れない限り。例えば席替えしたり、クラス替えしたり。しかし和真は思う。例え離れても、由良との関係は変わらないんじゃないか、と。由良の波長に合う人間は自分
あこん さん作 [290] -
居眠り姫の起こし方15
夏休みを目前に控え、学生達も浮足立つ。そんな中、和真と由良はいつものように放課後の教室でまったり過ごす。「何が楽しいのかしらね、夏なんて。」由良が机に顎を乗せて呟く。「そうだな、お前には暑くて寝苦しいだけだもんな。」眠りの浅い由良にはこの熱気は地獄だった。「ホントそうよ。夜も暑い、朝も暑い、昼は何より暑い!」まぁ夏だしな、と呟いて和真は窓を開ける。蝉の声がかなり五月蠅い。「あーもぅ、早く涼しくな
あこん さん作 [223] -
スピンオフ・暇人と目覚時計
朝、私、日下部佳奈理が何かの気紛れで家を早く出ると、お向かいさんから男の人がほぼ同時に出てきた。かなり吊り上がった目をしていて所謂犯罪者面。最近引っ越して来たとは言え、お向かいさんの名前ぐらいならわかる。…えーと、た…なんとかさん。ダメじゃん私。でも、同じ学校の二年で、一つ先輩と言うのは知っている。なので挨拶。「あ、おはようございます。」「ん?あぁ、おはようっす。」顔に似合わない穏やかな声で返さ
あこん さん作 [221] -
居眠り姫の起こし方14
「うお。」和真が驚きの声を上げるのも無理はない。下校時刻前に教室に戻ってくればなんと由良が起きていたのだった。「あら、もっとゆっくりしてくれば良かったのに。」和真はここ最近、白木とよく話すようになり、今日も今まで話し込んでいたのだった。「そ、それよりも、お前体の調子悪いのか?病院行くか?」「なんで起きてただけで病気を疑われるのよ。」由良がジト目で和真を見る。「いやぁ、由良はもう四六時中寝てなきゃ
あこん さん作 [216] -
居眠り姫の起こし方13
「はは…あはははは…。」和真は笑い続ける。昨日から、ずっと笑い続けていた。「ふふ、ふはははは…。」しかし、数時間前までの笑い声とは真逆の感情が籠っている。悲しみ、哀れ、情けなさ。その他様々な負の感情を込めて、和真は笑う。「あはははは」「うっさいわ!」通学路の途中、昨日とはまた別の意味で不気味に笑う和真を、由良は学生鞄で殴る。由良が手を上げたのは初めての事である。「あーもー、白木さんが誰かと親しそ
あこん さん作 [241]