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あこん さんの投稿された作品が101件見つかりました。
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居眠り姫の起こし方12
和真のご機嫌モードは自宅に帰ってからも途切れることはなかった。(白木と話しちまった。白木と話しちまった。しかも二回も、二回もだぞ!?)自然と口元がニヤつく。声も洩れ始める。「ふへ、ふへへへ。」意味のない笑いが響く。反響した声は和真の耳に入っていない。それよりも日中の会話を回想する方が優先されているのだ。「うふへ、うへふふふ。」その不気味過ぎる笑い声は、風呂場に押し入った妹に殴り倒されるまで続くの
あこん さん作 [258] -
居眠り姫の起こし方11
おやつにしてはちょっと多い、大量の菓子パンを二人で片付けて一息つく。和真は慣れない甘い物の詰めすぎで、由良は満腹からくる眠気でダウン寸前だった。「うー、無理、寝る。」いつもの事なので和真は特に何も言わず頷いた。むしろ和真自身が危険な状態だった。(あー、胃がもたれる。)口の中にまだクリームが残っている感じがして落ち着かない。和真は口直しの為に再度購買へ向かうのだった。「…ん、あれ?」由良が目を覚ま
あこん さん作 [261] -
居眠り姫の起こし方10
憧れの白木と和真が話をした日の放課後、和真は購買の菓子パンとジュースを買えるだけ買った。昼休み、いろいろあって白木と話せたのは、元を辿れば由良のおかげであり、彼女からお礼を強要されたのだ。細かい事を言えば、彼女の為に飲物を買いに行ったからその偶然があったわけで、特に由良はなにもしていないのだが。「買って来たぞー…て、寝てんのか。」日が傾き始めたころから、気温も下がって由良曰く程よい気温、だそうだ
あこん さん作 [218] -
居眠り姫の起こし方9
「オレンジジュースとは気が利くわね。」十五分程で由良は起きた。やはり暑くて寝苦しいらしい。「しっかしいいタイミングよね。あたしが起きた位で和真帰って来たもんね。」果汁でかなり機嫌の良くなっている由良がいつも以上によく喋る。しかし和真は押し黙っていた。「…どしたの、むっつりしちゃって。」普段なら何かと反応を返す和真が、一切言葉を発さず烏龍茶を飲んでいることを由良は不審に思う。和真は何やら遠い目でど
あこん さん作 [275] -
居眠り姫の起こし方8
「…暑いわね。」昼休み、何度目かのその台詞を和真は聞き流す。「本っ当にあっつい。」由良は整った顔を可能な限り歪めて窓の外に広がる雲一つない空を睨む。和真は只無言で月刊雑誌を読む。「…和真、そんな目で猫の本読まないでよ。」どんな目かと言えば、必要以上に吊り上がった目。更に目自体が小さくなく、正面を向けば自然と三白眼になってしまう。和真自身も最近気がついた事だが、眉間にも無駄に力が入っているらしく縦
あこん さん作 [258] -
居眠り姫の起こし方7
昼寝を邪魔され、不機嫌の極みにいる由良に、和真はぽつぽつと語り始める。「昨年末、あの子いろんな所の掃除手伝ってたろ。」学校行事の大掃除の時であった。「とにかく一生懸命でさ、なんかいいな、て見てるうちに気になっちゃって。」「…そんな赤裸々告白聞かされてあたしはどうしろと。」由良は細めた目の端で白木の姿を捉える。廊下で女友達と話しているようだ。「…お前が聞いたんじゃないかよぅ。」和真は顔を赤くして俯
あこん さん作 [245] -
居眠り姫の起こし方6
ぴぴぴぴぴっ。和真の部屋で、目覚時計が鳴り続ける。ぴぴぴぴぴっ。和真は熟睡しており、起きる様子を見せない。ぴぴガスッ!時計は、実妹の手によって和真の顔面に叩き付けられ、その鳴動を止めた。痛む鼻を押さえながら、和真は早目に家を出た。近所の飼い猫が散歩してるのを眺めながらいつも歩く道を行く。辿り着いた場所は、由良の自宅。携帯を取り出し発信履歴の一番にかける。そもそも履歴全て由良の名だが。3コール。い
あこん さん作 [235] -
居眠り姫の起こし方5
だらだらと、脂汗もかいたような錯覚に陥る和真であったが、コーヒーを飲む事で自分を落ち着けようと試みる。「しっかし、あたしと和真が付き合ってるわけないじゃんね。」由良は緑茶で団子を流しながら、「和真は白木さんが好きなんだから。」「ぶふっ!?」本日二度目のコーヒー噴射。「汚いわねぇ。」由良も二度目の台詞を口にする。白木さんとは一番前の席のおとなしそうな女の子。男女関わりなく人気がある子だ。和真は雑巾
あこん さん作 [208] -
居眠り姫の起こし方4
教室に入ると由良はさっさと机に伏して眠りに就く。「じゃ、先生来たらよろしく。」真後ろの和真に一言そう残すと、数秒後には夢の中。起こす時は肩を軽く叩くだけで目を覚ますので、和真はさして苦労を感じない。今日一日も、いつものように目覚時計として自分の責務を果たす和真であった。寝ては起こしてを繰り返し、あっという間に放課後。余談ではあるが、由良は授業中は一切寝ない。「由良、もうじき下校時刻だ。起きろ。」
あこん さん作 [226] -
居眠り姫の起こし方3
闇の中、和真は眠り続ける。遮光カーテンによって生み出される闇は、視界ゼロ。明るいと熟睡できない和真には最高の環境だ。そんな、真っ暗の部屋に窓とは別の方から光が入る。和真の部屋の扉が開けられたのだ。部屋に入り込み、眠る和真を見下ろすのは和真の妹。机の上の時計は七時を指している。そろそろ起きた方がよい時間だ。が、和真に起きる様子はない。妹が軽く体を揺らすが無反応。数分後、和真はしっかりと起こされた。
あこん さん作 [246]