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あこん さんの投稿された作品が101件見つかりました。

 
  • 居眠り姫の起こし方2

    春の陽気が感じられる頃、二人は出会った。和真と由良。2年に上がって初めて同じクラスになった二人は、当然ながら話した事もない間柄だ。二人にはその頃、互いに孤立しているという共通点があった。和真はまず見た目で。逆三角に吊り上がった目は隠せるものでないし、無愛想なこともあって人は寄付かない。前年に同じクラスだった者が世間話をする程度だ。そして由良。見た目は良いものの、いつも寝ている為に人が集まりようが
    あこん さん作 [492]
  • 居眠り姫の起こし方

    夕日射す放課後の教室。何もかもが朱く染まっている。壁も、天井も、机も。人でさえ。窓際の机に伏して眠り込む少女は、まるで作り物のようにそこにある。朱い世界の眠り姫。要約すると、下校時刻まで眠り続ける娘。「…他にやる事はないのか、お前は。」鋭い目で、眠り姫を見下ろす男が一人。朱の中でも黒を主張するその目は、斜視に三白眼を合わせ持つ、凶悪な造りをしている。特に音を立てないようにでも無く、少女の机の側に
    あこん さん作 [364]
  • 暇の潰し方19(完)

    「暇そうですね。」俺達の奇妙な関係はこの一言から始まった。「そんな暇人に話しかけるほど、お前も暇なのか?」なんて印象の悪い返しだ。だが、日下部佳奈理は気を悪くした風でもなく、目の前の笠木広人にこう言った。「はい、一人では暇でしょうがないです。何かいい暇潰しは無いですかね?」「あ、ヒロトくん、おはようございます。」朝、教室に入るとカナリが近付いて来る。「よう、カナリ。」…なんで普通に挨拶を交わした
    あこん さん作 [310]
  • 暇の潰し方18

    「…日下部。」道路を渡ろうとする日下部佳奈理を呼び止める。嫌な予感がする。日下部は聞こえてないのか速度を緩めない。「日下部!」動悸が激しくなる。焦っている。何故?信号は青だ。何を焦る?「く…。」…どういう訳か、三度目を躊躇する。彼女が、離れて行く。消えてしまう。目の端で、向かって来る大型トラックを捉えた。消える、消える?「…カナリ!」自然と体が動いていた。俺の手は彼女の腕を掴み、俺の口は彼女の姓
    あこん さん作 [245]
  • 暇の潰し方17

    私の家は、親の仕事の都合で引越しが多かった。長くても半年ほどで別の土地へ移る。結果、親しい友人も皆無。親が共働きな事もあって、私は独りで過ごすのが常だった。つまらなかった。退屈だった。学校に行っても、私は独り。途中から転入する私は孤立しやすかった。人付き合いも苦手だったかもしれない。なんとか友人が出来てもその頃には転校してしまう。いつも、私は独り。独りでいる事が当然。それが…。「それが、私の日常
    あこん さん作 [213]
  • 暇の潰し方16

    「…日下部。」彼女の名を、静かに呟く。何故?「日下部!」彼女の名を、叫ぶ。焦っている。何故?「…日下部!!」三度目。最大限の声量で叫ぶ。俺に背を向ける彼女は、振り返らず離れて行く。そして、突然消えた。「…!?」目を覚ますと、そこは俺の部屋。動悸が治まらない。なんだ?今のは?何故俺が日下部佳奈理を呼び続けるのか。何故彼女は消えてしまうのか。「…どーいう夢だよ、全く。」らしくもなく、独り言を呟き、時
    あこん さん作 [222]
  • 暇の潰し方15

    俺、笠木広人と日下部佳奈理に高崎美玖は、雨が降る町内を歩き続けていた。会話しながら歩く三人組はどう見ても普通の高校生グループだ。…普通すぎて落ち着かん。つまらないわけではない。日下部の独特の観点から街を眺めると確かに新鮮だし、日下部とミクの掛け合いも飽きることはない。楽しさの合間に、ふと思うのだ。これは、日下部の嫌う日常なのではないか、と。普通の情景ではないか、と。休憩に立ち寄ったコンビニで、俺
    あこん さん作 [232]
  • 暇の潰し方14

    「それはですね…。」日下部佳奈理は両手を腰にやり、胸を張って口を開いた。なにやら既視感を感じないでもないが、とりあえずいいだろう。「それは?」「それは…。」「…それは?」「……そ」ぐい。「話を進めなさいな。」高崎美玖が日下部の腕を取って背後に回る。「いえ、笠木くんは焦らされるのもお好きなようでしたから。」「そんな性癖が露呈するような状況があったか!?」デタラメであることを祈る。ふと気付くと、ミク
    あこん さん作 [224]
  • 暇の潰し方13

    「ヒロ、大変よ!」朝、教室に入ると高崎美玖が大声を上げた。「あー、寝不足で頭が痛いんだ、怒鳴らないでくれ。」夜中に昔の漫画を引っ張り出してしまったのだ。全巻揃ってしまっているだけに読み切ろうとしてしまうのが人の心理だろう。「そんなこと言ってる場合じゃないんだってば!」ミクは頭蓋によく響く透った声を出す。今日、身を以て実感した。ミクに頭を掴まれ、ある方向に向けられる。ごき、という鈍い音は無視された
    あこん さん作 [218]
  • 暇の潰し方12

    日下部佳奈理は、慣れだとか平常というものを好まない傾向にある。彼女と出会って一月と少し、俺はそう確信した。会話の端々や行動から疑惑はあったが、今日のことで確定事項となった。時間は少し戻って午後最後の授業中。もうじき六月ということもあって日光が教室の空気をいい感じに暖める。窓際の席の奴はつらいかもしれんが、俺の席は教室の真ん中。寒くもなく暑くもない、ベストなポジション。結果、うららかな陽気に誘われ
    あこん さん作 [253]
 
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