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如月 音 さんの投稿された作品が5件見つかりました。
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陸の上の魚4
神崎の屋敷は思ったよりこじんまりしていた。と言っても普通の家とは比べものにはならない。引き取られた日、私は神崎の屋敷に連れてこられた。神崎は私に一通り屋敷の中を案内してまわったあと、『あなたの部屋です。』と言って30畳ほどの大きな部屋だった。 「ここ、ですか?」 「何か問題でも?」 「い、いえ。ただ・・・」広すぎるなんて言えなかった。この男の機嫌をそこないたくなかった。 「ただ?」 「いえ、なん
如月 音 さん作 [343] -
陸の上の魚3
恐れていた事が今、目の前でおこっている。20代後半であろう若い男が私の前で品定めでもするように私を見つめていた。「それでは、神崎様。この子を 、真をよろしくお願いします 。」 「ええ。」社交辞令のような院長と“神崎”という男の会話を他人事のように聞いていた。 「真さん、神崎静です。」静と名乗った男は私に手を差し延べた。 「よろしく、お願いします。 」愛想よく挨拶する。誰でも愛想
如月 音 さん作 [356] -
陸の上の魚
恐れていた事が今、目の前でおこっている。20代後半であろう若い男が私の前で品定めでもするように私を見つめていた。「それでは、神崎様。この子を 、真をよろしくお願いします 。」 「ええ。」社交辞令のような院長と“神崎”という男の会話を他人事のように聞いていた。 「真さん、神崎静です。」静と名乗った男は私に手を差し延べた。 「よろしく、お願いします。 」愛想よく挨拶する。誰でも愛想
如月 音 さん作 [302] -
陸の上の魚
「真ちゃん。どうしたの?ぼけ っとしちゃって。」院長はそう言って私の肩をたたく。院長は気さくな人だ。いつも明るく振る舞う。「・・・先生。何か?」「そうそう、あなたの貰い手が ついたわ。」私は目を見開いた。今まで一度もそんな人、現れなかった。いや、私にその気がなかったのかもしれない。 「誰ですか?」 「とってもいい方よ。お金もち でらっしゃるの。ここ建てた 方でね・・・その後の院長の言
如月 音 さん作 [285] -
陸の上の魚 1
いつの間にか、人の顔色ばかりうかがっていた。そのほうが楽なことに気が付いたから。私は幼いころに捨てられた親の記憶さえ残っていない 世の中なんて、理不尽な事ばかりだと思う。大人はいつも、自分を中心に動く。その犠牲者は私達、子供なのだ。ここにいる子供達は私と同じ。ここは、世間でいう孤児院だ。どこかの偉い大人が作ったらしい。“らしい”というのも、実際に作った人を見たことが無いのだ。その人は、どこぞの資
如月 音 さん作 [187]
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