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伊守弐ノラ さんの投稿された作品が23件見つかりました。

 
  • 一週間 最終章 クチズサミ 14

    『菊枝さんが…それじゃあ、早苗さんに歌を教えたのも、歌わせてこいつを蘇らせるため…日記も、自分が死んだ後も蘇るよう、導くために細工したというのか…我が子と孫なのに』流れ込んでいたポリトフスキーの意識は消え、祐輔の意識も消えようとしていた。『もう、どうだっていい…悠子の死の真相も分かったし…あれ?…大林教授は歌を口吟んでいなかった…そうか、悠子が聞かせていた相手が教授…だとしたら、歌を聞くだけでも
    伊守弐ノラ さん作 [429]
  • 一週間 最終章 クチズサミ 13

    菊枝は、歌を書き終えるとまた穴を抜けて岩壁の道をつたい、山道から雑木林へと家に向って歩き出した。駆け出すこともなく、ゆっくりと。家に着いた菊枝は、母親が軟禁されている二階の部屋へと階段を登る。途中、ポリトフスキーが話をしたいと見張りから聞かされた父親が、話など無いと憤慨している声が聞こえてきた。菊枝が洞窟で起きた事を話すと、母親は狼狽して窓から飛び下りた。そして足を痛めながらも洞窟へと向う。菊枝
    伊守弐ノラ さん作 [397]
  • 一週間 最終章 クチズサミ 12

    「ごめんよ、ごめんよ…」 ポリトフスキーは、呆然とする幼い祐輔と悠子に何度も謝った。『そうだ…俺はこいつに出会っていたんだ』「頼む…今の歌はもう歌わないでくれ…私が私でなくなるから…同じ過ちをまたしてしまった…菊枝」そう言ってポリトフスキーは消えていった。 『俺と悠子を見て、こいつは菊枝さんを思い出しのか…』また場面は変った。今度は同じ洞窟で、ポリトフスキーが覇気の無い顔をして一週間の歌を口吟ん
    伊守弐ノラ さん作 [394]
  • 一週間 最終章 クチズサミ 11

    最初は牛嶋だった。車に飛び乗って、牛嶋はパソコンを膝の上に置き、歌詞を見ながら一週間の歌を口吟んでいる。『やはり大林教授は、研究のデータをパソコンに入れてたんだ…牛嶋、そんなメロディーじゃないぞ…』歌を終えた時、ハンドルとペダルの間から怪物の手がパソコンを払い退けて、牛嶋の腹に食らい付き腸を引っ張り出した。しかし、牛嶋が悲鳴をあげてハンドルを切って事故を起して息絶えると、怪物の姿は消えていった。
    伊守弐ノラ さん作 [419]
  • 一週間 最終章 クチズサミ 10

    朝靄の雑木林の中で、祐輔の目の前に立っている男は、透けるような淡く長い金髪をなびかせて、吸い込まれそうな水色の瞳を、真綿のように白い肌がより輝かせていた。しかしその美しさとは逆に、表情は虚ろで、何かに怯えているようにも見てとれた。そして、白骨死体が纏っていたのと同じ軍服を着ている。「ポリトフスキーなのか…う、嘘だ…有り得ない…」『歌うなと言ったのに…』「な、なに?!」ポリトフスキーの口は動いてい
    伊守弐ノラ さん作 [432]
  • 一週間 最終章 クチズサミ 9

    祐輔は無信仰者だ。輪廻も霊の存在も信じていなかった。ただ、それで春樹が安心するのならと考えていた。 しばらくすると、春樹が両手にスコップとツルハシを持って戻って来た。「待たせたね…それで何処に埋めようか」「そうですね、外はまずいし…穴の側はどうです?」「そうだね、そこなら陽も当るし…」「それに、ロシアの方角です…」二人は穴の付近の、できるだけ柔らかい所を探して掘り始めた。大きな石が結構埋まってい
    伊守弐ノラ さん作 [406]
  • 一週間 最終章 クチズサミ 8

    「風呂敷だったのか…」祐輔はしゃがみ込み、懐中電灯で風呂敷を照らし書かれた文字を読み始めた。「月曜日はストロノガノフを食べた、火曜日はピロシキひとつ、水曜日は何も食ずお出かけ、木曜日はごちそう食べた、金曜日はお芋たくさん、土曜日はまた何も食べず、日曜日はとうとう人食べた、スターリン、スターリン、スターリンを恨みながら、スターリン、スターリン、スターリンを呪いながら…」春樹はしゃがむ祐輔の肩に手を
    伊守弐ノラ さん作 [399]
  • 一週間 最終章 クチズサミ 7

    「祐輔くん?…まさか、祠の中に遺体が有ると言うのか…」「違います…春樹さん、この祠退かすの手伝ってください」祐輔は、洞窟の突き当たりに建てられた、小さな祠の屋根の辺りに手をかざしたと思ったら、いきなり祠を動かし始めた。「祐輔くん!この祠はポリトの霊を鎮めるために必要なんだ…止めなさい!」「だから…彼を鎮めるためには、祠が邪魔なんです」「何か分かったのか…」春樹は半信半疑で祠の元へ歩み寄り、祐輔と
    伊守弐ノラ さん作 [402]
  • 一週間 最終章 クチズサミ 6

    春樹はしばらく黙っていたが、祐輔の視線を感じてようやく口を開いた。「悠子が日記を持って飛び出していった時…気付くべきだったよ、この場所に来ることを…夕方お参りに来たら、悠子がそこで変わり果てた姿で…」春樹は、悠子の血が染み込んだ地面を見つめている。そんな春樹を、祐輔はまだ凝視していた。「私が車で運んだんだよ…悠子が発見されたという公園まで…君の住むマンションに一番近かったから、せめて君の側にと思
    伊守弐ノラ さん作 [389]
  • 一週間 最終章 クチズサミ 5

    「祐輔くん…」春樹は、愛する人を無くした祐輔の気持ちが痛いほど分かった。「一週間も何も口にしていなかったんだ…空腹と死の恐怖で、錯乱したんだろうね…けど、ショックを受けて立ち尽くすお義母さんに気付いた時、我に返ったポリトはお義母さんを抱き締めて…『取り返しのつかない事をしてしまった…ごめんよ、ごめんよ』と何度も謝ったそうだよ」祐輔は何も言い返せず、黙って聞き続けた。「その後…見張りから報告を受け
    伊守弐ノラ さん作 [373]
 
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