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伊守弐ノラ さんの投稿された作品が23件見つかりました。

 
  • 一週間 最終章 クチズサミ 4

    「春樹…さん?」口を開かず自分を見つめる春樹に、祐輔はキョトンとした顔で呼び掛けた。「あ…いや…何でもない」春樹は再び語り始めた。「それで、幽閉されたポリトには…ほとんど汁だけの粟飯が、一日一食与えられるだけになったんだ」「そんなんじゃ、衰弱しますよね…結果的に殺された?」「いいや…父親の目を盗んで、お義母さんと母親が蒸し芋を運んでいたんだ」「でも見張りがいたでしょう…どうやってポリトに渡してた
    伊守弐ノラ さん作 [360]
  • 一週間 最終章 クチズサミ 3

    春樹は顔を曇らせながらも話を続けた。「お義母さんは、ポリトフスキーをポリトと呼んで慕っていた。そしてポリトも我が子のように可愛がった…そんなポリトを父親はえらく気に入って、語学や学術に長けていたこともあって、お義母さんの家庭教師として家に住まわしたんだ」「しかし、この時代は外国人…特に得体の知れない外国人を匿ったりしたら、村の人たちが黙ってなかったんじゃ…」「お義母さんの父親は、村のほぼ全ての田
    伊守弐ノラ さん作 [327]
  • 一週間 最終章 クチズサミ 2

    「ここに来てたって?…春樹さん、そんなこと一言も…」春樹は床の一点を見つめていたが、祐輔の言葉に振り向き、重い口を開き始めた。「あの日、昼過ぎに突然帰って来るなり…おばあちゃんの日記が見たいと慌てた様子で詰め寄ってきて…」「おばあさんて…確か、菊枝さん?」「ああ…それで日記を渡すと、すぐに飛び出していったよ」「それで、菊枝さんの日記には一体…何が書いてあったんです?」「日記といっても…お義母さん
    伊守弐ノラ さん作 [340]
  • 一週間 最終章 クチズサミ

    コンコン!「春樹さん…祐輔です!」家々が点在する山村の片隅に、春樹の家はひっそりと建っていた。祐輔が到着した時、時刻は0時を廻っていたが、連絡を入れておいたので明かりは点いていた。ガチャッ!「待ってたよ…ご苦労だったね」「家…改築したんですね」「あぁ…去年、定年退職した時に…悠子にね、退職金の有る内にバリアフリーにしとけって、うるさく言われて…」「悠子が…」「…。い、今は暗くて分かりづらいけど、
    伊守弐ノラ さん作 [371]
  • 一週間 五章 死体 2

    「悠子の時と…同じだ…」牛嶋はさぞかし驚いたことだろう。しかし、既に悠子の有様を見ている祐輔は、大林教授の死体を前にしても、概ね冷静でいられた。机の上には、ノートパソコン用の電源コードだけが、コンセントに差し込まれた状態で置かれている。「先を越されたか…牛嶋の奴…」研究室の教授の部屋にはノートパソコンは無かった。研究で出歩く時は必ず持ち歩くだろうから情報がぎっしり詰まってるはずだ。そう読んでいた
    伊守弐ノラ さん作 [495]
  • 一週間 五章 死体

    「そんな…何故だ…」祐輔はハンドルに額を押し付けたまま動かない。「何故…俺が一週間の歌を知ってる…いや、俺は知ってる…この歌を…」その時だった。祐輔の脳裏に悠子と交わした最後の会話が鮮明に蘇った。「違う…あの時悠子は『一週間の歌知ってる』て言ったんじゃない…『知ってる』じゃなくて…『覚えてる』て言ったんだ!」祐輔は顔を上げてアクセルを踏み、車を再び別荘へと進めた。「俺と悠子はこの歌を聞いたり歌っ
    伊守弐ノラ さん作 [488]
  • 一週間 四章 牛嶋 3

    祐輔は困惑した。牛嶋は何故、嘘をついたのかと。「牛嶋さんて助教授なの?」「そうですよ…でも牛嶋助教授が研究室に来るなんて珍しいですね」「どういうこと?…」「半年前に石嶺助教授が亡くなられるまでは、頻繁に研究室に来て教授と研究について話し合ってたんですけど…」「けど?…」「わたし…聞いちゃったんです。石嶺助教授の代わりに手伝わせてくれと懇願する牛嶋助教授に…『駄目なものは駄目だ!!』て、あの温厚な
    伊守弐ノラ さん作 [395]
  • 一週間 四章 牛嶋 2

    祐輔は大林の机を探した。すると、奥のスチール棚の隙間からドアが見えた。ドアを開けると、本棚に本が整然と並んでいて、窓際には木製の立派な机と革張りの椅子があった。「大林教授の…部屋だよな」祐輔は机に駆け寄り、置かれてあったデスクトップのパソコンを起動させた。「データがすべて消去されてる…教授が消したのか、それとも…」祐輔は抱えていたノートパソコンを隣りに置いてコードを繋ぎ、キーボードを打ち始めた。
    伊守弐ノラ さん作 [361]
  • 一週間 四章 牛嶋

    牛嶋は、少し高揚した様子で話を続けた。「実は…もう一人、レーニンにその優秀な才能を認められて将軍にまでなった男が、真っ先にスターリンの標的になってね、極地に飛ばされ幽閉されていたようだよ」「それで、その将軍もやはり殺されたんですか」「いや、スターリンが刺客を送ったんだが、それを察知して脱走したらしいよ」「その後の行方は?…」「その後の足取りは掴めていない…」「どんな男だったんですかね〜」祐輔は牛
    伊守弐ノラ さん作 [351]
  • 一週間 三章 大林

    祐輔は、分かった事があれば必ず報告すと約束して春樹と別れた。そして翌日、祐輔は大学へと向った。祐輔は高専を出てすぐにコンピュータープログラムを開発する企業に就職していた。だから、理系とは異なる分野の歴史考古学に、どこまでついていけるか不安だった。学生に、大林教授の研究室の場所を聞いて行ってみると、祐輔が描いていたイメージとは違っていた。歴史考古学というネーミングから、別棟に建られた古ぼけた木造の
    伊守弐ノラ さん作 [359]
 
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