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麻呂さんの投稿された作品が616件見つかりました。
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奈央と出会えたから。<354>
* * * * * *『北岡 聖人。ちょっと職員室へ来なさい。』聖人が職員室に呼ばれたのは、森宮とのコトがあってから、1週間が過ぎた頃だった。『あ?!何だよ。めんどくせーな。』聖人は、軽く舌打ちすると、職員室へ向かった。どうしたんだろう。また服装とか、髪型のコトでの呼び出しかなぁ。聖人が職員室に呼び出されるのは、そう珍しいコトではなかった。だから、あたしも大して気には留めていなかったんだ。『奈央
麻呂 さん作 [548] -
奈央と出会えたから。<353>
『うげっっ。女って食うコトしかねーの?!』『うるさいのっっ!!ねぇ、奈央ォ?!』『あははっっ。そだね。』辛いトキはお互いに、辛いキモチを分かち合って行こうよね――ユカ――
麻呂 さん作 [452] -
奈央と出会えたから。<352>
聖人は、ユカの話を黙って聞いていた。そして、あたしも――『‥‥でもさ、認めたくなかったんだよね。正直、認めるのが怖かったんだ。後で1人になってから考えたの。何故あのトキ、聖人がヒロキを殴ったのかってコトも。あたし‥もう少しで自分を見失う所だった‥‥。ごめんね‥‥奈央‥‥ごめんね‥‥聖人‥‥‥。』今にも泣き出しそうな顔で、ユカは一言一言噛みしめる様に、あたし達に話してくれた。『もぉいいよっっ!!も
麻呂 さん作 [492] -
奈央と出会えたから。<351>
* * * * * *数日後――休んでいたユカが、やっと登校して来た。あれから初めて顔を合わすコトになる。あたしは、少し緊張していた。何て話し掛けたらいいんだろう。もし無視されたりしたらどうしよう。こんなトキは、いつもあたしは弱気だ。そして、そんな自分をつくづくイヤになってしまう瞬間でもある。聖人は、あれからユカと森宮のコトを話題にしなかったから、あたしは、そんな聖人を少し冷たいんじゃないのかな
麻呂 さん作 [465] -
奈央と出会えたから。<350>
『ごめん‥‥。ごめんね‥‥ユカ‥‥。』あたしは――ユカを傷つけていた――こんなにも深く――深く、傷つけていたんだ――そう思ったら――涙が溢れてきた――『謝らなくていいゼ、奈央。』そのトキ、聖人があたしに向かって言った。そして、まだその場に座り込んだままの、森宮の側に寄り添っていたユカが怪訝そうに、こちらを見た。『秋田谷。お前が森宮と付き合うのは勝手だが、俺達は本当にお前のコトを思って言ってるんだ
麻呂 さん作 [515] -
奈央と出会えたから。<349>
突然、辺りに響き渡った悲鳴が沈黙を破った――『ユ‥ユカ‥‥?!今日は家で寝ている筈じゃ‥‥。』呟いたあたしが、ユカの目に留まるコトはなかった。ユカは、その場に崩れ落ちた自分の彼氏の上体を起こし、抱き寄せた。『聖人!!ひどい!!何よっっ!!ヒロキが何をしたって言うのよ!!』キッ―ー‐ユカが聖人を睨みつける。冷たい視線で、その場に崩れ落ちた森宮を、黙って見つめていた聖人は、その視線を、今度はゆっくり
麻呂 さん作 [490] -
奈央と出会えたから。<348>
たった今、目に涙を浮かべていた筈の森宮が、今度は何を言いたいのか、あたしの話題にすり替えた。『ねぇ‥‥君さぁ、小6で妊娠して、コドモを堕胎したんだってね?!でサ、その相手って、義理の父親なんだってね?!』な‥何‥‥?!何でそんなコト知ってるの?!森宮は、あたしに向かって更に話し続けた。『純情そうな顔して、やるコトやってるんだね?!僕と同じ匂いがする!!ねぇ、僕達気が合いそうだね?!奈央ちゃん♪』
麻呂 さん作 [600] -
奈央と出会えたから。<347>
森宮は、聖人に胸ぐらを掴まれたままの状態で、必死に自分の言い分は正しいのだと主張した。『その盛りのついた雌豚の相手をしているのが、盛りのついた猿同然のテメェだろうが?!森宮!!アァ?!』グググッッ―ー‐胸ぐらを掴んでいる聖人の手に力が加わり、森宮は更に高く突き上げられた。『く‥苦しいよ、北岡君‥‥は‥離して‥‥お‥お願い!!』森宮が涙目になりながら、聖人に訴える。『そうはいかねぇな。テメェが今ま
麻呂 さん作 [541] -
奈央と出会えたから。<346>
あたしは、このトキ、何故か成沢さんが気の毒だと思ってしまった。同情?!確かに成沢さんは、森宮が付き合っているたくさんの女のコ達の中の1人だったかもしれない。でも、こんな言いぐさは、信じられないって思った。それは、自分の身が一番可愛いだけの目の前の男の、情けない姿に対しての嫌悪感とも似ている感情だった。『ヘッ。テメェは、自分の身を守るコトが1番大事なんだな?!情けねーヤツ。テメェに泣かされた女は、
麻呂 さん作 [538] -
奈央と出会えたから。<345>
その時、聖人の拳が森宮の顔の直ぐ横をすり抜け、その後ろの、選挙用ポスター等を貼る為に設置してある、木製の掲示板をぶち抜いた。『やべぇ‥‥。手元が狂っちまったゼ。』聖人が、ポキッ‥ポキッと指を鳴らしながら、直ぐ目の前の森宮に、じりじりと詰め寄る。『ヒッ‥‥ヒイィィィ‥‥‥‥‥。』小さく悲鳴を漏らした森宮は、静かに小刻みに震えだし、その体は、蛇に睨まれた蛙の様に、じっと身動きも取れずに固まったままだ
麻呂 さん作 [507]