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麻呂さんの投稿された作品が616件見つかりました。
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奈央と出会えたから。<324>
こうしている間に、1人、また1人と追い抜かれ、あたしは遂に5人全員に追い抜かれてしまった。もう少しで完走出来るはずだったのに。みんな、ごめん!!立てなくて恥ずかしいのと、完走出来ない悔しさで、あたしは動揺していた。じわっっ‥‥。やだ、涙が。とりあえず、立たなきゃ‥‥。そう思ったそのトキ、座り込んだままの、あたしの背後から、手が差し伸べられた。『ほらっっ。バトン貸せ。』えっっ?!ま、聖人???なん
麻呂 さん作 [608] -
奈央と出会えたから。<323>
『木下!!頼むゼ!!』トップに躍り出た第2走者の古原から、2位と大差をつけた状態で、あたしはバトンを受け取った。“うおぉ〜!!木下行けぇ〜!!”“転ぶなよー!!”“木下さぁ〜ん!!頑張ってぇ〜!!”赤組の仲間達が、あたしに声援をくれる。大丈夫。きっと、うまくやれる。2位とは半周ほどの差がある。古原がここまで大差をつけてくれたんだ。うまくこのペースで切り抜ければ、きっと大丈夫。100m突破――後ろ
麻呂 さん作 [533] -
奈央と出会えたから。<322>
“キャー!!1年の小池君かわい〜ッ!!”“アホか?!このバカ女子!!敵チーム応援してんじゃねーよッ!!”“うるさいわね!!いいじゃん。男子だって“騎馬戦”のトキ、騎手役の女のコにデレデレしてたじゃん!!”“キャー!!こっち向いて〜!!”応援席から聞こえてくる女のコ達の声援が、更にあたしの心臓を刺激する。第1走者100mは1年生。第2走者200mと第3走者300mは2年生。アンカーは、3年生が走る
麻呂 さん作 [568] -
奈央と出会えたから。<321>
聖人。結局応援に来てくれなかった。あたしのコト、心配じゃないんだね。なんか、少しだけ、寂しい気分。『ユカ。じゃあ行って来るね。』『奈央、頑張れ♪』ドキドキドキドキ――聖人。祈ってて。どうか、300m走り切れますように。第一走者がスタート位置についた。『位置について、用意――』パンッッ――ピストルの音が、辺りに大きく響き渡った――
麻呂 さん作 [523] -
奈央と出会えたから。<320>
『ちょっと奈央、大丈夫???』“騎馬戦”を終えて戻って来たユカが、緊張しているあたしを見て心配してくれた。『あっ、ユカ。おかえりッ。すごいね!!活躍してたじゃん!!あたしなら大丈夫だよ。』精いっぱいの笑顔で答える。『本当に大丈夫?!顔色悪いよ、奈央?!』『あはっ。本当に大丈夫だよ。ありがと、心配してくれて。』その時、放送がかかり、すぐに結果が伝えられた。『“騎馬戦”の結果は1位赤組、2位白組、3
麻呂 さん作 [508] -
奈央と出会えたから。<319>
『“騎馬戦”出る人、次だからね〜!!』体育祭実行委員のヒト達の声が響き渡る。『奈央。じゃあ、あたし行ってくるね。』『うん。ユカ、頑張ってね!!』パンッパンッパパパンッ―ー‐爆竹の音と、煙幕が焚かれ、大河ドラマのサントラが流れる中、参加する全ての隊が揃って入場した。“今年から騎手役は女だもんな?!”“おぉ!!俺も騎馬役やりてぇ〜。”“3年の美雨先輩セクシー☆やらせて〜♪”“ちょっとやめてよッ!!バ
麻呂 さん作 [725] -
奈央と出会えたから。<318>
『とにかく2人とも頑張れよッ。俺、出れねーケド、応援だけしとくからよ。』どこか無責任な、その言い方は、いかにも聖人らしいとは思ったケド、聖人が言う様に、とにかく頑張るしかないのかもって思った。当日の朝は――絶好の体育祭日和だった。聖人は、体育祭に参加しないから、この日は学校を休むって言ってた。聖人。応援に来てくれないのかなぁ。『本日は、PTA会長、秋田谷様をはじめ、多数のご来賓の方々にご来校いた
麻呂 さん作 [653] -
奈央と出会えたから。<317>
教室へ戻ると、顔面蒼白で、ユカがあたしと聖人のもとへ駆け寄って来た。『奈央ごめん!!あたし、しくじったぁ〜!!』気のせい?!ユカってば、心なしか涙目になってない???『どうしたのユカ?!顔色悪いよ???』教室内の空気は、あたしが抜け出す前と何ら変わりなく、渋川がいないのをいいコトに、みんなそれぞれ勝手に盛り上がっていた。特に何も変わった様子は無い。『‥‥奈央の種目さ、“スウェーデンリレー”になっ
麻呂 さん作 [541] -
奈央と出会えたから。<316>
『俺さ、小さい頃、すげぇ泣き虫でさ。』『あはっ。そうだったんだ?!』『一緒に入院してた、俺と同い年の女のコが、ある日手術を目前にして死んじゃったんだ。』『うん。』『俺、すげぇショックでさ、毎日泣いてばかりいた。でも、毎日毎日泣いてたら、ある日親父に“男は強くならなきゃ駄目だ”って言われてさ。俺が毎日泣いてばかりいたら、その死んじまった女のコが、安心して天国へ行けないって。そう言われて、その日から
麻呂 さん作 [564] -
奈央と出会えたから。<315>
屋上のドアを開けると、心地よい風が勢いよく、あたしの前を通り過ぎて行った。まだ6月に入ったばかり。北海道の夏は、まだまだ遠い。ミズホさんとサトル君が、この春に卒業してからは、聖人は、よく屋上へ行っていた。『聖人。』そこには、頭の後ろで手を組んで、仰向けに寝ている聖人の姿があった。『おぅ。奈央もこっち来いよ。風がすげぇ気持ちいいぜ。』あたしの姿に気付いた聖人は、笑顔でこちらを見ている。『うん。今行
麻呂 さん作 [567]