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麻呂さんの投稿された作品が616件見つかりました。
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奈央と出会えたから。<129>
* * * * * *カラーリング剤を塗布する聖人の手つきは、なかなかお手のものだった―\r聖人はヘアクリップで何束かに分割したあたしの髪を、一束ずつ丁寧に染めてくれた―\r『染め残しのない様にしないとな。』聖人の吐息が、あたしの耳元に届いた―\rドキン―\rあたしのドキドキが、また思い出した様に踊り出す―\r『亜麻色の〜長い髪を〜♪』あたしのドキドキをよそに、聖人が思い出した様に歌い出す―\r
麻呂 さん作 [667] -
奈央と出会えたから。<128>
『染める前に。はい。“〇後ティー”。奈央はミルクティーが好きだって言ってたよな。』聖人は、あたしに“〇後ティー”のペットボトルをくれた―\r『あ、ありがとう。ま、聖人のは?!』『俺?!俺は、これ。“なっ〇ゃん”』聖人は、“なっ〇ゃん”のオレンジを手にぶらぶらさせて笑った―\r『あはは。なんか可愛い。』『わりぃな。うち、母さんいないからさ、男所帯だから部屋も散らかってるだろ?!』そう言って、聖人は
麻呂 さん作 [669] -
奈央と出会えたから。<127>
『ここに座って待ってろ。俺、髪染める道具揃えて来るからよ。え〜‥っと‥確か、親父の“白髪染め”が有ったと思うし‥‥‥。』し‥“白髪染め”‥ですか‥‥?!ま‥いっか‥‥。“白髪染め”や、その他諸々の道具を取りに行く為、聖人は部屋を出て行った―\rあたしは一人ポツンと部屋に取り残されたんだ―\rあたしは聖人の部屋を見渡した―\r本棚には、バイク雑誌や、車関係の本、BOOWYのCDやDVD、写真集等が
麻呂 さん作 [662] -
奈央と出会えたから。<126>
* * * * * *『着いたぜ!!入れよ。汚ねぇ所だけどさ。』そこは―\r外観は普通の一軒家だった―\rちゃんと表札もかかっていたけど、“北岡”ではなく、“斎藤”になっていた―\r『あぁ、俺ん家さ、一階が大家さんで、二階が俺ん家なんだ。』なんだ、そういうコトか―\r大家さんが自分の息子さん夫婦と一緒に暮らすべく、二世帯住宅にしたらしいが、息子さん夫婦が本州へ転勤になったので、空き部屋を聖人達に
麻呂 さん作 [646] -
奈央と出会えたから。<125>
* * * * * *公園から聖人の家に着くまでに、あたし達が通り過ぎた風景は―\r所々色付き始め、少しずつ秋が深まりゆくのを感じさせた―\r『秋の匂いがする。』思わずあたしが呟く―\r『秋の匂い?!』聖人は不思議そうな顔をして、あたしを見つめた―\r『そう。秋の匂い‥。聖人には分からない?』あたしは聖人を見上げる―\r『俺‥‥秋は嫌いだから。』聖人は、またあの悲しそうな目をしていた―\r聖人の
麻呂 さん作 [675] -
奈央と出会えたから。<124>
あたしの前では素直な聖人になってくれるという事だけで―\rあたしは聖人の“彼女”として側に居られる意味を見いだす事が出来たから―\rなんか‥‥今は、それだけで充分です‥‥‥‥。聖人‥‥。あたしは、これからもっと聖人のコト、知っていけたらなって、思うんだ‥‥‥。
麻呂 さん作 [715] -
奈央と出会えたから。<123>
* * * * * *聖人と手を繋いで歩いているあたしは、意外にも落ち着いていた―\r―と言いたい所だけれど―\r平静を装おうと、無理をしていた―\r―と言うのが正直な所かもしれない―。だって、これから初めて聖人の家へ行くんだもん―\r緊張しない訳がなかった―。『奈央の手。今日は珍しく暖かいんだな。』聖人があたしに優しく微笑みかける―\r『え?!そ、そうかな。』『‥‥お前。手に汗かいてねぇ?!』
麻呂 さん作 [668] -
僕は君の未来を永遠(トワ)に。?
* * * * * *それから数週間が過ぎた―\r僕を取り巻く環境には、相変わらず何の変化も無かったし、会社内でダメ人間のレッテルを貼られている僕は、毎日あくせく仕事に追われていたから、履歴書を送った事など、すっかり忘れていた。そもそもあれは、それ程深く考えずにポストに投函した。それは、まさか僕の履歴書がオーディション主催者の事務所関係者の目に留まる可能性など、限りなくゼロに近いと、僕自身が僕自
麻呂 さん作 [507] -
僕は君の未来を永遠(トワ)に。?
『そうそう、未來。菅山さん家の明日香ちゃん。来月結婚するそうよ。』『ふーん。そうなの。』誰だよ。それ。僕には全然関係ない話。如何にも興味が無いという返事をした筈なのに、母は、やはり強引に話し続ける。『あんた、もう23にもなるのに、家に女の子一人連れて来た事ないじゃない。』『うん。そうだね。』母は、僕が女の子と付き合った事が無いという事を、かなり心配している様だ。『ご馳走様。』そんな母を振り切って
麻呂 さん作 [442] -
奈央と出会えたから。<122>
* * * * * *あたしは、一足先に公園に着いた―\rなんか久しぶりだなぁ‥‥。そう感じたのは、最近ずっと来ていなかったからかな―\r放課後に、この公園に一人で来て、一人で絵を描いて、一人で帰っていたあの日々が―\rこれから、とても懐かしい思い出に変わってゆく前に―\rあたしは、この公園で、聖人と二人だけの思い出を、沢山作る事が出来た―\r聖人にとっても、この公園は、結構お気に入りらしい―\
麻呂 さん作 [663]