携帯小説!(PC版)

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阿部和義 さんの投稿された作品が82件見つかりました。

 
  • 時の流れに身をまかせ

    「……あなたとは、結婚できないの……」 彼女から別れ話を切り出されたのは、付き合って二年が経とうとしていた春だった。 彼女は二人姉妹だったけれど、妹はまだ高校生だ。必然的に婿養子をとらなくていけないことになっていて、僕が長男であるがために両家の関係はうまくいっていなかった。「そうか……。仕方ないよな」 時間をかけて両家を説得していたのだけれど、僕たちの疲労は限界にきていた。こうするしか他に方法は
    阿部和義 さん作 [450]
  • けいたいでんわのめーる (7)

     もう駄目だ……。 車に引きずり込まれようとしたそのとき、首から提げたストラップが大きく右に振り子のように動いた。 すると、携帯電話が黒いサングラスのおじさんの顔面に勢いよく激突した。「いててて!!」 おじさんのサングラスは吹っ飛んで、掴んでいた僕の腕を離して、両手で顔を覆った。 今だ! その隙に、僕は一目散に走り出した。「はぁ、はぁ、怖かったぁ!」 大通りまで来たから、もう大丈夫だろう。 あっ
    阿部和義 さん作 [845]
  • けいたいでんわのめーる (6)

    「坊や、ちょっといいかい。市立病院はどっちに行けばいいかな?」 黒いサングラスをしたおじさんに話かけられる。 市立病院って、お祖父ちゃんが入院してる病院だ。もしかしてお見舞いに行く人なのかな……。「坊や。学校まで送るから、病院まで案内してくれないかい?」「でも……」 プゥルルル♪ プゥルルル♪ 着信音が鳴り響いたと思ったら、急に白い車のドアが開いて、黒いサングラスのおじさんが僕の左腕を強く掴んだ
    阿部和義 さん作 [653]
  • けいたいでんわのめーる (5)

     プゥルルル♪ プゥルルル♪ 着信音が鳴りやまない。「うるさいなぁ……」FromけいたいでんわのめーるTo翔太Subあさだぞ【もうおきないとママにしかられるぞ。 ゆうべパパとけんかしてきげんがわるいから、きをつけろよ】 そういえば、昨日もパパは帰りが遅かったっけ……。「おはよう!」 ママの顔色をうかがいながら言ってみる。「おはよう。今日は早いのね。毎日こうだといいんだけど……」 マジで機嫌悪そう
    阿部和義 さん作 [583]
  • けいたいでんわのめーる (4)

     家に着いたけれど、鍵がどこにあるのか聞くの忘れちゃったよ……。 プゥルルル♪FromけいたいでんわのめーるTo翔太Subカギ【ママもあわててたから、カギをおいていくのわすれたみたいだ。 パパがあさがえりようにかくしてあるカギが、ポストのうらがわにあるぞ】 恐る恐るポストの裏側を覗いてみると、確かに鍵がガムテープで貼り付けられていた。【でもよく知ってたね】【これがオレのしごとだっていっただろ。 
    阿部和義 さん作 [588]
  • けいたいでんわのめーる (3)

     半信半疑だったけれど、ママに電話してみる。「もしもし。翔太? 今かけようと思ってたところだったのよ。 お祖父ちゃんが入院しちゃったから、すぐ市立病院に行かなきゃならないの。一人でお留守番してて」 お祖父ちゃんは心臓に持病があって、いつ倒れるかわからない状態だとは聞いていた。【どうしてわかったの?】【こういうのがオレのしごとだ。 すこしはしんようしてくれたか】【うん。でも、本当は誰なの?】【きみ
    阿部和義 さん作 [575]
  • けいたいでんわのめーる (2)

    「はい。携帯電話を持ってきた人は、電源を切ってこの箱に入れて下さい」 先生に言われたとおりに電源を切って、大きなスチール製の箱に置いた。 箱の中は色とりどりの携帯電話で、あっという間に埋めつくされる。 三時限目の体育が終わる頃には、朝のメールのことはすっかり忘れかけていた。 キーンコーン、カーンコーン♪「携帯電話を持ってきた人は、忘れないで持ち帰るように」 先生から言われなければ、危うく忘れて帰
    阿部和義 さん作 [622]
  • けいたいでんわのめーる (1)

    「はい、これ。今日から持って行きなさい」 ママから手渡されたのは携帯電話。ジュニアケータイってやつだ。 最近、知らない人に声をかけられたり、車に無理矢理乗せられそうになる事件が立て続けに起きた。 防犯のためということで、今日から学校に携帯電話を持って行ってもよくなったんだ。 でも授業中は電源を切って、先生に預けなくちゃいけないけれど。 プゥルルル♪ 短い着信音が鳴った。「ママからメールかな」 携
    阿部和義 さん作 [688]
  • 天国と地獄 (2)

    F氏「あ、残念なお知らせだよ。僕は殺されたから天国行きだけど、君は地獄行きみたいだから!」 N氏「!?」 F氏「天国行きは、いずれ生まれ代われる道だけれど、地獄行きは消滅の道だからね! んじゃ、サヨナラ〜」 N氏『ちょ、何言ってんの? 地獄って……え? ええ?」鬼「迎えに来たぜあんちゃん。残念だったな、あんたは立派な地獄行きだ」N氏「ま、待って! 俺、死んでないって! まだ生きてるんだって!! 
    阿部和義 さん作 [927]
  • 天国と地獄 (1)

    N氏「お前? なんで生きてるんだ? たしかに俺はお前を殺したはずなのに……」 F氏「あぁ、僕は死んだよ。たしかに死んだ」 N氏「ん? じゃあ何で俺の目の前にいやがるんだ!?」 F氏「死んだから君の目の前にいるのさ」 N氏「何言ってやがる? 幽霊か? お前、幽霊なのか?!」 F氏「あはは、何言ってるんだよ。ここは死後の世界だよ」 N氏「はぁ? 死んだのはオマエだろ。俺に殺されたんだろが!」 F氏「
    阿部和義 さん作 [1,079]
 
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