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たぬきさんの投稿された作品が17件見つかりました。

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  • 雪の華34

    『ありがとう──桃実』 黒峯はそれから小さく一言さようならと言った。 私はその言葉が耳に残ったまま、背中を向け、歩き出す黒峯の姿を見つめていた。 黒峯は振り返ること無く、そのまま姿を消した── さざ波の音がキコエナイ サヨナラ黒峯が言った言葉 今までソコにいたのに……「…………や………いや……」 桃実はガクッと膝をおると、黒峯が消えた方向を見つめ、大粒の涙を流していた。「い……や…黒…峯……や…
    龍王 さん作 [612]
  • 雪の華33

    「……うや……そうや! 朱斐のことなんか好きやない! 女としてみてない……オレが怒ってるんはお前にや!」「───……」「なんで裏切った? お前言ったやん? 朱斐を手に入れろって大事な駒やって……オレらは……同じ……だった」 白藍の顔が歪み、拳の力も弱まる。「オレら……二人だけやった。他はみんな駒でしか無かった……なのにお前は裏切った」 黄藍は黙ったまま、白藍の悲痛な叫びを聞き続ける。「……朱斐が
    龍王 さん作 [570]
  • 雪の華32

    バシィィィ── 部屋に響き渡る衝撃音。おもいっきり殴られた身体は吹き飛び、背後にあった椅子にぶつかる。 背中と頬に激痛を感じながら黄藍が顔を上げる。 目の前には、怒りで身体を振るわせる白藍の姿があった。「────ッなん…でや……なんでや!!」 怒りの表情とは裏腹に、発するその声は悲しみに満ちていた。耳を塞ぎたくなるような悲痛な声。「──……お前との婚約を解消したかったからだ」「だから……だからな
    龍王 さん作 [616]
  • 雪の華31

     朱斐は部屋に閉じ籠り、ベットの上で耳をふさぎ、うずくまっていた。 そのまま時間は流れ、気付けば翌朝だった。 窓から差し込み光を見ながら半身を起こし、鳥のさえずりを訊きながらドアの方に顔を向ける。 朱斐はゆっくりと歩き寄るとソッとドアを開けた。「──聖……夜」 ドアを開けたすぐ横の壁にもたれ眠っている聖夜の姿があった。 泣きはらした赤い目の朱斐がソッと聖夜に触れようと手を伸ばす。 愛する者の寝顔
    龍王 さん作 [779]
  • 雪の華30

    「偶然居合わせ聖夜が必死に止めてくれた。でも私は───そんな聖夜にもナイフを振り上げてしまった。殺そうと……した」 身を振るわせながら桃実が過去の過ちを黒峯に話す。桃実にとって拭い切れない過ち。「思いっきり振り上げて振り下ろした。振り下ろしたナイフは聖夜にでは無く、自分の腕に突き刺さった。そのまま意識を無くして──気付いたら、私の手を握っている聖夜が泣きながら、ゴメンゴメン…って何度も謝ってた」
    龍王 さん作 [744]
  • 雪の華29

     聖夜の優しさに甘えて、今まで私に付き合わせてしまった。 私は聖夜を苦しめてしまう。 海───── 彼方向こうまで広がる美しい海は水面が輝き、さざ波は綺麗な唸りを轟かせる。 桃実は、何も言わない海を見詰めていた。引いては押し寄せ、押しては低く波に何を思っているのか、桃実は無言で海に佇んでいた。「───……桃実?」 海を見詰めていた桃実の背後から呼び掛ける声が聞こえた。ゆっくりと体を向ける。「えっ
    龍王 さん作 [676]
  • 雪の華28

     朱斐が帰ったのは次の日の早朝だった。今日は帰らない、それだけの一方的な連絡だけをした。 ドアを開けると予想通り聖夜が腕を組み、仁王立ちで立っていた。「お帰り……」 聖夜は眉を潜め、怒りを露にしている。 朱斐は、徹夜で待っていた聖夜にただいまも言わず、目も合わさず無視するように自分の部屋に向かおうとした。「オイッ! それが心配して待ってた奴に対する態度か?」 無言で横切った朱斐の手を掴むと、怒鳴
    龍王 さん作 [706]
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