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さんの投稿された作品が7件見つかりました。

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  • 夕覧

    いわく、猫と何やらは高いところが好きらしい。じゃあ僕が会社の屋上から夕陽を眺めているのも、知らないうちに猫になってしまっているか、それとも馬鹿だったりするせいなのだろうか。 でも僕には尻尾も生えていなければアンテナ代わりとなる長いひげもない。 まあ要するに馬鹿だということなのだろう。どちらでもいいことなのだが、別に僕は高い場所が好きというわけではない。たまたまオフィスから西の窓を見て、そ
    さん作 [207]
  • 暗い夜

    目を閉じる。人のすすり泣くような声がした。雨の降る音かな。いつもなら到底間違えるはずがないのだが、この日は違っていた。 昔日に、母が言っていた。雨とは神様の涙であって、そんな日には部屋にこもって神様を慰めなければならない、と。 似たような話は、幼いころの友人も聞いたことがあるそうだ。でも神様を慰めなければならないとの下りは、母のオリジナルらしい。 だからというわけじゃないが、この歳に
    さん作 [201]
  • 惰情

    渦を巻いている昔ながらの蚊取り線香を眺めているうちに、いつの間にか自分が眠っていてしまっていたことに彼は気が付いた。 渦は焼け落ちていた。灰塵と帰した「元」蚊取り線香は見るからに空しくて、そこにあるだけで部屋の温度が二、三度下がったのでないかと思われるほどだった。 彼はぼんやりを止め、立ち上がると、風に棚引いていたカーテンを脇に寄せた。日は暮れ始め、町は赤く染まろうとしていた。と、すぐ目
    さん作 [220]
  • 新炭酸飲料水「イカヅチ」

    この! 全身を貫かれる感じ!ああ、湧いてくる、湧いてくるのだぁ。この感覚はどこで、どこで出会った? そうだ。僕の初恋の味だ。僕は転校生で、クラスのいじめっ子に早速トイレに呼びつけられた。因縁をつけられ悲しんでいるところへ現れたのが、その初恋の女の子だったんだ。 ああ、吸い込まれる。吸い込まれるぞう! 女の子は次々と男たちを倒していく。 僕はトイレに流された。
    さん作 [223]
  • 円の中で

    人ごみを掻き分けて進む。駅に向かって進んでいるはずなのに、どうも逆行してかのような錯覚に囚われてしまう。それこそ濁流が如く、押し寄せる人の波は、彼にぶつかっては消えてなくなった。 しばらく進んでいるかそうでないか、その狭間にてもがいていた彼は、ついにもがくのを止めた。 ――あとは流されるのを待つだけ。肩で息をしていた彼の目にしたものとは、停止に応じてその流れをもまた、止めた人の群れだった。水滴
    さん作 [301]
  • 屋根の上で

    まったくね、屋根の上での断罪劇というか何というか、そういうものを朝っぱらからやられるとこっちも大変なんですよ。 管理人さんは言う。無理もない話だと思う。「そりゃね、私もこの間前線に旦那を送られるまではあなた方みたいな、派手な喧嘩をやらかしたりもしましたよ。だけど今となっちゃ深く反省もしているんですよ。ご近所様をご迷惑をおかけしたことを……」 僕は管理人さんを殴る。そうして逃げる。部屋に置
    さん作 [294]
  • 今朝

    昨日の晩から今朝にかけて、私は目を覚ましたままである。 これといった事件があったでもなく眠れないというのは初めてのことであった。そもそも私は役所勤めをし始めた当初から変わらず、ずっと規則正しい生活を続けているのだから些事の域を出ない変事が起きたとても、早々ルーティンに変調をきたすはずがない。従って、とにかく眠れないこと自体が大事故と呼ぶに相応しい出来事と呼ぶのが正しいところだろう。 無性に
    さん作 [317]
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