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十日十月さんの投稿された作品が328件見つかりました。

 
  • alone 42=雨が降っていた=

    「そりゃあ悪夢のわりには気になる点が残る夢だなぁ…」晶は後ろに反り、伸びをしながら言った。「でしょ?あの子って、やっぱり…」「水鶴は確かに小さい頃 髪はショートだったぜ」「じゃああの夢は…!!」夕が青ざめると、晶は慌てて訂正する。「え、えっと、正夢にはならないと思うぜ!?ほ、ホラ、ガキの頃の水鶴が現れるわけないだろ!?」「でも…もしかすると何かの暗示かも…」「気にすんなって!!」「…うん」晶の言
    兼古 朝知 さん作 [339]
  • alone 41=どうかしてるよ=

    まもなく約束の1週間が経とうとしていた。「晶、調子は?」「ん、もーバッチリ!!」夕が尋ねると、晶はニッと笑って答えた。(ホントは…まだ治ってないくせに…)夕は、そう言おうとした自分の口を塞いだ。「晶…何度も言うけど、無理は禁物だからね?」「おうッ!!」明日、晶は水鶴と生死を懸けた戦いをする。(そんな人間に無理はするなだなんて…どうかしてるよ、あたし)夕は自分に嘲笑した。己を嘲笑うのは、今日で二度
    兼古 朝知 さん作 [349]
  • alone 40=夢から覚めて=

    夕は目を開けた。ここは自分の布団の上のようだ。「ゆめ…だったの…?」「夕ーっ、今日は医務室行かなくていいのー?」台所にいるであろう、母の声を聞いて安心した。夢だと理解してからは、夕は1つ引っかかる点を思い出した。(あの子は…あの子は…)「中村水鶴なの…?」そこまで言って、夢の話にそんなに入れ込む必要はないだろう…と、夕は自分に嘲笑した。
    兼古 朝知 さん作 [345]
  • alone 39=黒髪ショートの少女=

    「ここ…どこ?」気がつくと、夕は荒野にひとり立っていた。『ゆ う…』どこからか、己を呼ぶ声が聞こえる。「誰…?」『私だ、夕…』その声と共に、夕の100メートルほど先のところに、見慣れた姿が現れた。「お父さん?」『そうだ…』父とわかるといなや、夕は父に近づこうとした。が。「え…!?」地面から手が伸びてきて、夕の足を掴んだ。「やだ、お父さ…」助けを求めようと、父を見たときだった。――ゴトリ夕の父の首
    兼古 朝知 さん作 [365]
  • alone 38=存在理由=

    「…?」質問の意味がわからず、圭は黙った。「私は…父上に造られた殺人鬼だ」「……」「ならば何故 晶の偽善的な言葉が耳に残る?」水鶴は地に膝をついた。「私はどこか おかしくなったのか…!?人を殺すのに躊躇いが出る…相手の言い分に同情する…私は…私は…!!このままでは…殺人鬼ではなくなってしまう……要らない存在になってしまう…!!」水鶴は混乱している様子だった。不安な気持ちが脳内を占めているのであろ
    兼古 朝知 さん作 [361]
  • alone 37=私とは何だ=

    ――ザシュッ(何だ…?)――ズパッ(…おかしい)人を斬り倒していく中、水鶴は己の異常に気がつきだした。(…いつもより…深く斬れていない…?)そう。水鶴は、いつも相手の息の根が完全にとまるであろう深さまで斬るはずだが、今日は斬れていない気がする。斬る寸前に、刀を握る手を無意識に緩めてしまうのだ。「ちッ!!」自分への苛立ちを刀に込め、水鶴は半分ヤケになって刃を振り回す。「頼むッ、見逃してくれ…!!俺
    兼古 朝知 さん作 [338]
  • alone 36=戦場以外に=

    ――キィ…「!」水鶴は目を丸くした。開けた扉の先に、己の部下、圭がじっと ひざまずいて待っていたからだ。「寝入っていらしたのです…か?」「柊…いつから?」水鶴は圭の質問に質問を返した。「…ずっとその状態で待っていたのか?」「はい」圭は即答する。「何時間だ?私はどれくらい部屋にいた?」「三時間ほどで…す」「自分の部屋に帰っていればよかったものを」「申し訳ありま…せん。しかし俺は水鶴様の手下…下僕で
    兼古 朝知 さん作 [365]
  • alone 35=紡いだ言葉=

    「!」水鶴は目を覚ました。あたりを見回すと、見慣れた己の部屋。生活に最低限の物しか置いていない、質素すぎる部屋。(夢を、見ていた…)自分の記憶と一切違わぬ夢。泣き虫な晶、明るい晴一、笑う自分…。あの時の晴一の言葉。『俺も優しくなりてーんだけどよ』『ミッチーみたいにさ』そして先刻の晶の言葉。『お前は優しくて…俺と笑ったりしてて…。お前…変わったよ…』(違う)(どれも違う)(私は、私は…)水鶴は、先
    兼古 朝知 さん作 [337]
  • alone 34=昔話(side水鶴?)=

    しばらくして晶がトイレに行き、その時 晴一が水鶴に言った。「ミッチーってさぁ、何でそんなに優しくなれんの?」「優しく?」言われた水鶴は首をかしげ、聞き返した。「俺も優しくなりてーんだけどよ、なかなか なれねぇんだよ。ミッチーみたいにさ」照れ笑いをし、頭をポリポリ掻いて、晴一は言った。「晴一にぃさん…」「ん?」「私は…」そして夢は醒めていく。
    兼古 朝知 さん作 [413]
  • alone 33=昔話(side水鶴?)=

    水鶴が 泣いている晶の前にしゃがんだ。――ぽん。「!!」晶が顔をあげた。水鶴が晶の頭の上に手を置いたのだ。晶は驚いているのか、急に泣き声を出すのをやめて水鶴の目を見ていた。その水鶴の目は温かみがあり、優しかった。「晶はバカじゃないよ」「…!!」「そうでしょ?」「…うっせー」小さい頃から、晶は水鶴の前では強がる癖があった。それに加えて予想しなかったような水鶴の温かい言葉に、すっかり泣き止んだ。「ね
    兼古 朝知 さん作 [389]
 
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