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So-n さんの投稿された作品が6件見つかりました。
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贈りもの-6-<緊張>
ピーピーピー!ピーピーピー!毎朝同じ時刻に同じ音で起こされる。幹弘はだらけた様子で体を伸ばす。と、同時にガバッと勢いよく立ち上がった。(ついに来た!)(ついに来たんだ!!)幹弘は手際よく準備をする。顔を洗い、パンをかじり、服を着る。服は昨日から決めていたものだ。この日のために買い物までいった。ジーパンを履く。店員に、足を長く見せる効果があると言われて買ったものだ。清潔感漂う白いシャツ。黒いコート
So-n さん作 [128] -
贈りもの-5-<決心>
その日を境に、藤子と幹弘はホーム越しに会釈をするようになった。幹弘は会社の少し古びた給湯室でインスタントコーヒーを煎れ、デスクの固い椅子に腰をおとす。(…もどかしいな)幹弘は藤子にもっと近づきたかった。頭の中はそれしかない。今までホームでは見ることのできなかった藤子の笑顔、聞くことのできなかった声をきいてしまった。今、幹弘の心は藤子で占められている。(顔見知りになってから2週間、気づけば会釈する
So-n さん作 [307] -
贈りもの-4-*出会い*
藤子は電車を乗り継ぎ、会社へ向かう。貿易会社の受付を担当する藤子は、白いコートを脱ぎ、シンプルな制服に着替えた。貿易関連だけあって、藤子は英語も多少かじっている。藤子の隣で一緒に受付をしているのは後輩だ。まだまだ教育は必要だが、覚えもよく、要領もいい。「おはよう」と挨拶を交わし、仕事にとりかかる。自動ドアが開き男性が1人入って来た。「恐れ入ります。私、○○警備保証の田崎と申します。新しくこの地区
So-n さん作 [120] -
贈りもの-3-ミキヒロ
幹弘(ミキヒロ)は、1Kのアパートのドアを開けた。開けた隙間から冷たい風がヒュッと抜ける。思わず身震いしてしまう。エレベーターのない2階建ての真新しいアパート。デザインは小綺麗で、女性も多く住んでいる。2階に住む幹弘は、プラスチック製の階段の手すりに触れ、冬の寒さを実感する。階段は凍るほどではないが、革靴を履いていては滑りやすいかもしれない。一段一段、確認しながら降りる。白い息を吐きながら、コン
So-n さん作 [91] -
贈りもの
時計に目をやると、7時25分。白く丸いフェイスに、スラッと細長く黒い長針と短針。秒針はない。藤子(とうこ)は全身鏡で身なりをチェックし、アパートの冷たく分厚いドアを押し開けた。外はどこまでも冬の匂いに満ちている。歩き出すと、マラソンをしている人や、犬の散歩、藤子と同じ通勤途中の人…いろんな人が見えてくる。駅の手前に新しい喫茶店ができた。今日はそこに行こくためにいつもより早めに出たのだ。ペンション
So-n さん作 [106] -
贈りもの
ピピピ…ピピピ…電子音が響く。冬の朝、清々しい空気がその響きを手伝う。藤子は、薄く光る日差しを瞳に流し込んだ。「寒い」身支度を済ませ、冷蔵庫からミネラルウォーターを取りだし、サプリメントを飲み込む。
So-n さん作 [198]
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