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hiroさんの投稿された作品が88件見つかりました。
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僕らの将棋
どんな戦法を使ってでも、君を奪ってやる!僕はそう心に決めていた。だけど君はまるで「王」様だ。近づくことすら難しい。だから僕は負けないように、君に勝てるように頭を使ったんだ。ある時は「香車」のように真っ直ぐな気持ちを君にぶつけて、決して後戻りなどしない。ある時は「桂馬」のように大股でスキップしながら浮かれた気分で君に近づいた。あれは失敗だったな。ある時は「飛車」のように遠い場所から君の様子を窺って
hiro さん作 [554] -
殺人山2
街ではかなり大きなニュースになっていた。《自分の妻を殺した男は、自宅の玄関の前で、死体となって見つかりました。現場には、いくつか不可解な謎が残っています》神田は、白い軽自動車で山を下る。すっかり日は沈んでしまい、暗くて前がほとんど見えないが、物凄いスピードで走る。自分でも信じられないくらいのスピードだった。(ドスン!)もう少し進めば山を抜けられただろうに。車が物凄い勢いで呆気なく木にぶつかった。
hiro さん作 [1,163] -
殺人山1
神田は来た道を戻ることにした。車の鍵をどこかに落としてしまったのだ。「ちくしょう」神田は右手に持った缶コーヒーの中身を飲み干し、そのまま地面に投げ捨てた。車の鍵をなくして、さらにあの大仕事の後…。焦る心を落ち着かせるため、タバコを口にくわえる。薄暗くなってきた。タバコを吐き捨て、たった一人で歩き出す。ここは大きな山の奥の奥。車がなければ山を下るにも下れない。「くそ、なんて不気味なんだ。幽霊でも出
hiro さん作 [1,171] -
カニ人間
私は立派なカニ人間恥ずかしがりな性格でいつも顔を赤くした恥ずかしがり屋なものだから前を向いては歩かないだから前は見えなくて知らずと壁にぶつかるとかたい甲羅で身を守る鋭く尖った両の手は大事なものほど掴めずにいつも誰かを傷つけたハサミは絆を切り離すだけど誰とも話さない夢や希望は泡となり体の底から蒸発し次から次へと消えていく残ったものは後悔だけああどうせこうなるんだったらちゃんと前を向いて歩けばよかっ
hiro さん作 [548] -
ヘビ人間
僕は立派なヘビ人間優柔不断な性格でいつも迷ってばかりいた右に左にくねくねにょろにょろ帰るところはどこにもない何度も何度も脱皮して生まれ変わってはきたけれど鋭い目つきは変わることなくいつも誰かを睨んでは相手と距離を置いていたいつの間にやら老いていたずっと独りで生きてきた右に左にくねくねにょろにょろ結局たどり着いたのは誰もいない孤独な場所で残ったものは後悔だけああどうせこうなるんだったらもっと真っ直
hiro さん作 [592] -
タイムマシン商法
よく晴れた日曜日…。「そこのお兄さん!ちょっと待って」奇妙な男が私に声をかけてきた。その男は上下に白いスーツを着て、サングラスをかけている。「お兄さん!100万円でタイムマシン買わないか?」男が威勢のいい声で意味のわからないことを言ってきた。私は当然のように訊く。「そんなのどこにあるんです?」男は当然のように答える。「まだ完成してないんだけど、完成したら渡すよ」「ばかばかしい」こんな詐欺、誰が騙
hiro さん作 [698] -
神様の誤算
人間よ、罪を感じなさい。自らの失敗を認め、反省しなさい。今こそ協力する時ではないのか。私の目指す、美しき地球を創り出すのです…。「神様。先程から一人で何をおっしゃっているのですか?」「演説の練習だ」「演説、ですか?」「明日地球へ行き、人間どもに教えるのだ」「そ、そんな。神様があそこへ行くのはまずいですよ」「だって、今にも私の創った地球が、人間どもによって汚されようとしているのだぞ」「だって、とお
hiro さん作 [691] -
好きを初めて知った人
あなたが好きこの気持ちをあなたに伝えるにはどうしたらいい?どうすればあなたの気持ちがわかる?あなたは僕のこと好きなの?それを知るにはどうすればいい?………………!?そうだ!この気持ちを伝えてみればいいのか!なんだそんな簡単なことだったのかと言うかこれしか方法がないそれなら僕はなんであんなに悩んでいたんだろうか?
hiro さん作 [702] -
心のコップ2
僕らの最後の漫才の1週間前、中島はまだ元気だったのに…。「嶋田、来週楽しみだな。『シマシマ』の10年の集大成を見せつけてやろうぜ!」中島、張り切ってたなあ。とても、ガンで入院してる奴には見えなかった。「中島、漫才の練習、するか?」「ああ、もちのろんだ!」本番の日だけ、病院を抜け出して会場へ行く。中島にとって、外出できるだけでも嬉しかったはずだ。「嶋田、最後のオチはバッチリ決めろよ!」中島の声が、
hiro さん作 [772] -
心のコップ1
なあ中島、覚えてるか?僕らの、最後のステージをさ…。「今日は、おれら『シマシマ』の最後の漫才でーす!」大きなホールで、お客さんの拍手が僕らに降り注いだ。あの日は、僕と中島の最後の漫才をやった。「おれ、もうすぐ天使になりまーす」中島ったら、無理に明るくしてた。「なあ嶋田、おれ、生まれ変わったら、ここにいるお客さんになりたいんだ」「いきなりなんだよ!意味わからんし」僕のツッコミ、ちょっと切れが悪かっ
hiro さん作 [801]