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ギトー さんの投稿された作品が7件見つかりました。
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無責任万万歳!(7)
「実は、その道庁職員は道内出身者ではなく東京都出身だったんだ。そして、当の本人は魚嫌いなんだ。奴は少年の母に対して親切心から適当に焼き魚定食を勧め、母を魚好きにさせた。それがテロを起こすとは思いもよらなかっただろうがな。ともかく奴の無責任な発言によってテロは起きたんだ、俺等もそう確信したよ。そして奴を逮捕した」僕は口をあんぐりさせていた。それは結果的には悪い方へ繋がったのだろうが、別に道庁職員の
ギトー さん作 [287] -
無責任万万歳!(6)
僕は言われるがままに衣類などの支度を済ませ、覆面パトカーに乗り込んだ。そして決意をかためた上で聞いた。「僕には具体的にどんな容疑がかかってるんです?」すると坂井刑事が面倒臭そうな顔をして僕を睨んでから言った。「君は事件の犯人についてどのくらい知っているかい?」「ええと、犯人が未成年で北海道の魚が原因でそこまでに至ったと…」「そうか、わかった。なら多少は話が省ける。じゃあなぜ彼は矛先を道庁に向けた
ギトー さん作 [294] -
無責任万万歳!(5)
それが悲劇の始まりである。女生徒が家に入り、玄関で彼女の発した第一声が「臭い」であった。彼の家では食事にスーパーの魚は出てこない。わざわざ北海道の漁港から取り寄せたものを食べるのだ。それは彼の母が決して譲らないポリシーみたいなものであり、意地でもあった。一度旅行で北海道に来たときに食べた魚があまりにも美味しく、本州の魚が不味くて食べられなくなったそうだ。彼の母はしまいに魚好きになってしまって、三
ギトー さん作 [301] -
無責任万万歳!(4)
道庁爆破事件は世間を震撼させた。僕は普段テレビで流れる強盗事件や殺人事件に驚かされることは滅多にない。むしろ、それらの事件の背後関係や警察の対応なんかに興味がある。この件でも事件が起きた当初は、僕とメディアではかなりの温度差があった。しかし犯人が逮捕されたとき、僕は鉄球が落ちるぐらいの衝撃を受けた。なんと犯人は16歳の現役の高校生であったのだ。少年は成績優秀で生活態度も良く、おとなしい性格だった
ギトー さん作 [316] -
無責任万万歳!(1)
「トントン」 その音で、僕は眠りの底から意識を取り戻した。容赦のない陽光で揺れる景色のピントを定める。 布団の上に立ち上がり、体がねじ切れんばかりにノビをして怠さを吹き飛ばす。今日も快調だ。 10秒ほどボーっとしてからさっきのノック音を思い出した。目覚まし時計で時刻を確認するが、まだ学生すら登校する時間ではない。白のTシャツに黒のトランクスという何
ギトー さん作 [394] -
無責任万万歳!(3)
それに最近は家に半引きこもり状態で猛勉強していたので悪いことなどする暇も無かった。ましてや逮捕されるほどの犯罪を犯したなんて身に覚えがない。 「えと、あのーなにかの間違いじゃあ…?」確かにそうきいたが、相手はその質問が無かったかのように聞き流し、身仕度の準備を促した。 ちょっとムカッときたが、なるべく落ち着いて重要な部分についてきいてみた。「一体、何の罪で
ギトー さん作 [366] -
無責任万万歳!(2)
僕は今、覆面パトカーで護送されている。 実に信じがたい出来事に、ただ窓に映る見慣れた風景を追っていた。 運転しているのは久保刑事(若いほう)で、左後部座席に坂井刑事(ベテラン?)が腰掛けている。その横の僕のほうにちらちらと目を向けては、手元の資料を確認している。 (なんでこんなことに…)逮捕すると突然言われて、思わず、「ハイ?」と聞き返してし
ギトー さん作 [364]
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