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さんの投稿された作品が72件見つかりました。

 
  • 不変 完

    新幹線のドアが閉まった。そこには冬子が笑顔で涙を流しながら立っていた。手を振っていた。直之は「お前が好きだ」とただ思いの丈を短いメールで送っただけだった。あれはOKサインなのだろうか。新幹線はもう遙か向こうへと走り去った。直之の携帯に冬子からメールが来ていた。「やりたいこと見つけた」直之がこのメールの意味を理解するのはそれから一年後のことだった。冬子にとって変わらないものは、自分が一番理想とした
    さん作 [213]
  • 不変 ?

    二人は無言のまま残りの時間を過ごした。冬子は思った。時間が経っても変われないのは人間だけなんだと。人間の根っこの部分は結局変われないんだと。悔しいような空しいような、虚脱感が襲ってきたが、新幹線が入ってくる音で冬子は我に返った。「じゃあ、行くね」「あ・・・」冬子は涙をこらえきれそうになかったので、すぐに新幹線に乗ってしまった。直之は急いで携帯を取り出しメールを打った。もうあと一分程で新幹線は出て
    さん作 [166]
  • 不変 ?

    出発の朝。またすぐに仕事があるのか、冬子はラフな出で立ちでホームに立っていた。長い髪は綺麗に後でまとめ上げられており、作業をしやすくするためだということがすぐに読みとれた。なぜなら普段の冬子は髪を束ねたりまとめたりはしないからだ。東京での顔つきに冬子は戻りつつあった。「まだ三十分くらいあるのに」冬子はホームのガラガラのベンチの真ん中を二人占めしていた相手、直之に言った。直之は何か考え込んでいるよ
    さん作 [228]
  • 不変 ?

    冬子は休暇の日数があまりに短いことに今更気付いていた。結局、自分のやりたいことはわからず終いだった。またいつもの忙しく虚しい作業の中へと逆戻りだ。忙殺されていればこんなバカな考えは浮かばなくてすむ。やりたいこと。冬子は直之がなんと言ってほしかったのかがわからなかった。「・・・・」冬子はいつの間にか眠ってしまった。直之が店を閉める夕方頃には外は土砂降りの雨だった。何とはなしに冬子に電話をかけてしま
    さん作 [208]
  • 不変 ?

    「うん?」冬子はいつの間にかカウンターの席に座って直之が持ってきた古い短歌集やら俳句の季語辞典やらを読んでいた。「あ、それか。斜め向かいのお爺さんが探しといてって。俳句始めるらしいんだ」「うん。あ、それで?」「それで・・・・冬子って、あっちで今したいことある?」「え・・・?」不意に冬子は直之に頭だけ向き直った。「あっちで・・・東京でしたいことあるなら、良いんだけど」「・・・昨日のことなら、いいか
    さん作 [256]
  • 不変 ?

    翌朝、冬子は盆の墓参りに来ていた。両親も一緒だった。「・・・さてと」手を合わせて参っていた父親がゆっくりと立ち上がった。「じゃあ父さんたち帰るけど、冬子は・・・」「うん、本屋に行ってくる」本屋とは直之の古書店のことである。冬子は墓地で両親と別れ、古書店まで歩いていった。直之は一年ちょっと経って少し慣れてきた店の本の配置を見回りながら冬子を待っていた。店内には柱時計から聞こえてくる秒針の音だけが響
    さん作 [216]
  • 不変 ?

    キッ!と、大げさな音を立てて自転車は止まった。冬子が背負っていた重圧や責任、不安が、少し気を弛ませた彼女を押しつぶした瞬間だった。誰もが背負っているそんな当たり前のものが一人の人間をこんな風にしてしまったのだ。「一人暮らしとか・・・・ちょっと・・・慣れなくて・・・・ごめん・・・ごめん」「やっぱ、帰ってこいよ」冬子は首を縦にも横にも振らなかった。なんと言って慰めればいいのだろう。分かっていることは
    さん作 [225]
  • 不変 ?

    冬子は驚く風でもなく返事を返した。「そんな暇ない。そっちは?」「俺も」冬子は疲れを隠すように笑った。だが直之は見抜いていた。この一年で冬子が相当疲れてしまっていることに。坂を下りきると、直之の自転車だけが夜風に吹かれていた。直之はサドルに、冬子は後ろの荷台に座った。冬子の両手は荷台を軽く握って、走り出した自転車の速度に振り落とされないようにしていた。と言っても、直之はさほど速度を上げず自転車を漕
    さん作 [208]
  • 不変 ?

    冬子はその涙を隠すように笑った。「ナッちゃんがこっちで良い就職先見つけてくれればなぁ」「俺のせいかよ?」ふたりは笑いながら缶ビールを飲み干した。冬子は大学卒業後、一年だけ地元で就職活動をしていた。しかし、とうとう良い就職先が見つからなかったのだった。不意に直之が口を開いた。「冬子、言い忘れてたことがあったんだ」「なに?」「俺・・・・・・冬子の」そのとき、最後の花火が豪快な音を立てて言葉を遮り、大
    さん作 [219]
  • 不変 ?

    花火が夜空に咲いても、返ってくる音は二人の居る丘には大して響かなかった。直之は一本の缶ビールを飲み続けながら冬子の話す昔話に思いを馳せていた。「・・・そしたらね、先生が教室に戻ってきちゃって、あの時はホント怖かったなぁ」友だちと花瓶を割ってしまい、夏休みに入る直前の楽しい最後の一日が台無しになった。という、冬子の話に直之は返事をした。「あったな〜。冬子たち小学生の頃から教室の備品とか壊してたもん
    さん作 [273]
 

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