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S・U さんの投稿された作品が187件見つかりました。
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エンブレム〜第一章〜?ー?
俺くらいの歳で、しかも中学中退みたいな奴が二人人並みに過ごせるような稼ぎをするためにはこれくらいしかない。それに…、それに、こういう仕事をしていれば、いつか、いつの日か“奴”についての情報が掴める可能性も十分に有り得るのだ。だから、その日が来るまで俺はこの仕事を辞めるつもりなんて毛頭無かった。*煎餅を六枚ほど食べ終わったあと、俺は手紙を手に取った。まずは受注する順番を決めようと思ったからだ。よっ
S・U さん作 [259] -
エンブレム〜第一章〜?ー?
「ふーん、そっか。まぁ、あいつも忙しい身だしな…。仲介人ってのも難儀な仕事だよなぁ」パリッと煎餅をかじりながら他人事のように言った。「…ですけど、その依頼を受けて、命を懸けるのは慎弥さんの様な人達です。あまり他人事ではないと思いますが…」その口調を聞き咎めてか、奏が少し声色を変えて俺を諭した。「そりゃあ、まあな。だけど別に受ける依頼全てが命懸けって訳でもないだろう?昨日終えた依頼だってただの猫探
S・U さん作 [248] -
エンブレム〜第一章〜?ー?
白髪白肌で、それを気にしてか外に出るときは必ず麦わら帽子に薄手のシャツを羽織っている。好き嫌いがないようで、何でも食べる雑食。一応、現在は俺の助手という立ち位置に居てもらっている。「…そういえば、昨日三奈川さんがウチに来ていましたよ」「へぇ…?いつ頃だ?」「昼過ぎ辺りに…。丁度慎弥さんが猫探しに行ってるときです」「ああ…、その頃か。…で、何か言ってたかあいつ」「いえ、特には。いつものように依頼の
S・U さん作 [240] -
エンブレム〜第一章〜?ー?
職業は、簡単に言えば何でも屋。格好良く言えば請負人。ちなみに駆け出し三年の、まだ大した仕事も任されないぺーぺーである。現在は、半壊した廃屋をあるツテから間借りしてそこに住み込んでいる。何故未成年が働いているのかとか(というか何故働けるのか、とか)、何故未成年がこんな場所で二人暮らししているのかとかは、込み入った事情なので今は割愛させてもらう。一応電気や水道は通っているので、半壊だからといって生活
S・U さん作 [224] -
エンブレム〜第一章〜?ー?
「こんなもんで誤魔化されると思ったら大間違いだぞこんにゃろうがっ!煎餅一枚が茶菓子に成り立つとでも本気で思ってんのか!」「…そうですか。…だったら」ガサッと自分が入ってたコタツから見惚れる程に綺麗な動作で袋を三つ取り出した。「…これだけあれば、一緒にお茶を飲んでのんびりできますね」それは先程食べていた煎餅とは違う煎餅の入った袋だった。磯辺、黒胡麻、醤油。どれも俺の好物。「……麦茶と緑茶どっちが良
S・U さん作 [273] -
エンブレム〜第一章〜?ー?
「……おい、無視すんなよ!これじゃ俺ただの情緒不安定人間みたいじゃないか!」「…あまり大きな声を出さないで下さい。テレビが聞こえません」「やっと喋ってそれかよっ。てか、んなこたぁどうでも良いんだよ!いつだ!いつ食ったお前は!俺が大事に取っておいた、○祥寺の芋羊羮!」「五分前」「予想外に近い!?」「食べ過ぎて甘ったるくなったので、現在煎餅にて治療中…」「何持ったいねえことしてんだ!返せ!今すぐ返し
S・U さん作 [256] -
エンブレム〜第一章〜?ー?
――神様返してください――カチャ。「…あれ?無い…?」目標の存在を認められなかった俺はそう反射的に呟いたあと、もう一度棚の中を覗き込んだ。確か、ここに入れておいた筈なんだけどなぁ…。「なにかお探しですか…?」後ろから奏が声を掛けてきた。どうやらテレビを見ている様子でパリパリと煎餅をかじる音と共に何らかの音声が聞こえてきた。「ああ、お前さこの棚に入ってた芋羊羮知らないか?」棚をあさりながら俺はそう
S・U さん作 [257] -
エンブレム〜第一章〜?ー?
「…じゃあ行きましょう、鬼好が私達を待っています」「別に鬼好は逃げないだろ…」それとも足でも生えてるのかその店は?「売り切れになるのだけは絶対に御免です…」そう言ってグイグイと、奏は俺の手を引っ張った。「早く…。急ぎましょう…」「ああ…はいはい」お前ホンットにおにぎり好きなのな…、と呆れるように言ってから俺は奏に引き摺られるように目的地の鬼好亭へと歩き出した。一体幾らくらいこいつの為に払わされる
S・U さん作 [305] -
エンブレム〜第一章〜?ー?
「まあ、良いじゃないですか…。在るものは有効活用しませんと…」「いや、だからってそんな選択肢選ばなくても…」なおも反論する俺を奏は手で制止した。「私が良いと言ってるんです。まだ文句を言うのなら刺しますよ」「…ああ、はい」諦めた。てか、分かりましたと言ってんだからポケットから早く手を出せよ。何か入ってるような気がして地味に怖いじゃないか。「ナイフはポッケに常備です」「…」…ああ、そうでしたね。ええ
S・U さん作 [270] -
エンブレム〜第一章〜?ー?
「ほう…ちなみにどんなの読んだんだ?」「題名は忘れてしまいましたがこういうシーンがありました」そう言って奏は人差し指を立て口許に近付けた。「禁則事項です」「何読まされてんだお前!」今俺は、非常にこの町の将来が不安になったぞ!てか、仕事中に何持ってきてんですか御巡りさんっ!「傘が二つありますけど、こっちは私のですか?」奏が二本の内の一本を凝視しながら聞いてきた。「ん、ああ。まあ、一応な。でも、あん
S・U さん作 [272]