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S・U さんの投稿された作品が187件見つかりました。
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エンブレム〜第一章〜?ー?
「…気付くまで二分十二秒。もう少し脳を早く回転させないと死にますよ」「そんな事どうでもいいんだよ!何でお前がここに居るのかそれを答えやがれ!」「…」スッと無言で麦わら帽子を差し出してきた。「?何だよ」「慎弥索敵センサーが働きました」「すげぇなこの麦わら帽子!」まさかこんな帽子にそんな高機能が付属されてるとは!?NASAだってまだこんなの持ってないだろっ。「というのは冗談です。本当は、慎弥さんがバ
S・U さん作 [239] -
エンブレム〜第一章〜?ー?
ノンストップ…つまりは動き出したら目的地まで停まらないと言うこと。つまりは乗客の入れ替わりがその時点まで無いと言うこと。俺がバスに乗り込んだすぐ後バスは出発した。つまり、俺が乗ったときには既に他の乗客は諸々の席に座っていた筈なのだ。だったら…何故、彼女はわざわざ自分の席を立って俺の隣に座ったのであろうか…。「…まあ、いいか」何もこれから二度と会うことがない人について考えを巡らしたところで壊滅的に
S・U さん作 [253] -
エンブレム〜第一章〜?ー?
彼女が椅子から立ち上がり、俺も後から席を立つ。雨はどうやら上がったらしく、空は晴れやかな青空を広げていた。うーん、少し微妙な心境だ。俺はチラリと持っていた傘を見た。折角あいつの分も傘持ってきたのになぁ…。「やっぱり話をして居ると時間なんてあっという間ですね」機械にお金を入れながら彼女は言った。「そうですね」忘れられる程面白い会話ををしていれば…の話だが。そう少し思ったが別に俺は何も言わなかった。
S・U さん作 [243] -
エンブレム〜第一章〜?ー?
「お仕事は何をなさってるんですか?」「フリーター、といったところでしょうか…」実際のところは、一般的に定義されるフリーターとは全くと言って良いほど似ても似つかないが、仕事を転々としているのは変わらないのでそう呼んでも別に構わないだろう。「そうですか…。今は就職難の時代ですから、大変ですね」一人納得するように彼女は頷いた。折角なので俺も何か質問することにした。「お姉さんは何用でその町に?」「私も似
S・U さん作 [260] -
エンブレム〜第一章〜?ー?
しかし、この席を中心とした前後左に乗客は一人も座っていないし、かといって二席も離れたあちらの男性に対してこんな小さな声が届くわけ無いので彼女が独り言を喋っていると言う可能性を除けばこの場合俺に話し掛けている、と考えるのが妥当だろう。なので俺は答えることにした。「ええ…まあ、ちょっと――まで」俺はある町名を口にした。「へぇ、そうなんですか。私もそこで降りるんですよ」偶然ですね、と彼女は面白がるよう
S・U さん作 [251] -
エンブレム〜第一章〜?ー?
「有難う御座います」彼女はそう言って席に座った。俺はその様を見ながら何気なく彼女を観察していた。全くと言って良いほどに染めた形跡も無い真っ黒な髪。長さはショートカットと言うところであろうか。服装は至っておとなしめで、黒を色調にした長袖に緑掛かったロングスカートを穿いていた。年齢は二十代半ばと言ったところか。だが、身長は俺よりも若干低い。整った顔立ちにうっすらと塗られた化粧。俺にはよく分からないが
S・U さん作 [265] -
お知らせ
現在私が執筆中の小説、『エンブレム』に前置きを追加しました。書いた時期上、中途半端な位置に掲載されますが御了承ください。
S・U さん作 [259] -
エンブレム〜第一章〜?ー?
――夢を見た、吐き気がするほど甘い夢を――雨なのに人が少ないんだな。それがバスに乗って椅子に座った後まず思った事だった。ガタガタとバスに揺られるのを体に感じながら俺はボンヤリと頬杖をつき窓の外を眺めていた。窓の向こうは雨のお陰で町を歩く人の殆どが傘を差していた。だが中には、雨なんか関係ないぜ、と言わんばかりの如くに傘も何も差さずに雨の中を駆け抜ける猛者もチラホラと見かけた。そういう人たちを見てい
S・U さん作 [337] -
エンブレム?
私はそれを聴きホッと安堵し、彼女が注文されたコーヒーをソッと前に置いた。彼女は軽く会釈しそれを啜ったあと、ポツリポツリと語り始めた。私は表情には表さなかったが内心嬉々としながら興奮していた。まさか、あの有名な大惨事を、体験した当人から訊けることになるなんてという浅ましい好奇心からだった。そうして、私が最初に聴いた話は、全ての始まりだったと言う小さな村の話だった。
S・U さん作 [286] -
エンブレム?
「…遠くから」彼女は一言そう言ってある場所の名称を言った。彼女の言う地名はここより遥か遠くにある異国の地の名だった。私は酷く驚き思わず上擦った声で聞き返してしまった。実はその国は、数年前の大災害によって壊滅状態になる程の打撃を受け、その国に住んでいた人口の実に九割が死亡したというとんでもない場所だったのだ。彼女が頷いたのを見たあと私は「よくそんな五体満足で生き延びれましたね」と今考えれば酷く失礼
S・U さん作 [277]