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S・U さんの投稿された作品が187件見つかりました。
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エンブレム〜序章〜?―?
「はあ〜…」男はやれやれと言った調子で溜め息を吐いた。「ま、あんたがいいってんなら此方も全然構わないんだがな」男がそう言うとそれが癪にさわったのか研究員は声を荒げた。「一体何時までそんな戯けたことを言う気ですかっ!良いからさっさと私の目の前から――」ズ―――――ンッ。突如二人の足下から雷鳴のような爆音が鳴り響き研究室を僅かに揺らした。「――な、何だ今の音はっ!?」その音に驚いた研究員は声を上げ、
S・U さん作 [246] -
エンブレム〜序章〜?―?
男はそれを握り右腕に押し付けると、付けた部分からグチュグチュと気味の悪い音が鳴り始めその音が鳴り止む頃には男の右腕は再生という理を得ていた。「――うしっ」二、三度手を握り開いた後、男はそう言って立ち上がった。「それじゃあ此方は帰らせてもらうぜ」「おや、もう帰ってしまわれるんですか?」ブースに見いったまま研究者は聞いた。「ああ、依頼料も支払って貰ったし、もう此方としても用件は微塵もないのでね」「そ
S・U さん作 [277] -
エンブレム〜序章〜?―?
「いや、まさかこんなに早く取り返してきてくださるとは思いもしませんでしたよ。ホントに有難う御座います」如何にも研究者面をした白髪の男はブースをなぞり見ながら笑顔で隻腕の男に話し掛けた。「…別にそんな事で礼を言われる筋合いはないさ。此方は依頼を遂行しただけに過ぎないからな。だが…」若干不機嫌な表情を作り、男は隻腕となった右腕を動かした。「割りに合わなさすぎるぜ、この仕事。右腕だけならまだしも、製作
S・U さん作 [272] -
エンブレム〜序章〜?―?
「これは…?」見た感じ、それは何処にでもあるような普通の御守りだった。「それを…これから先いつ如何なる時も身に付けておいてください。…絶対に無くさないで下さいね…」神妙な面持ちで幸姉は言った。「何故?」と聞き返すと幸姉は人差し指を口許に持っていき「…内緒です」と答えた。「――それじゃあ行きましょうか。解っているとは思いますけど私が出来るのは案内までです。そこから先は一切手出ししません」「うん…分
S・U さん作 [269] -
エンブレム〜序章〜?―?
「解ってはいました、初めて逢ったあの時から…。貴方の存在は…私を本当に狂わせてくれます」「……そうかもしれませんね」そう言って俺はそっと屋上の扉に手を掛けた。「――行くんですか?」背中越しに幸姉が問い掛ける。俺は無言で頷いた。「何処に居るか解っていますか?」「…いえ…」俺は首を振った。「…教えて差し上げましょうか?」「…え」その言葉に俺は思わず振り返った。「…ふふ、まさか私の口からそんな言葉が出
S・U さん作 [256] -
エンブレム〜序章〜?―?
「刺殺と炎殺を同時にすることが出来るんですよ?これ程拷問に近い殺し方が少しの手間で出来るんです。貴方には…私にそれを強いる資格があります」「…」俺はゆっくりと彼女の束縛を振り払い右手を自由にした。「――しませんよ…そんなこと。いや、出来ませんよ、と言った方が正解ですね」そう言うと幸姉は少し驚いた顔をした。「…何故ですか?私が憎くはないんですか?私を殺したいとは思わないんですか?」「ええ、全然思い
S・U さん作 [237] -
エンブレム〜序章〜?―?
「星は綺麗ですよね。美しいですよね。空だけを見れば、世界は皆に優しくて皆に同じ様に接してくれると勘違いしてしまいますよね」その人は空を見上げそう言った。「そうですね…。俺も、そう思うよ――幸姉」そう言うとその人は――幸姉は空から視線を下ろし俺の目を見た。その幸姉の表情はまるで傀儡の様だった。「――貴方は何処まで解っていますか?」柵を背もたれにしながら幸姉は問い掛けてきた。「…どこら辺まで想像つい
S・U さん作 [246] -
エンブレム〜序章〜?―?
魔術と言うものは改めて凄いと実感した。あれほど酷い怪我があっさりと軽傷の部類にまで回復したのだ。医者は念のため入院していけ、と言ったが俺は手を振り病室を出た。これ以上入院患者を増やしてもあちら様が大変になるだけだからな。病室を出ると真っ暗な廊下がのびていた。電線が切れているのか、もうとっくに明かりが点く時刻だと言うのに廊下は一切の光を失っていた。パタパタと廊下を歩く。途中通りすぎた部屋からはラン
S・U さん作 [242] -
エンブレム〜序章〜?―?
聞き覚えのない声だから分からないや。「待てよ、子供が成長したら、学校に入るよな?と言うことは私は自分の子供を教えると言うことになるな。はは、困ったな私情を挟まず授業が出来る気がしないぞ」「――誰かっ!誰か早く来てくださいっ!!患者さんがっ…患者さんが暴れていますっ!!」誰かが人を呼んだ。バタバタと多数の走ってくる音を聞いた。「いかんっ!――君っ!早く鎮静剤をっ!!」「止めて下さい嶂岸さんっ!止め
S・U さん作 [229] -
エンブレム〜序章〜?―?
――これは罰なんだ。「誠は今何処に居るのかな?何故姿を見せてくれないのかな?どうしてかな宮野?分かるか?」何処の景色も何も見えない。ただ、ばき、ばき、と無機質な音が病室に木霊するのを耳元で聞いていた。「いや、やはり子供を産むからにはもう少しそっち方面の知識を得ておいた方が良いかな?今度、瀬野にでもご教授願うとするか」――俺があの子を助けたから、俺が身勝手な行動をしたから、俺がここに存在したから、
S・U さん作 [242]