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けい さんの投稿された作品が9件見つかりました。
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武士になりたくて七
その頃、山の反対側の麓に陣を張っている軍勢がいた。自国の領土で、悪行を働いている敵国の軍勢に対して、総攻撃するのか、後続の味方の軍勢が到着するまで待つのか…この二つの意見で揉めていた。「むやみに打って出ては敵の罠にはまります!」「今敵の軍勢は油断しているはずです!打って出るのが得策かと思われます!」「味方の軍勢が到着するまでは此処を動かない方がよいのでは!」互いの意見を主張し合って中々話しが先に
けい さん作 [200] -
越後の龍2
景虎には諜略にたけ、兵法に秀でた一人の武将が後ろ盾になっていた。名は宇佐美定満。越後の国で知らない者はいないとまで言われた智将である。景虎は宇佐美がいる琵琶島城に何度か行っていた。兵学などあまた学ぶためだ。景虎は琵琶島城に着くなり、宇佐美に相談した。府内の館で引きこもり、父の弔い合戦も、春日山城奪還もしようとしない晴景に、春日山城への出陣の了解をなんとか取り付けた。晴景は出兵には反対だったが、宇
けい さん作 [189] -
武士になりたくて六
虎之助を追い抜き、走り始める虎之助は小一郎が懸命に走っている姿を見、悲しみと弟に対しての誇りに胸が震えた。守ってみせる。オラの命に代えても。
けい さん作 [197] -
武士になりたくて五
戦。これが戦なんだ。憧れていた華やかさなど微塵もない。あるのは血の匂いと燃える炎。これが戦。虎之助はその場から立ち上がり燃え盛る村を見て驚愕した。二手に別れ、一つの軍勢は山に向かい更にもう一つの軍勢は山を迂回しながら進軍して来る沢山の人影の波…。「小一郎!動くなよ」虎之助は咄嗟にその場にしゃがみ小一郎に向かって叫んだ!此処にいたら、見つかってしまう。虎之助は小一郎の手を掴み再びはやる気持ちを抑え
けい さん作 [201] -
武士になりたくて4
しばらく二人はその場に佇んでいた。喉が痛い…火の粉で焼けたな。都合のいいことに、せせらぎが聞こえる。二人はよろめきながら、小川へと足を運んだ。気の済むまで冷たい水を飲み干し、虚ろな目をした小一郎を窺う。虎之助は笹に包まれた握り飯を小一郎に手渡した…これぐらいしかしてやれない自分が情けない。空腹は感じなかったが、とねが作った握り飯を食べはじめ、気付いた時にはガツガツと口に突っ込んでいた。握り飯を食
けい さん作 [318] -
越後の龍
越後の長尾家当主為景が戦で討ち死にして、長男の晴景が当主になったのだ。が、器量も人望も無く、父為景が越後一国をほぼ治めていたのだが、晴景が当主になってから晴景の居城春日山城の周り僅か二郡しか治められなくなっていた。日夜酒に溺れ京から大金をはたいてどこぞの公家の女を買い、夢中になり、それに不満を持った家臣が謀反を起こしても気付かない始末。そして晴景が一番信頼していた家老の昭田常陸守が晴景を春日山城
けい さん作 [231] -
武士になりたくて3
「裏山に逃げよう」小一郎の声が震える。村のすぐ傍に小高い山がある。その山を越えて左に行けば堺の町、右に行けば京の都がある。母とねと虎之助と小一郎の三人は裏口へ、兵士達に見付からずに裏山に向かう事ができた。しかし、途中兵士に見つかってしまった。「捕らえろ!」三人は無我夢中で走った。足が早い虎之助、少し遅れて小一郎、さらに遅れて母とね、あと少しで裏山に入れる所でとねが石に躓いた。虎之助は振り返った。
けい さん作 [212] -
武士になりたくて2
虎之助の父佐吉は、元々侍大将だったが、戦で受けた傷が元で足が悪くなり、暇を貰って虎之助が生まれる十五年前にこの村に越して来た。母とねとはこの時に知り合った。侍大将だった頃に貯めていたお金で、小さなボロ家と小さな畑を買い、貧乏であったが幸せに暮らしていた。しかし、戦で受けた傷が元で今から三年前に死んでいた。虎之助は、父が侍であった事は母から聞いていたが、詳しくは知らない。父佐吉も皆に詳しく話してい
けい さん作 [248] -
武士になりたくて
ある真夏の暑い日、村から十里ほど離れた場所で戦が始まった。小競り合いは何回かあったが、今回はかなり大きな戦で朝から始まった戦は昼頃になると烈しさを増し村の近くまで迫って来た。村の人々はあるいは荷車に家財道具を載せ逃げる者、あるいは遠くの親戚を頼りに逃げる者、皆思い思いに逃げて行く。中には村に残る者がいたが僅かに残っているだけだった。そこに戦と聞き朝から目を輝かす一人の少年がいた。名を虎之助という
けい さん作 [227]
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