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よしゆき さんの投稿された作品が140件見つかりました。
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恋、二度(ふたたび) 10
涼平は短時間のうちに、既に一人の女性と談笑していた。 「ほんま、涼平はこういう事は昔から早いんやから」 俺は半分呆れながら、近付いていった。 「夏希、遅かったやないか」 涼平は俺を見つけると、右手を挙げて手招きした。俺が近付くと 「彼が大友夏希。新郎と俺達は、学生時代からあほな事ばっかりやってた親友なんだ。」 「あほなことばっかりやってたのは、涼平だけやがな。」 「この裏切り者」 涼平は俺
よしゆき さん作 [180] -
恋、二度(ふたたび) 9
用を足してトイレから出てきた俺は、涼平を探して首を会場の方へと巡らした。 人並みより少しばかり背の高い俺は、背伸びをすると何とか会場全体を見渡すことができた。 会場のほぼ真ん中の方に涼平の姿を見つけると、俺は踵を降ろした。その時俺が軽い違和感を感じた瞬間、 「あっ…」 という聞こえるか聞こえないかというぐらいの、囁くような悲鳴があがった。 俺が当事者じゃなかったらきっと無視してしまうぐらいの声
よしゆき さん作 [157] -
恋、二度(ふたたび) 8
俺達は酔い醒ましを兼ねたアイスコーヒーを飲み、学生時代の馬鹿話をしながら会場の入口を見ていた。 開場時間が近付いてくると、華やかに着飾った招待客がかなり集まってきた。 時間を確認すると、そろそろ十分前になろうとしていたので、俺達は喫茶店を出て会場へと向かった。 入口で受付を済まして中に入ると、外からでは思いもしないほどの広さがあるフロアがあった。中ではすでに四、五十人ほどの男女が、ここかしこ
よしゆき さん作 [166] -
恋、二度(ふたたび) 7
「二次会って何時からやったっけ?」 涼平は腕時計を見ながら聞いてきた。 「六時からやろ。なんやまだ一時間以上あるがな」 俺も腕時計を見ながら答えた。 「サ店でも行っとこか?あの店やったら会場への出入りも見えるし、何よりどんな娘がくるのか楽しみやろ。なんせ新婦の学生時代の友達も結構来るらしいで。しかも美人揃いやって悟志が言っとったで」 涼平は半年程前に今の彼女と付き合いはじめたばかりだというの
よしゆき さん作 [213] -
恋、二度(ふたたび) 6
待っている間中、俺はどう切り出そうかとずっと思案していた。 注文したものがくると、俺は意を決して、 「別れよう」 とだけ由佳に言った。何も言う前から由佳はその事があるのを解っていたのか、涙を浮かべて俯いていた。 俺はなるべく由佳のほうを見ないようにして、 「ごめん」 と呟いた。 すると由佳はキッと俺を正面から睨むと、次の瞬間、大粒の涙を流しながら、俺の左頬を思いっきりひっぱたいて、席を立
よしゆき さん作 [198] -
恋、二度(ふたたび) 5
涼平は物怖じしない性格だったので、すぐに悟志と仲良くなり、俺達三人はいつの間にか一緒につるむようになっていた。 大学でもふたりは女の子に人気があり、俺もそれなりに遊んで過ごしていた。 そんな仲間だったけど、お互いに付き合っていた彼女には絶対に手を出さないということと、付き合い始めたら必ず報告するという不文律がいつの間にかできていた。 俺は未だに一人の女性しか、二人に報告していなかった。それが河
よしゆき さん作 [168] -
恋、二度(ふたたび) 4
俺と涼平は高校時代からの親友で、悟志とは大学に入ってからの親友だった。 しかも高校時代は、テニス部でうだつのあがらなかった俺とは違い、野球部のエースで女の子にもてまくっていた涼平と、何故か妙にうまが合い、高校生活を満喫したあと互いに高校卒業後一浪して、同じ大学の史学科に入学したのだった。 そこで同じクラスにいたのが、高校時代はサッカー部で活躍していてやっぱり女の子にもてまくっていたらしい、現役
よしゆき さん作 [184] -
恋、二度(ふたたび) 3
「そんな大きな声出さんでもええがな。冗談やないか、お前がそんなん出来へんことぐらい知っとるわ。でもなお前らが別れた日、悟志と三人で一緒に飲みにいったやろ、あの時の夏希の飲み方で、お前から振ったんやって解ってたわ。何があったんかは夏希が言わへんから、理由は知らんけどな」 涼平は、前に向き直ると腕組みをしながら言った。 「すまん」 俺は素直に頭を下げた。 「謝らんでもええがな。言いたくないことは
よしゆき さん作 [194] -
恋、二度(ふたたび) 2
「涼平、お前どの娘の事言ってんねん?」 俺がそう言った途端、涼平が俺の頭を小突くと、 「お前、そんなに付き合ってた彼女おらんやろ?俺達が知ってる限り、お前が付き合っとった娘って、由佳ちゃんだけやと思っとったけどなぁ。それともなんや、俺達の知らん娘でもおったんか?」 と笑いながら言われてしまった。 確かに生まれて二十六年間で確実に付き合っていたと言える娘は、河上由佳ただひとりだったが… 「でも、
よしゆき さん作 [203] -
恋、二度(ふたたび) 1
「あ〜あ。とうとう結婚第一号誕生かぁ。俺達もそんな歳になってしもうたがな」 学生時代からの親友のひとりである、有馬悟志と新婦美樹さんの結婚式と披露宴が終わって、二次会の会場に向かうタクシーの中で、同乗したもうひとりの親友、山村涼平に向かって俺は溜息をついた。 学生時代から何をするにも一緒につるんできた仲間だったが、大学を卒業して三年もたつと、さすがに男だけでつるんでいたわけでなく、恋もし、つい
よしゆき さん作 [312]