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旅人R さんの投稿された作品が7件見つかりました。
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再生
僕は時々全てを捨ててしまいたいと思う。全て。物質ではないもの。過去の記憶。思い出してしまうから。幸せな時間。一人になった時に淋しいから。別に壊したい訳でもなく、思い出したい訳でもない。自然と自分が取っている行動だから、癖とでも言うのだろうか。癖なんて一言で言い表したら、それはとても小さい事のようだけど、僕は長い間悩まされている。過去の事だから誰にもどうする事もできない。自覚しながらも思い返す自分
旅人R さん作 [271] -
君の声が聞きたくて?
君の家の電話はまだ残っていた。いつものように留守電に繋がった。「もしもし。〇〇です。〜」久しぶりに聞いた君の声。君の声が出なくなってから初めて聞いた。あーそうそう、こんな声だったなぁ。君の音声が終わっても、この電話を切る気がしない。もうちょっとだけ君が何か言ってくれそうな気がして受話器を手放せない…「行かなきゃ。」ふいに電話の向こうから聞こえた。僕は耳を澄ます。「いつまでも失ったモノに縋ってちゃ
ぽず さん作 [255] -
君の声が聞きたくて?
あれから1年経って、また春が来た。今日は君の命日だね。君は手術を決める少し前に僕に聞いた。「ねぇ…人はどのくらいの記憶なら覚えていられるのかなぁ?新しい記憶が増えたら古い記憶は忘れちゃうのかなぁ?」こんな事を聞くなんて一体何を考えているのか、わかりそうでわからない。僕は戸惑いながらもそれを悟られないように言った。「…人は本当に大切なことは忘れない。忘れられないんだよ。だから大丈夫。」最後の一言を
ぽず さん作 [270] -
君の声が聞きたくて?
2年前。春が来た。君はすっかり元気になった。手術後は君も落ち込んでいたけれど、声は出なくても君は君だ、生きていることに意味がある、と彼女を励まし、自分にも言い聞かせた。彼女は天使の声と言っても過言ではないくらいの美声と引き替えに命を手に入れたのだ。もう彼女が苦労する事はこの先死ぬまでないと思っていた。しかし…彼女の病気は再発した。また入院生活の始まり。あの声は何の為の犠牲だったんだ?納得できない
ぽず さん作 [307] -
君の声が聞きたくて?
3年前。春が来た。初めて君に電話が繋がった。でも出てきたのは君ではなく、君のお母さんだった。その人は彼女が入院していると言う。僕は病院を聞き、何も考えずに走りだした。病室のベッドの上に君はいた。少し驚いていたようだけど、笑顔で言う。「久し…ぶ…り…だね…」以前のままの透き通った声だった。でも囁く程度の音量。そう。彼女の喉には肉腫ができていたのだ。それからは毎日のように病院に行った。彼女の病気は悪
ぽず さん作 [302] -
君の声が聞きたくて
5年前。春の日だった。君と出会った。君の声は天使の如く美しかった。それから毎日会うようになった。幸せだったあの頃…4年前。春が来た。君は現れなくなった。君は携帯を持っていなかったから毎日自宅に電話した。いつも留守だったけれど、「もしもし〇〇です。ごめんなさい。ただ今外出中です。ご用件のある方は…」これを言う君の声を聞くことができた。最初から君への想いは恋じゃなかったけど、それでもやっぱり切なくて
ぽず さん作 [309] -
天使の歌声
―4年前―\r君と出会ったのは4年前、僕らが高3になったばかりの春だった。僕が新学期早々行われた試験の結果を公園のベンチに座って渋々見ていた時だった。一冊のノートが僕の足元まで風に飛ばされてきた。だるいながらも拾い上げたその時だった。「すいませーんっ!!」子供っぽい口調ながらも綺麗な声で謝りながら、セーラー服の女の子が駆けてきた。長い髪の毛は夕日に染まって、天使のようだ。「はぅ〜…本当にすいませ
あずきうさぎ さん作 [319]
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