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たる さんの投稿された作品が45件見つかりました。
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RPG−28
「お姉さんたちは船で来たんでしょ?」「見てたのか?」「鏡でね。僕も船に乗りたいんだ」2人は顔を見合わせた。乗せたいのは山々だが、あの船には別れを告げたばかりだ。それより鏡の凄さにカナは驚いていた。家の周りを映したり、港を映したり。一体、いくつあるんだろう。「お姉さんもまだ旅を続けるでしょ?旅には船が1番だよ」ディーシャの発言は、もちろん2人のお人よしを見抜いてのものだ。「ただの船じゃなくて海賊船
たる さん作 [200] -
RPG−27
「いいのか?警察に嘘ついて」レイが言った。ディーシャがまた薬を飲むと、さっきと同様、煙が消えるとそこには元の愛らしい姿の男の子がいた。カナはそれを見てまだびっくりしているのだが、レイは慣れたらしく、もう驚いていない。「言ったでしょ。僕は国の戦いの為に科学を使うのは嫌なんだ」「あの」「なあに?」カナがおずおずと声をかけた。こちらを見上げてくるディーシャはやはり可愛らしい。「今の姿は本当の、なの?」
たる さん作 [179] -
RPG−26
「僕の本当の姿を知る人間は多くなくて、特に国は把握してない。というか知られたくないんだ。科学者は利用されるのを好まないから」ディーシャは立ち上がって戸棚に並ぶ赤く光る液体が入った瓶を1つ手に取った。「もうすぐ鏡の男の人が来る。僕は姿を変える。この薬でね」そう言って、瓶を2人に見せた。ラベルも何もないが、どれが何か、分かるんだろうか。「お姉さんたちは僕の友達ってことで話を合わせて。まあ、話かけられ
たる さん作 [207] -
RPG−25
部屋に通され、簡単な挨拶を済ませた。促されるままに話したが、我ながらおかしなことを言ってると思う。しかし話を聞いて、可愛い男の子もといディーシャは真面目な顔で分かったと言った。初めカナは、ディーシャがもう異世界トリップの謎を解いてしまったのかとびっくりしたが、話は分かった、という意味だったらしい。「つまり」ディーシャが言った。「お姉さんは別世界から自分も気づかないうちにやって来て、病弱な体なはず
たる さん作 [189] -
RPG−24
「本当にありがとうございました」カナがぺこりと頭を下げると、タームやユーラ、シークたちが笑った。森で初めて会ったときは怖かった人たちが、今では別れがたい存在になっていることは不思議だった。きょろきょろと見渡したが、ニルバが見当たらない。タームに尋ねると、さあ、どこかなと言われた。代わりにユーラが答えた。「ニルバは下にいるよ。船の調整部屋だ。あれはあいつしかできないから。手が離せないんだ」「さよな
たる さん作 [202] -
RPG−23
「すごーい。大きいねー」「聞いてたよりずっとすごい」はしゃぐ2人の背中を見ながらタームがため息をついた。ユーラがどうしたよと声をかけた。まあ、聞かなくても分かるが。「心苦しくてなー」「まあ、相手にされてないけどな」「お黙り。これからだよ本当の戦いは」「これから?またあの2人についていくのか?」ユーラが言った。ニルバが怒るだろうなあと思ったのだ。「いや、レイを持って帰ろうと思うんだけど、お嬢ちゃん
たる さん作 [199] -
RPG−22
「美味しい!」カナがぱちりと目を開いた。船のコック・ムンが作る食事は驚くほど美味しかった。レイもすごいと言った。「俺たちが誘ったんだ」少年たち、シーク、ヨーク、ウーク、ネーク(名前の関連性はまだ聞いていない)が言った。聞けば、職場条件は最悪だが腕は最高なコックをある街で見つけ、口説き倒して船に呼んだということらしい。カナもレイも広いとはいえない部屋で大勢でご飯を食べるのは初めてて、窮屈だと思う以
たる さん作 [184] -
RPG−21
マストに上ると、陸にはなかった強い風に驚いた。なびく髪がユーラのあごをくすぐる。太陽の光を浴びてキラキラ光る海は想像を超える美しさだった。見とれていたカナだったが、舵の近くにレイとタームが並んでいるのに気づいて不満げな顔をした。ユーラの助けを借りて下に下りた。着地するときによろめいて、ユーラが腰に手をあててそれを支えた。慣れた仕草だなんてことはカナには分からない。「あ、ありがとう」医者や看護師に
たる さん作 [205] -
RPG−20
「タームたちと一緒に行かないか」「えぇっ?」カナが思わず大きな声を出した。***アンの賊たちは数十人の手下を置いて逃げた。レイが倒れた男たちの隙間を見つけて歩いているときだった。はっきり残る縄の跡をさすりながら、レイはニルバの後ろを歩いていた。横にはタームがいる。「女2人でどこに行くんだ?」「・・・ビヨド」「そりゃあこの山を通るなあ」「賊が張ってたなんて知らなかった」レイがややうつむいて言った。
たる さん作 [198] -
RPG−19
どれくらい眠っていたのだろう。レイはまだ痛む頬に顔をしかめながら周りを見回した。誰もいない。腕を動かそうとして、縛られていることを思い出す。縄が食い込んでまた顔をしかめた。その時、扉が開いた。見開いたレイの目に映ったのは2人の男だ。1人は笑顔で、もう1人は眼光の鋭い男だった。対称的に見える2人だが、共通していることはボロボロの姿であることだ。服はあちこち切れてるし、顔に擦り傷も見える。レイは驚き
たる さん作 [289]