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たる さんの投稿された作品が45件見つかりました。
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カオス!4
「はよ」「びびったあ」聞き慣れない低い声に心臓が跳びはねた。ほとんど毎日登下校を共にしてる友人・マイだ。最近かけたパーマが可愛くてマネしたいなって考えてたところに本人が出てくるから余計驚いた。今日はゆるく2つに結んでる。マイは背が高くてスタイルもいいから何でも似合う。なのに今日は変。服装はぐちゃっとしてるし化粧も雑。アイライン太すぎて超ギャルみたいになってるし、髪も時間ないから結んだって感じ。「
たる さん作 [214] -
カオス!3
「ソータぁ、ごめんてー」5時間目のチャイムを合図にみんなが戻ってきた。さっきから謝る声がするのは告白シーンを覗いたことをソウタが怒ったらしい。まあ、ソウタのことだからすぐ笑ってまた冗談とか言い出すだろうから心配ないけど。みんなも学ばないとだめでしょ。「河内マナちゃん、可愛かったでしょ」「え?うん、そうだったかも」少し赤くなってソウタが答えた。何十回と告白されてるくせに、ソウタは未だに照れるは噛む
たる さん作 [228] -
カオス!2
「ハナハナハナっ」チカが飛び込むようにやって来た。だいたい悪い噂を持ってくるのはこの子だ。「ソータ君が1年生に告られてるって!」告るという言葉にちょっとびくりとした。ソウタは何もなかったように接してくれてんのに。恥ずかしい。あれから、そのままの態度を変えないのをソウタの優しさだと思うようなった。あそこまで徹底しなくてもって思うけど、前みたいに笑い合えるのはやっぱり嬉しい。「また覗き見するー。ソウ
たる さん作 [233] -
カオス!1
深呼吸して玄関のドアを開け、朝の空気を吸い込んだ。首を左右に傾けると、ゴキゴキと花の17歳らしからぬごつい音がする。まるで戦場に赴く兵士だ。実際、今の自分はそんなもんだ。「っはよー」「おはよ」家から少し歩くと生徒の姿が絶えない通学路に入る。特に待ち合わせてるわけじゃないけど、時間が合うとこの友人と登校している。ただでさえ背が高いくせに頭のてっぱんにお団子なんてしてるから余計背が高く見える。ま、人
たる さん作 [255] -
RPG−11
剣を収めると同時に2匹の魔物が煙になった。レイはかがんで何かを拾い上げた。金貨と小さな袋、それにあの魔物のものと思われる毛皮のグローブ。さすがゲームに忠実だ。「ごめんなさい・・・次は頑張ります」小さくなったカナにレイが優しい笑みを作った。「無事ならいいんだ。これからはあたしがカナを守るよ。それにもう隣町は近い。魔物は出ないよ」「それは甘いよ、お嬢ちゃん」レイがカナを後ろにかばう形でさっと身構えた
たる さん作 [309] -
RPG−10
昼間だというのに森の中は暗い。時々日がさしても幾重にも重なる木々で遮られて、2人に届くころには弱々しい光になっている。「ねえ、もしかしてここに魔物って出る?」「ああ、そうだな」恐る恐る尋ねると、今気づいたという調子で返された。「高原よりも出やすいはずなんだけど」「や、やっぱり」カナが顔色を悪くしたが、それからしばらく歩いても何が出るということもない。持ってきたおにぎりを食べながら進み、今は森の出
たる さん作 [252] -
RPG−9
「分かったことがあるの」4日前、あの夜の日にそうレイに切り出した。「私が昔から病弱で体が弱くてって話したでしょ。それがここに来てからは今までにない普通の体になってる。でもさっきは違ったの。目眩はするし息切れはひどいし足は動かないし、昔の体に戻っちゃってたのね」レイはひざをかかえておとなしく聞いている。もしかしすると上の空というやつかもしれないが、気にせず続けることにする。「それが、レイが近くに来
たる さん作 [285] -
RPG−8
月の光りも届かない厚い雲が空を覆っている。数少ない電灯の下を通る時ちらと見上げると、うっとりとした目の彼がいた。彼は私の肩を抱いたまま電灯の真下で立ち止まり、優しく微笑んで私を見つめた。その瞳には怯えた自分の姿がある。どこかで見た目だと思ったら、昼間、自分の髪を手にした時のレイと同じだ。あの時はすぐに元に戻ったのに。「はな、してっ」力を振り絞って突き放した。離れはしたが、彼は1,2歩下がっただけ
たる さん作 [307] -
RPG−7
「向こう島かー」レイに追いつくと、そう言っているのが聞こえた。「行ったことあるの?えっと、ビヨドに」「ないない。せいぜいカルカラ高原だな。母さん、ほんと固いんだ」そう言うレイの顔は嬉しそうだ。心はビヨドというところに飛んでしまってるに違いない。それから町を少し案内してもらって、空が赤くなる頃に家に帰った。レイはすぐに村長の言葉を両親に伝えたが、2人とも表情を崩さないから村長ってああいうものらしい
たる さん作 [280] -
RPG−6
家を出て少し歩くと、みんなが自分を見ていることに気づいた。村といってもビルや大きな建物がないだけで小さな町だ。見慣れないからといってそんな珍しそうに見られるのは違和感を感じる。服だってレイに借りたグレーのシャツにズボンなのに。「私って、もしかして目立ってる?」鎧を脱いだ軽装のレイは思っていたよりずっと細身だったけれど、腕や足の筋肉が見えて、さすが勇者見習いだと関心する。「んー、目立ってるといえば
たる さん作 [292]