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安藤 さんの投稿された作品が15件見つかりました。

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  • 蛙の願い(4)

     帰宅途中、近所の高校の前を通る。この高校は藤宮高校とは違って進学校でもなければ、伝統校でもない。それだけに藤宮の連中は見下してる・・というか、眼中にないのかも知れないが・・「よお!松川!」不意に後ろから声をかけられてびくつく。見てみると中学時代の友達だった。しかも親友。前ちゃんだ。「お、前ちゃん!おひさ」と言って微笑んだ。学生とまともに話すなんていつ以来だろう。「なんだ、一人なのか?」前ちゃん
    安藤 さん作 [401]
  • 蛙の願い(2)

     俺達が入学してから2ヶ月ちょっと。梅雨のじめじめした空模様は俺の心の象徴。それにしてもこの学校はなんだい。厳かな門をくぐるところから学生の一日が始まる。傍らに「私立藤宮高等学校」の刻が。俺は自転車通学だから、校舎を横切ってチャリを停める。自転車置き場はかなり広い。何しろこの学校の大半の生徒が自転車通学なんだ。実は最初に違和感を感じたのもそこなんだ。 自転車を置きに行くヤツと校舎に向かうヤツとで
    安藤 さん作 [400]
  • 蛙の願い(1)

     なんだか性に合わんと思いつつ高校に入った。性に合わん、とはつまり進学校ということ。そりゃ勉強はできたさ、けどどちらかというとヤンチャかましてたさ、恋してたさ、青春してたさ。なのにこの籐宮高校ときたらなんというか・・あれだな、薄暗いね、うん。 最初の友達は席が隣の子だった。よくあるパターンだ。名を大谷平次郎という。銀縁メガネなんてかけててなんだか取っ付きにくいヤツだが、見渡す限りは他も同じような
    安藤 さん作 [472]
  • 蛙の願い(3)

     実際はそうでもなかった。つまり俺はそれほど馬鹿ではなかった。入学初めのテストで分かったことだが、俺はこのガリ勉より頭が良かった。今でもそうだ。そのことは大谷も分かってる。それが故にヤツは優越感を求めるのだ。俺の中に少しでも自分より劣っている部分を見つけると、ヤツは決まって不敵な笑みを浮かべる。細い目がよけいに縮まり、歯の矯正器具がきらめく笑みは不気味を通りこして異次元、空間の歪みのようにも思う
    安藤 さん作 [407]
  • 知の腐乱遺体(1)

     腐乱することこそが知識の本質だと気づいたのはどれほど前だったろう。恐らくは中学を次席で卒業した後、地域のトップ高校での成績に重い影がさしかかってからずいぶんと経った時分であろうか。 土木現場の昼休み、タバコをふかして遠い日のことを振り返る時の哲也の目は虚ろながら、芯の部分には強いものがあった。カラッと小麦色に焼けた顔には、文字どおり勉強漬けであったあの頃の面影はない。「ここで働きだして・・・も
    赤松陽介 さん作 [480]
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