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1003 さんの投稿された作品が81件見つかりました。
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aki-第3章-?
彼女は真っ直ぐに私を見据えていた。私はただ彼女を見つめていた。真弓は怪訝そうに私の隣で、私と彼女を見比べていた。「あの…失礼ですけど―――。」私が言いかけた時だった。パシンッ…!――――――――私の左の頬は少しずつ痛みが滲んでいった。「ちょっ…!何ですか、いきなり!」私よりも先に真弓が声をあげていた。私は何処かで気付いてた。心当たりなら、ある。「真弓、今日の埋め合わせは絶対するから。」今にも彼女
1003 さん作 [218] -
aki-第3章-?
真夏。蝉の鳴き声と太陽の暑さが鬱陶しく感じてしまう季節。もう夕方だと言うのに、日はおちずにまだ外は明るかった。「唯と飲みに行くなんて久しぶりよね。」そう言った、会社の同僚の真弓と二人肩を並べて会社を後にする。「あんまり遅くまでは無理ですけど、たまには良いと思います。」私は憎まれ口をわざとたたく。「最近さぁ、唯、綺麗になったよね。」真弓は私を見てニヤニヤしている。「何もかわってないですよ。」私は笑
1003 さん作 [717] -
aki-第2章-あとがき
第2章までお付き合いいただいた皆さん、どうもありがとうございます。管理人様、いつもありがとうございます。『aki-第2章-』を書き終えました。?が飛んでしまい、大変申し訳ございませんでした。これからストーリーは後半になります。どうぞこれからも宜しくお願いします。★1003★
1003 さん作 [250] -
aki-第2章-?
そんな私とあきにも、幸せな楽しい時間ばかりやってくるはずもなく…。何の事はない。パンドラの箱を開けてしまえば、甘い誘惑もあれば、耐えられないような苦しみが必ずある。結果残るのは、きっと悪だろう。私とあきの関係が少しずつ歪み始める。それは、真夏の出来事だった。
1003 さん作 [247] -
aki-第2章-?
季節が巡る間、こんな事もあった。私があきと同じ高校に転校する前に住んでいた町は山に囲まれた田舎だった。その町には、恋人同士が二人で夜景を見ると永遠に結ばれるという『恋人坂』という坂道があった。その話しをすると、あきは次の休みに二人でそこに行こうと言った。確かな場所もよくわからなかったけれど、二人で知らない町でたくさんの風景を共有し、言葉をかわすだけでも楽しかった。結局どこだからわからず、夜景の綺
1003 さん作 [230] -
aki-第2章-?
あの日から、何度彼に会っただろう。仕事をこなし、優しい夫の待っている家へ帰り、一週間に1度彼と会う。繰り返し、繰り返し、季節は移りかわって行く。今は、彼と出逢ったあの日の季節とは正反対の季節になっていた。彼の好きな所は、会う度に増えていった。彼が私のイメージだと言ってくれたブレスレットは、今私の右腕で輝いている。今だからこそ、あの時撮った写真が私のようで私に見えなかった理由がよくわかっていた。恋
1003 さん作 [219] -
aki-第2章-?
午後6時半過ぎになっていた。事務所の中の人数が減り始めている。私は『仕事が手につかない』という言葉の意味を痛感していた。腕時計の秒針の進む音がやけに大きく感じる。彼は、待っているのだろうか。本当に彼ともう1度会っても良いのだろうか。私は迷っていた。もうすでに決まっていた答えを認めたくなかったのかもしれない。気が付くと、私は事務所を出て1階のロビーへ向かっていた。エレベーターのボタンを押す時、異常
1003 さん作 [251] -
aki-第2章-?
私は彼を好きなのだ。これは紛れもない事実。懐かしいと感じたのは、かすれて消えかかっていた記憶。「もう時間です。」彼が腕時計を見ながら言う。私は相変わらず言葉が見つからないでいた。「もう1どきちんとあなたと話しがしたい。仕事が終わったら、このビルのロビーで待ってます。今日1日中待ってます。嫌なら無視してくれてかまわない。」そう言うと、彼は振り向く事なく私の視界から消えて行った。相変わらず周りは賑や
1003 さん作 [221] -
aki-第2章-?
私には彼が何を言いたいのか、何を伝えたいのか理解する事が出来ずにいた。「…僕が高校3年生だった夏に、あなたは転校してきた。」確かに私は父の仕事の都合で転校していた事を思い出す。「僕の友人が、あなたが越してきた家の近所だったから、転校生がいる話しは偶然知っていたんだ。」彼は思い出しながら懐かしいものを見ているようだった。「その転校生を初めて見たのは、彼女が屋上に続く階段に呼び出されて、理不尽に先輩
1003 さん作 [250] -
aki-第2章-?
彼は既に私の目の前の席に座っていた。昨日の事は気にしてはいないのだろうか。「他の席もたくさん空いてるじゃないですか。」どうしようもなく、私は冷たく言葉で彼をつきはなしてみようとする。「偶然仕事があって、偶然食堂へ来てみたら、偶然あなたに会えた。」気にしていないような彼の言葉で、私は席を移動しようと立ち上がる。「ちょっと待ってください。」私の腕を彼が掴む。「あなたと話がしたい。」私を見上げた彼の真
1003 さん作 [254]