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主役は銭形 さんの投稿された作品が20件見つかりました。

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  • 夕日が沈む前に(12)

    そして長い夜が明けた。俺はいつものように身支度を済ませて会社に向かった。いつもと変わらない会社。いつもと変わらない雰囲気がそこにはあった。昼休みに会社の仲間と昼食に出掛けようとした時だった。遠くからの女性の声が俺の背中を捕らえた。「高橋さん…」振り向くとそこには同じ課の2つ年下の奈々が立っていた。「どうしたの奈々ちゃん。何。」俺はいつも通りの口調で奈々に尋ねた。奈々は少し恥ずかしそうに答えた。「
    主役は銭形 さん作 [133]
  • 夕日が沈む前に(11)

    茜はそのまま何も言わずにどこかへ行ってしまった。俺はそこから動くことができなかった。俺は重い足を何とか動かして茜の病室まで行った。そこには茜の姿はなく、母親が元気なく椅子に座っていた。「あっ。高橋さん。今日は本当に申し訳ありませんでした。何て言ったらいいか…」母親は椅子から立ち上がり申し訳なさそうに俺に言った。「いいんですよ…それよりも俺……」俺は茜を叩いたことを言うべきか迷った。それから長い沈
    主役は銭形 さん作 [153]
  • 夕日が沈む前に(10)

    俺は何も言えずに街を眺めていた。すると茜は諦めの交じった声で続けた。「逆にね、お母さんの優しさが私にはつらいんだよ。私のために一生懸命頑張って。どうせ死ぬのにさ。馬鹿みたい。」茜は俯きながらそう言った。茜はフェンスに背を向けて立直した。パチンッ…俺は無意識のうちに茜の頬を叩いていた。そこには怒りだけが見て取れた。茜は苛立ちと驚きに満ちた声で言う。「痛いな。いきなり何すんのよ。」茜は物凄い形相で俺
    主役は銭形 さん作 [147]
  • 夕日が沈む前に(9)

    茜の足元には一粒の雫が落ちた。涙なのか雨なのかは俺にははっきりとはわからなかった。「終わるって何が。」俺は恐る恐る聞いた。なんとなくの意味はわかっていた。でも確認したかった。「人生が…私はもう長くないの。」また一粒の雫が茜の足元に落ちた。今度はしっかりとそれが何なのかを確認できた。その雫は茜の瞳から落ちた雫だった。「お母さんは何も教えてくれない。でも自分の体だもん。自分が一番わかるよ。もう長くな
    主役は銭形 さん作 [311]
  • 夕日が沈む前に(8)

    俺は病室を飛び出した。茜を探すために。それは怒りに似た感情が自分の中に芽生えたからだった。俺は病院中を探し回った。どんなに探しても見つからない。俺はそれでも必死に探した。そして茜は屋上にいた。息を切らしたまま俺は語った。「何であんな言い方をするんだ。お母さんは茜さんを想って俺をここに呼んだんだぞ。お母さんの気持ち考えてみろよ。」俺は怒りを抑えて諭すように言った。しかし、俺の言葉にはしっかりと怒り
    主役は銭形 さん作 [170]
  • 夕日が沈む前に(7)

    女性は明るくしっかりとした口調でそう言った。そして俺は女性に手招きされて病室へと入った。そこにはニット帽をかぶった俺と2つほどしかかわらない若い女の子がベッドに横になり窓を眺めていた。「茜。高橋啓介さんに来てもらったよ。」女性は優しく語りかけるようにそう言った。すると茜はすごい勢いで言葉をぶつけた。「出てってよ。入ってこないで。」茜のそれだけ言うと布団に潜り込んだ。絶叫とも言える声に俺も母親も呆
    主役は銭形 さん作 [156]
  • 夕日が沈む前に(6)

    その涙はまるで雨のように強く床を叩いた。そこには悲しみの水たまりができていた。「急性白血病ですか…」俺はそれ以上の言葉を語れなかった。むしろそれ以上語りたくなかったのかもしれない。「娘はこのことを知りません。でも気がついてるんだと思います。以前はすごく明るい子だったんです。でも最近は話もろくにせず、笑うこともなくなりました。死にたいって時々漏らすんです。だから高橋さんに…」女性は力無く床に膝をつ
    主役は銭形 さん作 [149]
  • 夕日が沈む前に(5)

    そこには静寂のみが広がった。女性は窓の外を見たまま静かに続けた。「はい。私の娘も高校まで陸上をやっていました。高橋さんは娘が憧れていた人なんですよ。何かあるたびにあなたの名前を出して。あなたが大会で優勝するたびに自分のことの用に喜んでました。高橋さんは娘にとって特別な人なんです。」女性はしっかりとした口調で理由を言った。そこには決意が見え隠れしていた。「理由はわかりました。それで怪我してもまた陸
    主役は銭形 さん作 [195]
  • 夕日が沈む前に(4)

    女性の言っていた住所まではそう時間はかからなかった。そして女性の言っていた住所に着いた。そこには大きな病院があった。その玄関には俺に深々と頭を下げる40半ばぐらいの女性が立っていた。すると女性は迷いなく俺に近寄ってきた。「高橋啓介さんですか。」女性は申し訳なさそうに訪ねた。「そうですけど。」俺は戸惑う声でそう答えた。その戸惑いはここが病院であることと見知らぬ女性が自分が思っていた以上に歳をめされ
    主役は銭形 さん作 [168]
  • 夕日が沈む前に(3)

    そして現実に引き戻すかのごとく女性は決意に満ちた声で話した。「明日のご予定は何かございますか。」プライベートな質問に俺は一瞬迷ったが答えた。「明日はとくにありませんが…」すると女性は喜びを隠せない声で続けた。「明日お時間を作ってもらえないでしょうか。」申し訳なさそうに女性は聞いた。「理由がわかないし、第一どこの誰かもわからない人に会うつもりはありませんよ。」俺は冷たくあしらった。すると女性は強い
    主役は銭形 さん作 [171]
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