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シェリー さんの投稿された作品が6件見つかりました。
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旅人の約束
電話で話したことなんて何百回もあるのになぜか無性に緊張して声が震えた。「もっ…もしもしっ」情けない。噛んでしまった。「もしもし〜真奈美のこといじめないでよ〜ホントに沖縄行くんだから。ゆっくり一人旅したいから車なの。途中気に入ったとこあったら沖縄には行かないけどね」切羽詰まった僕と違い愛があまりにいつもどおりだったので僕は体の力が抜けて、ヘナヘナとその場に座り込んでしまった。「とにかく話そうよ。あ
シェリー さん作 [214] -
旅人の約束
一瞬呆然としたがすぐに追いかけた。ファミマのあたりで追いついて、真奈美の腕をつかんだ。「待ってよ!愛はどこ行ったの?」「しっ…知らない」「じゃあ家で何してた?」真奈美は顔を上げて、観念したように力を抜いた。「片づけてた」「どうゆう意味?」確かに彼女の家は汚いけれど、それにしてもおかしな話だ。「病気なの。沖縄に行った。どこかはホントに知らない。」「嘘つくな!じゃあ何で車がないんだよ!」僕は我を忘れ
シェリー さん作 [196] -
旅人の約束
自慢だが、僕の彼女は可愛い。絶世の美女というわけではないが、可愛らしい顔つきだし、スタイル抜群というわけではないが、細身の整った体型だ。性格は…甘え上手なオラオラ系とでも言おうか、夜中三時に「今から来て」と突然呼び出してみたり、「昨日飲み会で…」とか言っていつの間にか他の男と遊んでいたり、かと思えばやきもち焼いて泣いてみたり。他には…他には、「真一と葉子が喧嘩したって」「ふーん、早く仲直りできた
シェリー さん作 [163] -
旅人の約束
通い慣れたマンション、303号室のチャイムを押す。応答はない。「入るよ〜!」ガチャッ。扉には鍵がかかっていた。駐車場に原付があったから、多分中にいるんだろう。「話そうよ!出てきてよ!」それでも応答はない。警察を呼ばれはしないだろうかと内心びくびくしながらも、僕は長期戦覚悟で出てきてくれるまでひたすら待つことにした。足元の吸い殻で小さな山が作れるくらいまでたまったころ、さすがにお腹がすいてきてフ
シェリー さん作 [211] -
旅人の約束
とりあえず電話をしてみる。「おかけになった電話番号は現在使われておりません」「ちょっと待ってください」驚きのあまり電話の向こうから自動的に流れる声に向かって叫んだ。ホントにちょっと待ってほしい。彼女に最後に会ったのは三日前。ぐるっと部屋を見渡してもそれは間違いない。夜中に一緒に見たガキつかのDVDはデッキに入りっぱなしだし、僕が気に入って買ったのにいつの間にか彼女が泊まりに来た時用のパジャマに
シェリー さん作 [207] -
旅人の約束
「大きくなったら結婚しようね」そう約束して10年、僕らは恋人になった。僕は彼女が大好きだったし、彼女も僕を好きでいてくれている。そう、思っていた。その日もいつもどおりの朝が来て、僕はいつもどおり愛におはようメールを送ろうとした。「受信一件」開くと愛からだった。珍しいこともあるもんだとさらに本文を開く。「別れよ。元気で。」僕の寝起きの脳はその二言の意味を理解できず、数秒。危うく二度寝してしまうとこ
シェリー さん作 [221]
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