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アンヌ さんの投稿された作品が334件見つかりました。

 
  • 子供のセカイ。79

    美香は胸に手を置いて呼吸を整えた。ホシゾラは少し不安そうな顔をしていた。「気分は治まったかしら?大丈夫?」美香のことを心配してくれているのだろう。美香は逸る気持ちを抑えながら、なんとかまともな返事を返した。「もう大丈夫です。ありがとう。それより、“闇の小道”への扉が封鎖されてるっていうのは本当なんですか?」ホシゾラの表情がいっそう曇ったのを、美香は見逃さなかった。「……ええ、そうよ。」胸が重い石
    アンヌ さん作 [344]
  • 子供のセカイ。78

    * * *美香は立ち直りが早い方ではなかった。ただ、誰かが傍にいる場合は、心配をかけないように明るく振る舞う努力を欠かさなかったが、こんな状況では流石に無理だ。だが、いつまでも泣いているわけにはいかない。世界は美香のためにはない。美香のために時間を止めてはくれない。今は辛いが、一旦王子のことは忘れて、もう一人の大切な人を助けなければならない時だ。美香は立ち上がっ
    アンヌ さん作 [403]
  • 子供のセカイ。77

    覇王はそっと舞子の肩に手を置き、顔をのぞきこんだ。こうすると舞子は言うことを聞く場合が多かった。案の定、幼い少女は頬をりんごのように真っ赤に染め、恥ずかしそうに首をすくめた。覇王はわざと舞子の耳元で直接囁いた。「いいかい、舞子。僕たちには今日まで、ずっと大事に温めてきた計画がある。それを達成しなければ、君は真に幸せにはなれない。……これは、わかるだろう?」「……うん。」「そのために、君のお姉さん
    アンヌ さん作 [332]
  • 子供のセカイ。76

    覇王はゆっくりと笑みを刻んだ。酷く歪んだ顔。舞子によって生み出された想像たちは多くの場合、その強大すぎる力に溺れて正気を失うが、覇王は違った。――もっと性質が悪かった。「何か用?覇王。」「……。」「…?どうしたの?」舞子が振り返る。長い黒髪が背で揺れた。三年前には短く、肩につかないくらいで切り揃えていた髪。舞子がなぜそれを伸ばし続けてきたか、覇王は知っていた。舞子本人は絶対に認めないだろうが、そ
    アンヌ さん作 [362]
  • 子供のセカイ。75

    * * *覇王は足早に回廊を歩いていた。通路は温かなオレンジ色の電灯に、美しくライトアップされている。まるでホテルの中のようだ。壁には幾何学模様が描かれ、真鍮製のドアノブが光る白木のドアの部屋の前をいくつか通り過ぎる。長い小麦色の髪を颯爽となびかせ、角を曲がる。そこから先はこれまでの景色とは打って変わり、白亜の大理石の階段が突然現れ、その上にはふかふかの赤い絨毯
    アンヌ さん作 [339]
  • 子供のセカイ。74

    「やめておけ。奴は怪我をしているのだぞ。心配なのはわかるが、今はそっとしておいた方がいい。」ジーナにたしなめられて、美香は不安が倍増した。傷がひどくても、包帯でぐるぐる巻きになっていても、それでもいいから、美香は一目王子の顔が見たかった。――生きているということを確かめたかった。『美香ちゃん。』優しく手を引いてくれる王子の姿が瞼の裏に浮かび上がって、美香は胸が痛くなった。彼を守れなかった。私のせ
    アンヌ さん作 [348]
  • 子供のセカイ。73

    「ホシゾラさん、いろいろとお世話になっています。」ジーナが礼儀正しく頭を下げたのと、いいえ、と手を振った中年女性とを、美香は交互に見比べた。「星空……?」「私の名前よ。そういえば、自己紹介がまだだったわね。」ホシゾラは白いスカートを軽く持ち上げ、優雅にお辞儀をしてみせた。「私はホシゾラ。“生け贄の祭壇”の祭司よ。どうぞよろしく。」「あ……私は、今藤美香です。」それから、まだまともにお礼を言ってな
    アンヌ さん作 [344]
  • 子供のセカイ。72

    森の中にある遺跡のような場所――“生け贄の祭壇”。ついに辿り着いたんだわ。美香は目を伏せた。こんな状況でも、込み上げてくる感慨は相当なものだった。長い道のりだった。舞子にはまだまだ届かないが、ひとまず耕太には到達したのだ。(耕太、もう少しだけ待ってて。)王子とジーナの無事を確認したら、すぐに助けるから。窓ガラスがないので、風が直に吹き込み、通路のあちこちに木の葉が溜まっていた。吹きさらしで、外と
    アンヌ さん作 [365]
  • 子供のセカイ。71

    だが、いろんなことが心配で、やはり眠れそうになかった。美香は女性の顔を見て、頷いてみせた。中年女性はそっと溜め息に似た息を吐くと、少しだけ困ったように笑った。「本当はあなたも、もう少し安静にしていなければならないのだけどね。でも仕方ないわ。きっと頭が混乱しているでしょうし。」何から話せばいいかしら、そう聞いた女性に、美香はまず二人に会わせて欲しいと頼んだ。「でも二人とも寝ているわよ。あまり起こさ
    アンヌ さん作 [366]
  • 笑う聖職者

    光にさらされたのは酷く傷ついた体どうしたの何があったの?問うても貴方は微笑むだけ何に対して笑っているのかあたしにはちっとも理解できやしないねえ痛いでしょ痛いよね?あんまり無理しない方がいいんじゃない?貴方は首を振った怖いんだとそこで初めて口を開いた人に嫌われるのが怖い何より怖いからだから痛みを我慢して笑い続けるのだとああ貴方はとても繊細だあたしなんかとは大違い傷つけられた分だけ傷つけてきた傷だら
    ココロ さん作 [411]
 
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