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アンヌ さんの投稿された作品が334件見つかりました。

 
  • 子供のセカイ。65

    そっと首に当たっているナイフに手を添える。男が訝しむ前に、素早く想像の力を使ってそれを子供が遊ぶようなおもちゃのナイフに変えた。「なっ!」ナイフの重さが変わったことで異変に気づいたのだろう。男が驚いてプラスチックになってしまったナイフを見たその一瞬を、美香は見逃さなかった。思い切り肘を後ろに突き出す。男の鳩尾に当たり、男は呻き声を上げてよろめいた。絡みつく男の腕を振り払い、美香は迷わず王子に向か
    アンヌ さん作 [379]
  • 子供のセカイ。64

    美香たちが目的地に辿り着いた時、辺りはやけに静かだった。赤いサボテンは緑のサボテンに比べるとずいぶん小さく、二メートルあるかないかくらいの大きさだった。だが、探し出すのにそこまで苦労しなかった。「……。」二人は、どこかから戦いの音は聞こえてこないだろうかと耳をすました。ジーナの安否が心配で、気が気ではなかった。――見送れなくて悪かったな。ジーナはそう言ったから、もうここへは来ないつもりかもしれな
    アンヌ さん作 [384]
  • 子供のセカイ。63

    「……ハハッ!ハハハ……。」乾いた笑い声が、誰もいなくなった空き地に響いた。――否、誰もいないのではない。生存者のいなくなった空き地に、だ。ジーナは空き地の真ん中で、たった一人で立っていた。剣はすでに腰の鞘に納められている。ふと視線を落とすと、自分を見上げている落ちくぼんだ目と目が合った。見開かれた目、その中心の瞳孔の開いた黒い瞳。ジーナと同じ、この地域特有の真っ黒な瞳。日に焼けた肌、地面に広が
    アンヌ さん作 [357]
  • 子供のセカイ。62

    ジーナが不意に声を立てて笑い出したため、サハールの荒くれ者たちは少なからずぎょっとした。気が触れたのではないかと思われるほど、ひどく愉しげでタガの外れた笑い声だったからだ。「やはりお前たちは頭が足らぬようだな。」ピタリと笑いを止めると、ジーナは低い声で言った。変に静まり返ってしまった空間を侵食するように、その声はどこか不気味に響いた。「……どういうことだ。」唯一冷静な壮年の男は、リーダー格なのか
    アンヌ さん作 [340]
  • 子供のセカイ。61

    それからしばらく打ち合いを続けている内に、遥か背後に感じていた相当数の人間の気配は、ジーナを包み込むように広がった。しかし未だにあちらからは仕掛けてこない。自分が疲弊するのを待っているのだ、と気づいたジーナは、こちらから行動を起こすことにした。ためらいはなかった。バックステップで若い男の攻撃からひょいひょいと身をかわす。不意に足元の小石につまずいたように見せかけて体のバランスを崩してみせると、男
    アンヌ さん作 [343]
  • 子供のセカイ。60

    唯一左手に立つ壮年の男だけがどっしりと冷静に構えていて、幅広の剣を持っていない方の手で、ジーナに斬られた頬の血をゆっくりと拭っている。こいつが一番厄介だな、と、ジーナは見当をつけた。しかしそんなことはおくびにも出さず、ジーナはわざと高飛車な態度で大きく笑った。「逃げるのが上手い?お前たちの真新しい傷は、私の攻撃の妙を示してはいないのか?」「るせえっ!黙れっ!!」完全に頭に血が昇ったらしい若い男が
    アンヌ さん作 [332]
  • 子供のセカイ。59

    王子は構わず続けた。「美香ちゃんが助けてくれなかったら、僕は死んでいたかもしれない。」「……。」「あいつは僕を殺そうとしたんだ。美香ちゃんが僕を助けるには、ああするしかなかった。だから、君が気に病むことはないんだ。どのみち、ああでもしなきゃあいつからは逃れられなかった。あいつは危険な奴だから、」「もういい。」美香がポツリと呟いた。美香は頭を微かに振りながらうつむいて、小さな声で言った。「もういい
    アンヌ さん作 [338]
  • 子供のセカイ。58

    それは逆光のため、黒い影の怪物にしか見えなかった。とてつもなく巨大で、二本の大きさの違う太い腕を持った恐ろしい化け物。大男の脅威が去っても、今度はこの新しい脅威のために王子は一ミリも動けなくなる。しかしその時、見知った少女が王子の側に駆け寄ってきたため、王子はハッと汗だくの顔を向けた。「王子、大丈夫!?」美香はへたり込んだまま動けない王子の横に膝をついた。「……美香ちゃん…?」「ごめんなさい、助
    アンヌ さん作 [336]
  • 子供のセカイ。57

    振り返ると、王子が尻餅をついた所だった。見れば王子の前に立っているのは、筋肉の盛り上がった大柄な男で、巨大な斧をつかんでいる。どうやら王子の細い剣では斧の衝撃を受けきれず、受け流した際に倒れてしまったらしい。男は上半身裸で、見事な太鼓腹をつき出して愉快そうに笑っていた。こめかみの髪を刈り込んで、伸ばした後ろ髪をみつあみにした不思議なヘアスタイルをしていた。「がははははっ!こんなひ弱そうなのが俺様
    アンヌ さん作 [362]
  • 子供のセカイ。56

    ジーナは諭すように美香の両肩に手を置いた。「お前に戦いは無理だ。それは自分が一番よくわかっているだろう?」何気無い一言だったが、その言葉は美香を打ちのめした。美香は呆然と目を見開いてジーナを見つめる。ジーナは何を言っているのだろう?美香はこれまでずっと一人で戦ってきた。舞子の恐ろしい想像たちを相手に、たった一人で。その美香を、ジーナははっきりと否定したのだ。その時美香の心に蘇ったのは、あのどうし
    アンヌ さん作 [390]
 
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